ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 南国市議会 > 議会議事録

用語検索はこちら


議会議事録

  • 開催別
  • 一般質問
  • 議員提案
  • 市長提案
  • その他
  • 検索
検索結果 » 令和4年 第427回市議会定例会(開催日:2022/09/02) »

一般質問4日目(斉藤喜美子)

質問者:斉藤喜美子

答弁者:市長、教育長、関係課長


○議長(浜田和子) 8番斉藤喜美子議員。
      〔8番 斉藤喜美子議員発言席〕
○8番(斉藤喜美子) なんこく市政会の斉藤喜美子です。よろしくお願いします。
 ウクライナへのロシアの侵攻からついに半年を過ぎ、ますます世界情勢は不安定になってきています。加えて、円安の進む日本経済の厳しさで、いろんな場面で逼迫した暗い雰囲気を感じております。今回もこの不穏な世界情勢における農の在り方と食について御質問いたします。これに関しましては、今回は子供たちの食育という教育現場での取組についてお伺いします。
 まずは、南国市の抱える中山間問題として、集落の維持の今後の在り方、長年携わってきた動物愛護と地域住民の問題について、先ほど申しました農と食育、そして最後に国と地方自治体の財政への市長のお考えについて、通告に従って質問をさせていただきます。御答弁よろしくお願いします。
 先日、地元白木谷地区でも集落実態調査を踏まえた中山間対策の施策大系山中八策に基づき、中山間対策について意見交換会が持たれました。前回の調査からは10年が経過しているということで、私の住む地区でも平成26年、企画課による訪問調査報告があり、それから8年が経過しております。当時50代、60代で地区の中心となって頑張ってくださっていた方々が、高齢者の仲間入りをしてしまっているということになります。この夏も小学校保護者OBや地域のお世話役の方が立て続けに数名お亡くなりになり、大変寂しい夏となってしまいました。地元で以前説明がありました平成26年の段階で、来るべき未来に中山間はどのようになっているか、危惧はされていたのですが、それから時を経て、かなり具体的にその危機的状況が見えてきました。
 そこで、企画課にお尋ねします。
 先日の意見交換会の中でいろんな意見や困り事が出てまいりましたが、南国市としてはどのような意見やお困り事に対してどう取り組むべきか、担当課の今のお考えをお聞かせください。
○議長(浜田和子) 企画課長。
○参事兼企画課長(松木和哉) 白木谷地区につきましては、7月29日に地区の代表者の皆様に集まっていただきまして、生活環境づくり、安全・安心の確保、中山間の人づくり、基幹産業の振興など、項目ごとに地域の抱える課題について御意見をお伺いをいたしました。地域からは、鳥獣被害対策、独居高齢者へのサポート、移住者に対する定住のサポート、空き家の活用、農地の維持など、短い時間でありましたが、課題解決のための方策について、多くの御意見、御要望をいただきました。
 この内容につきましては、関係課で共有いたしまして検討した上で、できる対応策について、まず地域にお示しをしまして、引き続き地域との話合いを続けていきたいと考えております。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) 皆さん本当に地元で自助で踏みこたえられているなと感じましたので、今後とも話合いをしっかりお願いします。
 意見の中で印象的だったのが、皆さん移住者さん、Iターン、Uターンの方にかなり期待をされているのではないかというところです。前回の調査でも、Iターン受入れに関しては、回答数96のうち、受け入れたいが89とほとんどで、理由は人口減少対策と集落活性化で84、残り4が空き家の有効活用でした。それから8年たったわけですけれども、リーマン・ショックや11年前の東日本大震災、またコロナ禍におけるリモートワークの普及などは、期せずして都市部からの移住促進や、地域おこし協力隊の地域活性化につながっていると感じています。
 令和3年度の高知県集落調査でも、今後集落で取り組みたい外部からの移住促進がトップで29%、集落の活性化に必要な取組も、移住者を受け入れる取組とトップで38.7%、行政に力を入れてほしいことも、農業の振興について、次いで2位と、かなり多くの集落が移住促進に前向きです。というか高齢化が進んで、地域だけでは課題解決が不可能になってきたと実感しているのだとも思います。
 持続可能な地域社会総合研究所作成の若い世代移住増減マップによりますと、高知県でもどちらかというと以前から移住の多い中山間部、中央山間部、自然の豊かな幡多地方に若い移住者が増えており、地域の活性化に貢献している方の活躍をローカルニュースでよく見るようになりましたが、残念ながらそのマップからは、南国市は依然若い世代は流出が止まっていません。
 高齢過疎化の南国市、中山間においても、最も皆さん困られているのは若い人手のなさです。地域の草刈りや竹林の整備は、少なくなった人手と高齢者では追いつかないところもあります。先日、地元の竹林整備に参加してまいりましたが、あちこち放棄した竹林が耕作放棄地にはびこっており、竹の成長の速さといたちごっこの整備に御苦労されておりました。かといって若い労働者が欲しいわけではなく、地域では解決できない課題を、新しい視点から見ることで宝の山に変えることもできるのではないか、竹林整備にわざわざ休日返上で来られている方の中には、もう一度地元のよいものや歴史を知って大切に残したい、今ならまだ昔の歴史を知っているお年寄りもいらっしゃると、大変前向きな話も飛び出しました。一緒に農業をやりたい、問題に取り組む仲間が欲しいというのが、地元の皆さんの要望だと感じます。
 そこで、市長にお聞きします。
 南国市において、この中山間の位置づけは、市長のお考えでどのようなものなのでしょうか。集落全てにおいても今維持をすることが困難となってきておりますが、まさに待ったなしの状況です。消失を免れ、活性するためには、市長として何が必要と考えるか、お聞かせください。
○議長(浜田和子) 市長。
