議会議事録
検索結果 » 令和6年 第436回市議会定例会(開催日:2024/09/06) »
一般質問4日目(斉藤喜美子)
質問者:斉藤喜美子
答弁者:市長、関係課長
○議長(岩松永治) 7番斉藤喜美子議員。
〔7番 斉藤喜美子議員発言席〕
○7番(斉藤喜美子) 思ったより大分早く来たので、ちょっと心の準備ができておりませんけれども。
なんこく市政会の斉藤喜美子です。最終日、お疲れとは思いますが、よろしくお願いいたします。
今年はようやくお米にも値段がつき、6月の農水省発表によりますと、今年5月の全国平均銘柄の相対取引価格が60キロ価格で1万5,597円となっており、これは前年度比で12%高となっております。最近はこれにプラス物価高騰下でも割安感のあるお米が買い求められる傾向にあり、また最近の相次ぐ災害の多さに買い置きをする方も増えたせいか、一部店舗では品薄、価格が高騰するような場面も見受けられます。南国市といえば、本来、二期作で有名なお米の生産地でもありますが、米の需要が少なくなってきている等の理由で生産量を減らすための政策もあり、水田から畑のへの転換なども図られています。その高知県で一番広い平野の農業利用についてお伺いいたします。
まず、南国市の現状です。
毎回のようにお伺いして申し訳ないんですけれども、改めてお聞きします。現在の国営圃場整備の状況と今後の予定をお教えください。
○議長(岩松永治) 農地整備課長。
○農地整備課長(高橋元和) 圃場整備の状況につきましては、市内15工区のうち、令和4年度から工事を進めております久枝、下島、能間工区や、令和5年度から工事を開始いたしました浜改田西部工区の一部では、新たな営農が開始されております。工事につきましては、引き続き、能間工区と浜改田西部工区で継続しているほか、本年の8月末からは堀ノ内工区で新たに工事を開始いたしました。
また、換地関係につきましては、先行している久枝工区の権利者会議を今年の秋頃に開催し、今年度末には換地処分公告、登記が完了する予定になっております。また、下島工区、能間工区での確定測量も実施中でございます。
工事着手に向けた設計につきましては、稲生工区では区画計画、排水路の基本設計が進められるとともに、片山工区の実施設計に着手しておりまして、今後、地区境界測量にも着手する予定となっております。その他の工区におきましても、順次工事に着手できるよう、地権者の皆様はもとより、関係機関と連携して準備を進めております。
また、圃場整備の事業費の確保に向けましては、市長を筆頭に、議長、JAと共に、中国四国農政局、農林水産省、財務省、そして関係する国会議員に対して、年2回ほど要請活動を行っております。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。堀ノ内工区でもようやくというような声も聞こえてきております。稲生のほうも排水の問題が大きいかと思いますので、設計に着手されたということで、地元の農家さんも安堵されているのではないかと思います。
それでは、今取り組んでいる地域計画の進捗状況をお教えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 地域計画につきましては、10月から市内13地区で、順次、座談会を開催し、誰がどの農地を耕作していくかを地図化した目標地図の素案を地域の方々にお示しして、御意見をお伺いする予定で準備を進めておりまして、今月9日に開催されました農業委員会の定例総会におきまして、座談会の日程調整などにつきまして、農業委員の皆様に御協力をお願いしたところでございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。今後も地域計画に関しては、座談会で、地域の今後の耕作農地をどうしていくかなど、問題解決を進めていくということですが、農業委員会がかなり重要な役割を果たさなければいけないようです。私も座談会進行のファシリテーターの講習会とかにも参加してみたんですけれども、なかなかこれは慣れていないと円滑な進行は難しいなと感じたところです。