○市長(平山耕三) 集落実態調査におきます本市の中山間地域集落への聞き取りの中でも、現在集落で行っている共同作業や地域活動につきまして、数年後には徐々に活動が困難になるなどの回答を得ており、集落の衰退を心配する声をいただいております。
 また、生活環境について、移動手段の確保、食料品等の生活用品の確保、水の確保や供給施設の維持管理、農地の荒廃などが課題に上がっているところです。
 中山間地域への対応につきましては、課題について改めて地域に入り、実態の把握を行っており、市としての施策に結びつけていきたいと考えております。既に飲料水供給施設の整備、更新や、移動手段としてのデマンドタクシーについても見直しの検討に入っており、まずは住み続けることのできる基盤整備というものは必要であると考えております。
 そして、先ほど斉藤議員の質問の中にも含まれておりましたが、以前議員のおっしゃったとおり、スローシティーのような考え方、地域の食や農産物、生活、歴史文化、自然環境を大切にした個性、多様性を地域住民が尊重した地域づくりを行うことで、それをまた発信することで定住につなげていくということも一つの方法であるというように思っております。
 今後におきましても、産業の振興策、また定住施策について、さらに市としましても進めていきたいと思っております。以上でございます。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) ありがとうございます。
 スローシティーのことに関しましても言及していただきまして、本当に参考にしていただける内容ではないかと思っております。住み続けるための必要な整備も、今後またしてくださるとのことで安心しました。機会があれば、御自身でもぜひ地域に入って、その目で御覧になられて、一緒に考えていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
 産業の振興に関しましても、乾燥タケノコの需要はあっても、供給が追いつかず、補助があればもっと生産できるのにと残念がっております。もったいないことです。
 移住促進に関しての本市のいろいろな取組に関しましては、これまでの議会質問でも御答弁いただいておりますので一定理解はしているつもりですが、やはり若い世代の流出、移住者さんが定住や南国市での活躍の場を見つけられずにいるのではないか、魅力を感じてもらえていないのではないか、そこを私は心配しております。
 先日、NHKの「クローズアップ現代」の中で、全国の移住者促進が成功した自治体では、高齢化で使わなくなったカスミソウ農家さんの畑でカスミソウを作るために移住した御夫婦、町唯一のパン屋さんが廃業し、町の支援を受けて、そこで新しい経営者になった御夫婦などの事例が紹介されていましたが、成功の秘訣として、まずは安定した仕事、住居、移住先のコミュニティーが必要ということです。前述の持続可能な地域社会総合研究所所長の藤山浩さんの話によりますと、若い子育て世代には都市回帰型と過疎自治体への田園回帰という2つの流れがあり、特に田園回帰型の場合は、都会ではできない生き方ができる、それによって地域に必要とされる生き方を望まれている方が、そういう人に来てほしいと明確に地域戦略を立てているところに向かう、誰でもいいから来てくれというところには移住者は行かないものであるとおっしゃっています。空港や駅、インターチェンジへのアクセスがよいなどの利便性と、少し行けば海も山も川もある南国市には、まだまだチャンスがあるのではないかと思っています。
 地域おこし協力隊なども、南国市で何をしてもらえる人を募集するのか、3年後地域で仕事をしてもらうための受皿をしっかりと考えてもらうようにしないと、来ても、また出てしまうということの繰り返しです。せっかく来たのに活躍の場を与えられず、もったいない3年間を過ごしてしまったという話も聞いたことがあります。前述の地域になくなったパン屋さんと新しい経営者である移住者さんがマッチングをしたのも、地域おこし協力隊の方でした。移住促進のお話のときにも出ましたが、募集の仕方やその後について、担当課として取り組むべき課題や改善すべき部分をお聞かせください。
○議長(浜田和子) 企画課長。
○参事兼企画課長(松木和哉) 地域おこし協力隊につきましては、現在商工観光課に1名在籍をしておりますが、任期後の受皿をサポートできるように、企業の支援でありますとか、協力隊のミッションに沿った関連企業との連携や地域住民との交流等について、フォローアップが必要であると考えております。
 今後の募集に際しましては、しっかりと地域戦略を描いた上で、地域課題とのマッチングを行うなど、任期後の定住につながるように取り組んでいきたいと考えております。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) ぜひよろしくお願いいたします。
 わざわざ今までの生活を捨ててまで地方に来るということは、そこにそれだけの意義があるということですので、受入れ側もしっかりとした体制が必要ですし、それによって地域が活性化することが、南国市には今大変重要なことだと感じています。中山間のみならず、各集落の維持や活性化を南国市でも重要と位置づけるなら、まずはその誠意を見せていただきたいです。
 先日、竹林整備に参加する中で、チェーンソーで切った竹をチッパーシュレッダーで粉砕し、その場で竹チップとして処理をしていました。これは以前、高知県の地域づくり支援事業により、平成24年度と26年度に竹パウダー機と併せて購入されたものだとお聞きしており、買換えをしたいけれど、今は市の単体で使える補助金もないと聞いています。当時の負担金は6分の1程度だったということです。今は竹林整備自体の支援には、林野庁の山村多面的機能発揮対策交付金を使っているそうですが、切った竹を放置するわけにも、持って山を下りるわけにもいかず、チッパーシュレッダーなくしての竹林整備はまず不可能です。
 市長、中山間も平地の集落も前回の調査からさらに高齢化しているのに、自助と自腹ではとても住み続けられません。十市の集落に至っては、チッパーもなしで竹林整備をしていると聞いております。一度御参加くだされば、物理的な限界が理解できるかと思います。せめて南国市がチッパーシュレッダーを数台購入して、地域の整備に貸し出すというようなことはできませんでしょうか。竹林整備を進め、集落や地域を守るなら、地元の力だけに頼らず、南国市としての姿勢も市民に示すべきかと思います。市長のお考えをお聞かせください。
○議長(浜田和子) 市長。
○市長(平山耕三) チッパーシュレッダーのような農業機械等の導入が可能な補助事業としまして、国、県の事業が幾つかございますが、ほとんどの事業で市が事業主体となれないこともありまして、市での購入という形は難しいと考えております。
 また、活動を行うに当たっても、地域で取り組まれる組織が機械を取得し活動することで、より機動的、効率的に取り込むことができるのではないかと考えます。
 そして、前回機械導入で県の事業を活用されたとのことでございますので、現在取り組まれている森林山村多面的機能発揮対策交付金で、2分の1の補助により機械等の整備が可能と思われます。現在この事業の要綱では、市費による継ぎ足しには対応しておりませんが、この事業に取り組まれている活動組織の取組の活性化に不可欠ということであれば、支援の内容につきまして市としましても検討したいと考えております。以上です。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) 南国市での購入は難しいということで、今回は誠意を見ることができず、少々残念でありますが、ぜひ何らかの支援内容を検討して実践してくださることで、誠意を見せていただけたらと思いますので、よろしくお願いします。
 以前から、他の同僚議員からも竹林整備の話や竹林の有効活用などの話は議題となってきております。その当時からまた数年を経て、危機的状況はかなり進んだと思いますが、地域の力だけでは難しいことを、移住促進や地域活性化の動きのある今こそ、連携事業として南国市も推し進める時期が来たと考えられます。中山間が荒れると鳥獣被害の拡大にもつながり、ひいては平地の維持も難しくなってしまいます。地域の問題解決、移住促進や県内外の発信、イベントの仕掛けは、まさに南国市の顔とも言える企画課の仕事です。市民の意見をしっかり取り入れて、横連携で市政を盛り上げてくださいますようにお願いいたします。中山間の質問については、ここまでにしたいと思います。
 南国市の猫問題、犬問題についてお伺いします。
 南国市の「広報なんこく」8月号冒頭で、猫の特集が組まれました。こういうふうな感じに猫の表紙と併せて、中を開けますと南国市のほう、これは南国市だけではなく、全国的な問題ですけれども、猫のトラブルに関する情報がこのように2ページ、見開きで出ました。内容としましては、餌やり問題、私なんかも長年県の公衆衛生として保健所のお手伝いをしている中で、しょっちゅう近隣トラブルとして目にしたり、耳にする内容であります。猫が好きで、かわいいとおっしゃる方もいらっしゃれば、勝手に敷地に入ってきてふんをしたり、マーキングしたり、汚いし迷惑だとおっしゃる方も多くいらっしゃいます。
 今回、このように詳しい内容の特集は南国市で初めてだったのではないかなと思うんですけれども、反応や御意見などがございましたら、お聞かせください。
○議長(浜田和子) 環境課長。
○環境課長(高橋元和) 今回の8月広報の特集についての反応でございますけども、今回の広報の記事で野良猫について生態や問題点など、知らなかったことを知れてよかった、また多くの人に野良猫問題の実情を知ってもらえる機会になってよかったといったものや、飼い猫の放し飼いについての記事も載せてほしいなどの御意見がありました。おおむねこの記事に対しまして、好意的な意見が多く寄せられております。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) それはよかったです。
 一人一人、御相談を私もお受けすることがあるのですが、まずは情報を共有して、解決方法を考えるスタートラインに着いてくださるきっかけになればと思います。ペットとしての身近な動物の位置づけというものは本当に千差万別でして、さっきも言いましたが、好きな方からしたらかけがえのない存在ですし、苦手な人からしたら大変迷惑な存在でもあります。
 そこでお聞きしますが、南国市におきまして、最近のペットに関する苦情や御相談にはどのようなものがありますか。
○議長(浜田和子) 環境課長。
○環境課長(高橋元和) ペット関係の苦情や相談についてでありますけども、依然として放し飼いの猫や野良猫によるふん尿の被害や、猫が敷地に入ってきていたずらをされるといった内容、また犬のほえる騒音などの内容が多く寄せられております。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) 犬は、狂犬病予防法により飼う場合は係留義務がありますが、猫はそれがありませんので、放し飼い猫の問題というのも高知ではまだまだ多いかと思います。放し飼いで問題になりますのが、先ほど申しましたふん尿やいたずらによる衛生環境の悪化、そして特集でも取り上げましたが、不妊去勢手術をしていないことによる望まない命の誕生です。ねずみ算ならぬ猫算は、初めはかわいい子猫1匹を手術せずに放し飼いする、もしくは雄、雌の子猫を手術をせず飼うところから、1年後には簡単に2桁の数に増えてしまいます。飼い猫に対しては、現在不妊手術に対する公的助成金がないので、あくまでも飼い始めたら増えて困らないように、飼い主様の責任で手術をお願いしたいところです。南国市としてやっている自治体としての野良猫対策をお教えください。
○議長(浜田和子) 環境課長。
○環境課長(高橋元和) 市の対策といたしましては、本年度から飼い主のいない猫不妊手術等推進事業費補助金を県補助金の上乗せとして補助を行っております。これは県の1万円の補助に加えまして、市から5,000円を上乗せ補助をしております。
 また、県の事業になりますけども、過去に行ったということで、集中的手術策というものがございます。これは飼い主のいない猫の中で、不妊手術等の実施計画を策定した地域に生息する雌猫や雄猫に対しまして、不妊や去勢手術を行う事業であります。本市では令和2年度に、ボランティア団体の協力を得まして、市が県へ計画を申請し、実施した経過があります。そのときの計画申請時の不妊手術数が65件、去勢手術数が45件でございました。このときの実施におきましては、ボランティア団体と十分協議した上で、実施地域への周知や捕獲、そして捕獲後の手術、その後の経過観察などに御尽力いただいて、事業を完了しております。以上でございます。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) 高知には、都会のように不妊去勢専門の病院があまりなく、その中でこういう補助事業があるということは、猫が増えることによる環境の悪化や近隣トラブルを少なくする意義のある取組だと思います。今、頻繁に犬や猫の譲渡会も行われておりますが、こういう切れ目ない不妊去勢手術をしてくださることが、結果的にかわいそうな命を一番減らすことにつながります。譲渡のスピードよりも繁殖のスピードのほうが勝るからです。
 実は保健所の引取りのほとんどが生まれたばかりの子猫たちで、動物愛護の上で一番問題になるのは、その外で生まれてしまう子猫たちなのですが、先ほど課長も申されました南国市の取組によりまして、実は平成30年には81頭、保健所のほうに引き取られていた猫たちが、令和1年には67頭、令和2年には65頭、そして令和3年には何と19頭にまで減っています。個人のボランティアさんの努力ももちろんありますし、その上で南国市での集中枠の手術の取組が確実に結果を出しているということでもあります。市長には御理解いただき、大変ありがたく思っております。今後とも小さな命を大切にする南国市として、事業継続のほどをよろしくお願いします。
 先日、東京に子供の大学進学のことで行っていて、動物関係の仲間のお宅に行く道で、珍しく外猫を見かけました。都会なので猫の室内飼いが浸透しているせいか、住宅地ではほとんど見かけないのでちょっと驚きましたが、当たり前のようにさくら耳の猫でした。さくらねこと言うようですが、不妊去勢手術をした印に、見たらすぐ分かるように耳先をVの字にカットするのですね。友人も長年猫のボランティア活動をしている人たちですので、それが当たり前ということでした。手術をしていると同時に世話をしている人がいるという証明にもなるということで、地域猫といって、野良猫を捕まえ手術して、もとの場所に戻し、自治会などで見守りボランティア活動をされていたりしております。外猫は室内で飼われる猫より短命ですので、生まれるサイクルさえ止めれば、徐々に減っていくということです。もちろん自治会などでの話合いやルール決めは必要ですが、お隣の高知市でも取り組まれていますので、それを参考に今後取り組んでみてもいいかと思います。その場合ももちろん早期の切れ目ない不妊去勢手術は絶対の条件となります。
 南国市には、現役の高知県獣医師会長もおられますし、県や獣医師会との取組も考えられます。その国の文化度を見るなら動物の扱いを見ればいいと、よく私たちもいろんな先生方の話を聞きに行く中でそういう例え話をされますが、南国市として自然や動物との共生社会を実現していくために取り組まれていることなど、お考えがありましたら、市長に所見をお聞かせ願いたいです。
○議長(浜田和子) 市長。
○市長(平山耕三) 具体的に取り組んでいるということは、先ほどの不妊去勢手術に対する補助ということになろうかと思いますし、災害時の連携協定ということを獣医師会とは結ばさせていただいてるということでございます。
 動物との共生社会につきましては、今、日本の状況といいますのは、ペットの放し飼いや不用意に飼育を始めることなどによる問題が起こり、野良犬、野良猫をはじめ、外来種の増加による在来種の生息域の減少など、生態系に与える影響が出てきておるところであります。ペットの安易な購入により、適切な環境下で飼育されていない動物や多頭飼育崩壊などの話を耳にするところでもございます。また、野生動物が人間の生活圏に入り込んできている問題もあります。
 一方、海外ではペットとして飼われている動物が、どうしたらもっと幸せになれるのかという観点で動物と接している国があり、国によっては犬のケージの大きさや自然光の入り具合などにつきまして、飼育規定があるとも聞いております。動物本来の姿を大切にし、動物に対して尊厳を持って接することが、おのずと動物の気持ちが分かり、配慮ができるようになる、そのことが人と動物とのいい共生関係を築いていく上での王道ではないかと考えられます。これらの問題に対処していくため、獣医師会と協力し、何ができるのか考えてまいりたいと思います。以上です。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) 動物に対して尊厳を持って接する、かわいい、かわいそうという話だけではなく、お互いがどう共生をするかの方法や線引きなども今後大切な話になるかと思います。
 昨今問題になっている獣害を起こす野生動物に関しましても、研究していてくださいましてありがとうございます。今後、環境整備なども関係してまいりますので、部署を超えた議論がなされるようにと願っております。
 さて、身近なペットや、特に飼われている犬や猫に関して、これは本来動物の問題だけとして保健所が解決するだけではございません。なぜならペット問題は、飼っている人間側の問題であり、人側の要因に起因するものだからです。
 広報の特集でもございましたが、猫の餌やりや近隣トラブルの中には社会的弱者が関わっている割合が多く、欧米では動物管理をする部署だけではなく、ソーシャルワーカーや人間側の福祉の担当者がチームとなることが多くあります。日本ではそういう話は周知されていませんが、南国市では例えば社会的弱者と思われる方の不適切な餌やりや、近隣トラブルが民生委員の方などから人間側の福祉担当に報告されることなどがございましたら、教えてください。
○議長(浜田和子) 長寿支援課長。
○長寿支援課長(中村俊一) 包括支援センターや社会福祉協議会、また福祉事務所には、民生委員さんからこのような事例についての報告はないとのことでございます。包括支援センターが関わったケースについて申し上げますと、多頭飼育により近隣とトラブルになっている事例があったようです。また、餌代が自身の生活費を圧迫して、お困りになっている事例もあったとのことでございます。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) なかなか生活が大変でも、目の前にいるとやめるにやめられないというようなことも多いかと思います。結果トラブルにまで発展しているということで、包括支援センターや社会福祉協議会への報告がないというのは、多分直接動物問題として保健所のほうへ相談持込みとなっているからではないかと思います。身近なペットや動物の問題は、人の問題であるとの認識は日本ではまだ少なく、保健所が解決するというふうに捉えられていると思いますが、環境省のほうに多頭飼育ガイドラインというものがあるのですが、解決に向けての関連する社会政策分野の中には、社会福祉協議会や地域包括支援センターなども含まれていることを御存じでしたでしょうか。
○議長(浜田和子) 長寿支援課長。
○長寿支援課長(中村俊一) 御紹介いただきました環境省の多頭飼育対策ガイドライン、令和3年3月発行につきましては、ボリュームも非常にあるものでございますが、これまで、このガイドライン自体を存じておりませんでした。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) いつものことですが、よいガイドラインがつくられていても周知もされていない、実際活用できないのが現状で、きれいな印刷物を税金で作っていても使えないのは動物関連だけではないのですけれども、大変残念で仕方ありません。
 昨今では御高齢になられた飼い主様が入院、施設への入所の際に、飼われていた犬や猫をどうすればいいか、このような御相談が多く寄せられ、私も時々個人的に御相談を受けることもございます。突然保健所に相談されても、保健所も引き取ることもできませんし、ボランティアさんもなかなか対応できないのが現状と思います。地域包括支援センターなどで御高齢の方の様々なお困り事をお受けしていると思いますが、中にやはり入所や入院に当たり、ペットの行き場がない、そのような御相談があるか、その場合どう対応しているのか、お聞かせください。
○議長(浜田和子) 長寿支援課長。
○長寿支援課長(中村俊一) 御質問があったような相談事例は確かにございますが、預かってくれる獣医さんやペットホテルを御紹介しても、費用面でなかなかつながらなかったり、また保護施設につきましてはいっぱいで、受入れが困難となっておることが多いようでございます。家族が引き取っていただけない場合、飼い主の方が預かってくれる人をお探しになることになります。猫よりは犬のほうが預かってくれるケースが多いと聞いてございますが、譲渡につきましては子犬、子猫でないと難しいということでございます。入院中やむなく包括の職員が猫の餌やりをした事例もあると伺ってございます。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) 高知でもあまり、まだペットと入れる高齢者施設などは少なく、なかなかいきなりよいシステムづくりをするというのは難しいと思っていますが、せめて事前に入院や入所等でペットを手放すかもしれないということが分かっていれば、そこに向けての対応を周りでしておくことで、いきなり困るというようなことが防げるのではないかと思います。保健所のほうでは、そのような飼い主様の情報は入手しにくく、ぜひ民生委員さんや包括のスタッフの皆様と情報共有していただけたらと思います。
 それに参考になりそうなのが台東区台東保健所での取組で、「地域で見守り、未然に防ごう!」っていうタイトルの元気なうちからペットの終活を勧めています。コピーをして、少し大きくしたんですけれども、こういうようなパンフレットを保健所のほうで作って、人間側の福祉の担当者の方にお渡しをしているようです。これも先ほど申しました、環境省の多頭飼育対策推進モデル事業によって台東区で作られたということで、こういうものに当てはまる場合には早めに対応をしてくださいというような内容になっています。これを御覧になられて、いかがでしょうか、担当課長の御感想をお願いできますでしょうか。
○議長(浜田和子) 長寿支援課長。
○長寿支援課長(中村俊一) 御紹介いただいた台東区の事例は、議員おっしゃいましたように、タイトルが「地域で見守り、未然に防ごう!」ということでございまして、飼い主環境サイドのみの問題とせず、地域の課題として捉えて取り組んでいるということで、環境省のモデル事業ということでございましたが、全国に先行するすばらしい取組であると思います。我々自らもペット問題の一翼を担っているという意識を持つように、今後心がけてまいりたいと思います。以上でございます。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) ペットの問題が、保健所やボランティアに相談すればよいということだけではなく、人の問題であると認識していただけて、大変ありがたく思います。今後ともよろしくお願いします。
 身近な犬や猫は、もともと野生の動物ではございません。人の勝手で、癒やしにも邪魔にもなる存在ですが、命の大切さを考えるに当たって、やはり南国市としても様々な観点から問題解決に前向きに取り組んでいただけたらと思います。
 次に、農と食育についてお伺いします。
 食を守るためには農が、農を守るためには教育が欠かせません。今回はその大切な食と農と教育についてお伺いします。
 南国市では、以前から地産地消をはじめ、食育に取り組んでまいりました。全国に先駆けての自校炊飯給食は全国からの注目を集め、先人の皆様の御努力、中山間の棚田米の保全としての食育は、大変ではあったと思いますが、称賛に値するすばらしいものだったと思います。
 先日も6年前に、南国市に食育の視察で来られた成田市の市議の方のブログを拝見し、お褒めの言葉を我が事のように大変うれしく感じました。給食はただ与えるものではない、食の自立、食文化を重視し、食に対する感謝の気持ちを育む、まさにこのとおりだと思います。自校式炊飯に関しても大変高い評価をされており、また南国スタイルの協力で、2015年の地産地消率は、南国市産のものが25%、県内産は63.9%であったと記述されていました。
 2005年に制定された食育のまちづくり条例には、市と市民が一体になって食育に取り組むことにより、健康で豊かな社会の実現と活力ある南国市を形成すると冒頭にあります。農業を基幹産業と位置づける南国市ならではの取組だと思います。
 そこで、教育委員会にお尋ねします。
 先月の市の「広報なんこく」にも、「NANKOKU給食だより」のコーナーで学校給食の取組が紹介されていましたが、いま一度その歴史と現状をお教えください。
○議長(浜田和子) 学校教育課長。
○学校教育課長(溝渕浩芳) 南国市の学校給食の歩みでございますが、平成9年度に南国市産の棚田米を学校給食に導入いたしました。翌平成10年度には、13校の小学校で家庭用炊飯器による自校炊飯を開始し、平成15年度には米飯給食を週5回実施するようになっております。平成17年度には、食のまちづくり宣言を行い、南国市食育のまちづくり条例を制定しております。また、平成29年12月より中学校給食を開始し、令和3年には南国市学校給食アドバイザー会議を立ち上げ、有識者の方に南国市の学校給食に対する御意見をいただいております。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) ロシアによるウクライナ侵攻への長期化や、燃油、エネルギー不足、円安など、今世界でも食糧に対する危機が報じられております。国内に目を転じましても、カロリーベースの国内自給率は相変わらず37%程度にとどまり、輸入小麦の高騰から大手メーカーが多くの食品の値上げをしてきております。
 農産物生産の場所においても、輸入肥料、農薬の原材料が高騰し、また手に入りにくくなっており、作りたくても作れない、作るために農家は大きな負担をかぶらなくてはなりません。その上に異常気象の不作、生産者の高齢からの離農、今、日本の一番大切な国の安全保障であるところの農業が、大きな局面を迎えていることは確かです。
 自国で作れない、輸入もできないとなりますと、まるで未来の見えない話となりますが、農業政策の場面におきまして大きな転換期を日本は迎えており、農林水産省が2021年みどりの食料システム戦略を策定し、2050年までに有機農業の割合を25%、100万ヘクタールに広げるという方針を上げております。このみどり戦略の実際の内容におきましては、少々疑問に感じる部分も多いのですが、そこに関しては今いろんな専門家や団体がパブリックコメントなどで是正を求めている状況だと認識しています。つまり農業政策の場面におきまして、今後持続可能な農業政策展開という、今までにはなかった方向性が示されてきました。国際的な流れに追随する形で、日本の農業政策も今後そちらへの流れが本流になるのではないかということになります。
 平成4年3月の第425回市議会定例会での私の一般質問での2050年までに有機農業割合25%達成に関しまして、農林水産課長から、簡単に実現はできないだろうが、有機農業の生産者の3割は規模拡大の意向を持っており、慣行栽培をされてる農家の約半数も有機農業に取り組みたい意向を持ってるとお答えいただきました。その際に、実現のためには消費面からの市場創出、消費者が価値を理解して買い求める社会への転換が必要になるともおっしゃいました。売れる先がないものは作れませんが、このような国の流れから、地元農業の振興を含めて考えたときに、まずは改めて学校給食における地産地消、食材利用の促進が最初だとは思いますが、今後の農政展開を見据えて、公共食料調達の給食にオーガニックの食材を一部でも使用していくようにはできませんでしょうか。もしくはモデル校を決めて、実施などをしてもらえないでしょうか。
○議長(浜田和子) 教育長。
○教育長(竹内信人) 私自身、オーガニック食材については興味があります。また、近年全国各地で開かれておりますオーガニックマーケットの盛況ぶりを見ましても、一般の方々のニーズの高さを実感しているところでございます。そういったこともありますので、何とか学校給食へ取り入れることはできないかということも考えたこともあります。
 有機農業によって栽培された作物は、科学的に合成された肥料や農薬が使用されておりませんし、遺伝子組換え技術も利用しないことが基本ですので、安全性が高いこと、また農業に由来する環境への負荷を減らしたものとなりますので、SDGsを進めていく上でも必要なことだというふうに思っております。
 しかし、給食につきましては、安心・安全な食材を使用することはもちろんですが、安定的な供給も必要となってきます。現状ではそういうことも考えますとなかなか難しいというふうに考えておりますが、今後生産量の増加ですとか、生産者同士の連携などの生産環境の整備が整ってくる状況の中で、検討していきたいというふうに考えております。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) ありがとうございます。
 教育長御自身もオーガニック食材に御興味がおありということですので、そういうものを望まれる消費者側の理由もよく御存じかと思います。私の周りはかなりそういう意味で情報を多くお持ちの方がおいでまして、広める努力をされているのですが、そこはまさにそういう食材を選ぶ理由としてのエシカル消費、食育が必要だと思うのですが、それに関しましてはどのようにお考えでしょうか。
○議長(浜田和子) 教育長。
○教育長(竹内信人) エシカル消費というのは、地域の活性化や雇用なども含む人や社会、環境に配慮した消費行動ということのようですが、価格だけでなく、その他の要因も考えて消費を行うという考え方は大事なことだというふうに思いますし、食育だけでなく、SDGsを進めていく上でも重要になってくるというふうに考えております。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) 世界的にも流れがそちらへ向かいつつある感じですので、ぜひ教育の一部としても、消費行動が社会を変えていくということを子供たちにも伝えていただきたいと思います。
 最後に、市長にお伺いしますが、税金で補助される学校給食は食材の決定なども住民の関心を集めるものです。保護者間の話でも、やはり子供にはできるだけよいものを給食で出してほしいという希望が多く、もちろん予算もあろうかと思いますが、それ以上に子供の栄養や健康について関心がある保護者も多いと感じます。市長として、南国市の給食に対するお考えをお聞かせください。
○議長(浜田和子) 市長。
○市長(平山耕三) 学校給食につきましては、安心・安全な食材を使用することは当然でございますが、南国市産やオーガニック食材を使用することによりまして、子供や保護者が南国市の農業、また地球環境に関心を持っていただくきっかけになれば、大変喜ばしいことであると思っております。
 オーガニック食材を学校給食に使用するには、安定的な供給の問題と現在使用している食材との価格差ということが現実にはあろうかと思います。こういった課題が解決できて、安心・安全で地産地消を考えた南国市の学校給食でオーガニック食材が使用できるようになれば、有機栽培に取り組みたい農家と子供の健康にとってメリットがあると考えております。以上です。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、食育は南国市の農業の維持発展にも大きく貢献しますし、オーガニックをしたいという農家と給食現場のマッチングは今後大切な生産性を生み出す仕組みとなると思います。なかなか予算的な部分、供給量、調理側の問題、コーディネートの問題もあろうかと思いますが、8月には高知市で実際にフランスでのオーガニック給食を推進されている調理師の方々をお招きし、調理実習や実践のための勉強会もありました。全国の地方自治体でも少しずつ成功事例も出てきていますし、大きなネットワークもできてきています。オーガニック給食を市を挙げて実践していますいすみ市太田市長が実行委員長を務められて、全国オーガニック給食フォーラムが10月26日にも東京で開催されます。オンラインの参加もできるということです。既に全国各地の市町村長20名以上、JA組合長も10名以上が出席されるということです。みどりの食料システム法成立に伴い、有機農産物の学校給食への活用を一部促進するため、自治体における有機農産物を提供する取組なども支援するとして、文部科学省が学校給食における地場産物等の使用促進の中で補助率3分の1の支援の予算要求もしております。今後こういう流れはあちらこちらで出てくると考えられます。持続可能な農業推進と子供たちの未来に関する政策は、多くの市民の関心を集め、移住促進の一因にもなります。南国市の食育のますますの充実と、持続可能で世界の流れを考慮に入れた農業政策に関する発信をしてもらえたらと思います。よろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 子供を育てておりますと、高校から大学、専門学校への進学時にいつも感じるのですが、一度に大きな入学金や授業料が必要になり、かなり進学というものが家計に負担になると感じます。大学進学における奨学金返済問題は、今や社会でも深刻な内容となっているようで、これに関してはよくメディアでも取り上げられております。奨学金を返せないために低所得から抜け出せず、結婚する時期を逃してしまうということが、一つには若者の独身率を上げ、少子化問題にもつながっているのではないかとの指摘もよく耳にするところです。
 日本学生支援機構の奨学金は、現在無利子の第1種が年間約11万人、有利子の第2種が約30万人利用がありますが、返済期間の13年から20年の間に返済が滞ってる人が268万人中33.1万人で、12%にもなるというデータがあります。返済が滞ると10%の延滞金、3か月延滞で債権回収会社に債権が回り、個人信用情報機関のブラックリストに登録されます。9か月滞納で支払い督促が送付され、それでも返せないと返還訴訟、強制執行、本人や保証人の自己破産へと進んでしまう可能性もあるという、なかなか所得の上がらない今の日本人にとっては、大学進学もままならないという厳しい状況となっております。
 そこで、南国市がその奨学金返済の補助をする南国市奨学金返還支援補助金について、その内容と今の進捗状況をお尋ねします。
○議長(浜田和子) 企画課長。
○参事兼企画課長(松木和哉) 若年層を中心としまして、地方から東京圏に人口が流出している中で、地方とのつながりを築き、地方への新しい人の流れをつくるためには、地方における雇用の創出、若者の地元就業による事業の定着が重要な課題となっております。このことから、地方への新しい人の流れをつくる施策といたしまして補助金制度を創設しまして、奨学金の貸与を受けて大学等を修了し、現に就労する者に対して奨学金等の返還に要する費用を補助して生活を支援することによりまして、若年者の南国市への移住・定住を促進することを目的といたしております。
 まず、進捗状況ということでございますけれども、補助金の制度設計につきましては、対象をできるだけ広くと考えておりますけれども、対象者の就労条件など、細かい要件につきまして現在内容を精査中でございまして、本年度内の実施に向け、準備を進めておるとこでございます。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) ありがとうございます。
 実際、運営をまだされてないと、運営をされてから効果を検証していただけたらと思います。
 利用実績とその後の若者の定住率における効果の検証について、また今後質問に取っておきますので、そのときは何とぞデータのほうをお願いいたします。
 私ごとで恐縮でございますが、まさに大学進学を控えた娘がおりまして、先日高校での奨学金説明会に参加してまいりました。予備校の専門のアドバイザーの方から、奨学金制度の説明のときに、奨学金は実態は学生ローンであり、返済は将来、お子様にとって大変な負担となる、できるだけ返さなくてはいけない奨学金を多く借りないようにと御説明がありました。それだけではなく、この30年間の間、世界の先進国で経済成長できていない国は日本だけです。日本は経済的に困窮したままなのですから、できるだけ御実家に負担をかけないで、必要最低限に借り、本人の学業に支障がない程度で、どのくらいアルバイトができるか検討して、お子さんにアルバイトさせてくださいとそのアドバイザーの先生からお話があったときには、心から驚きました。今の日本では親が経済的にどこも苦しいので、親に負担をかけずに、かといって奨学金返済に将来困らないように、大学に入ったらアルバイトをする前提でということです。押しなべて、これ皆さん同じ条件下であるという雰囲気のお話でした。ちょっと恐ろしい気持ちになってメモを取っておりましたが、思わず周りの保護者の方の様子をうかがってしまう、そんな不思議な説明会でございました。
 南国市の財政再建に、現職時代、長年行政職員として取り組まれてこられました平山市長にお伺いいたします。市の財政の健全化に関しましては、地方自治体の様々な縛りの中で御尽力されて、御苦労もされてきたと思います。そこで、先日積極財政に関する対談に御参加していただいていたと思いますが、今の地方財政や国の積極的な財政出動、デフレ脱却に関しての率直な市長の御意見や御感想をお伺いしたいと思います。
○議長(浜田和子) 市長。
○市長(平山耕三) 先日参加した対談についてということでございますが、対談は高市早苗衆議院議員と藤井聡京都大学大学院教授とで行われたものでありまして、その対談が終わった後、藤井教授の講演もあったところでございます。私はオンラインで視聴をさせていただきました。その内容につきましては、今必要なことは積極財政によりデフレ脱却を目指すというものでありました。
 高市代議士からは、まずはプライマリーバランスの規律の凍結、金融緩和、財政出動によりインフレ率2%を目指す。インフレ率2%を達成するまでは、プライマリーバランス規律は凍結する必要があるということをおっしゃっておられました。
 また、藤井教授も、今デフレ脱却のためにやらなければならないことは、まずプライマリーバランス規律の凍結であり、国債をどんどん発行してでも、まずデフレを脱却しなくてはならないということを、経済成長を続けているアメリカ、中国の例を挙げて、力説されておりました。また、今後のデフレ脱却後の目標もプライマリーバランスを取るという目標ではなく、例えば債務残高対GDP比とかという別の指標を目標として設定することが必要であるということをおっしゃっておりました。この対談の内容は非常に説得力があり、非常に勉強になりました。いい機会をいただいたなという思いでございます。以上です。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) 参加していただいた上に、御感想を本当にありがとうございます。なかなか地方自治体の市長として御意見をと言われても難しい内容で、御答弁感謝しております。
 本当にやっぱり大変な思いをしてるのは財源に乏しい地方です。そして、地方の衰退というのは、結局日本全体の衰退にもつながります。国の中枢部だけに任せるというだけではなく、地方の現状をしっかりと支えていくことも大変大切なことです。2期目1年を経過されました平山市長に、改めて地方自治体の長としての国政の要望をお聞かせいただけたらと思います。
 地方は通貨発行権を持っていませんので、国の動向に合わせる財政運営をしなくてはなりませんが、実際には日本は先進国の中でも公務員の数も少なく、イギリス9.6%、アメリカ7.4%と比較し4.2%にとどまっており、公共サービスのマンパワー不足にもつながっているのではないでしょうか。それに関してはどう思われているか、御所見をお聞かせください。
○議長(浜田和子) 市長。
○市長(平山耕三) まず、国政への御要望ということですが、地方財政につきましては、その前年度に立てられました地方財政計画によりまして大枠が決められるところでございます。地方財政計画は、以前から長引くデフレの影響などで財源不足の状況が続いており、その財源不足額を国の一般会計からの加算や臨時財政対策債などで今まで埋め合わせてきたところであります。しかしながら、国のデフレ脱却の取組によりまして景気が改善し、地方交付税の算定基礎であります所得税、法人税、酒税、消費税、地方法人税が伸びることによる地方交付税の増や、景気改善による地方税の増などにより財源不足が解消され、地方一般財源の総額が現在よりも増額されるということになれば、ひいては地方歳出の増につながるということも考えられますので、国にはぜひともデフレを脱却できる政策を実施していただきたいと思います。
 また、三位一体改革の流れの中で、平成16年度から地方交付税の削減が行われ、地方財政計画におきましても給与関係経費の削減が行われてまいりました。給与関係経費とは、いわゆる人件費と呼ばれるものでありまして、毎年のように給与関係経費が削減されることにより、南国市でも財政健全化や行政改革を進める中で、職員数がどんどん減ることになりました。結果、今現状こうなっているということだと思いますが、これからは少子高齢化への対応、またニーズの多様化などによりまして、多くの新しい業務も増えるとともに、社会保障費はもちろん伸びる一方で、歳出額もどんどん増えているところでございます。それならそれに見合う地方財政計画上の給与関係経費も増額し、職員数を増やせるよう、しっかりと国による財源手当てをしていただきたいと思うところでございます。以上です。
○議長(浜田和子) 斉藤喜美子議員。
○8番(斉藤喜美子) 本当にそのとおりだと思います。
 財源が回復すれば、地方ももっといろいろなことができ、職員の数もまた増やしていけるのではないか、結果的には市民に対する公共サービスが行き届いていく、これで市民一人一人、誰一人取りこぼしのない地方行政ができるのではないか、そのように思います。いろいろな課題の解決を進めるにしても、予算の問題は避けて通れないものです。ミクロ経済学だけではなく、マクロ経済学を知ることで、地方から国への要望も強く主張できるのではないか、経済の立て直しがいろいろな今のしわ寄せからくる問題を解決できるのではないかと思っております。
 それぞれ各課、また市長、丁寧な御答弁、本当にありがとうございました。今議会での私の質問はこれで終わります。
○議長(浜田和子) 昼食のため休憩いたします。
 再開は午後1時であります。