今年度は、南国市農業振興地域整備の計画見直しの年に当たっております。令和6年度の見直し基礎調査資料を拝見いたしますと、南国市の総人口は、平成22年、4万9,505人から令和2年には4万7,247人に2,258人の減少、そのうち農家人口は、平成22年、2,821人から令和2年には2,345人の476人の減少となっています。また、農用地等の保全及び利用の現況及び見通しという資料では、農業経営体数は、平成22年では1,485件、うち家族経営体が1,463件、これが令和2年には農業経営体913件、うち家族経営体894件と、農業経営体自体でも572件の減少、うち家族経営体が569件の減少となっており、もともと家族経営体が多い農業の在り方ではありますけれども、減少している農業経営体のほとんどが家族経営体となっています。これがその10年後、令和12年の見通しとなりますと、農業経営体800のうち家族経営体は750で、10年間で144の減少、反対に組織経営体が19から50に増える見込みです。それに伴い経営耕地面積が5ヘクタール以上の集約農地が増えてきており、今後もその傾向になるという見通しになっております。高知県で一番広い平野である香長平野を有効活用することは大事だと思いますので、ある程度、集約して、法人化した農業経営体が大型機械で効率的に活用できるようにするのは大切ですけれども、その反面、個人で頑張っている農家が高齢化によりどんどんやめられていっているという事実もございます。
そこでお伺いしますが、南国市では担い手育成は進んでいますでしょうか。というのも、基礎調査資料の中の農用地利用集積の現況及び見通しという項目では、耕地面積全体における担い手の耕作面積について、担い手の農地利用集積率が、令和2年では26.0%だったものが令和12年の見通しでは61.9%に上っております。担い手に集約をしていくという方向で取り組んでいるとは思いますけれども、先ほど圃場整備も始まったという地区でも、若い担い手がほとんどおらんと、高齢の農家さんの心配の声もありました。今後、集積した農地を担う担い手育成はどういう計画か、また整備後の圃場の利用に関してはどのように考えているのか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 担い手の育成、確保につきましては、南国市や県、JAなどで構成されております、南国市担い手育成総合支援協議会などにおきまして、新規就農の相談や支援策の情報提供などの対応を行っております。新規就農者数につきましては、まち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、平成27年度から平成30年度までの年平均11人を基に、令和2年度から令和7年度までの累計で60人を目標としております。また、南国市農業振興地域整備計画の基礎調査資料におきまして、令和3年から令和12年での新規就農者数の見通しを累計で200人としておりますが、令和2年度から令和5年度までの実績が25人となっておりまして、目標達成は厳しい状況となっております。引き続き、国や県の補助制度を活用しながら、担い手の育成、確保を図ってまいりたいと考えております。以上です。
○議長(岩松永治) 農地整備課長。
○農地整備課長(高橋元和) 国営の圃場整備事業を契機としまして、稼げる農業を実現するため、各工区で将来の担い手に80%以上の農地を集積することを目標としておりまして、久枝工区、下島工区や能間工区では80%以上の農地を担い手に集積する計画が作成されております。また、事業を契機とした企業参入等による次世代園芸ハウスの導入や、大規模露地園芸作物の産地化に向けた取組も進めております。能間工区におきましては、次世代園芸団地として公募したところ、2法人の入居が決定しております。ハウス面積で言いますと、合計で3.2ヘクタールとなっております。さらに大規模露地園芸作物として、本年度から双日土佐農人株式会社がタマネギの栽培を本格的に開始しておりまして、今年2月には、企業、県及び本市との間で企業進出協定を締結し、官民一体となって取組を推進しているところでございます。今後も農家の皆様はもとより、県、JA等の関係機関と協力いたしまして、新たな企業参入や担い手の育成を図りながら、整備された農地を活用して、稼げる農業の実現に向けて取り組んでまいります。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。圃場整備が進んでも、担い手が育成できていなければ、なかなか、圃場はできてもやる人がおらんというような状況になるんじゃないかと心配しています。新規就農者があと6年で累計200人まで一気に増えたら、それはそれで明るい未来ですけれども、今のところ、計算上という形でなかなか難しい状況だとは思います。あとはもう本当に一部、どうしてもこのような法人化、企業化、協業の方にも入っていただくということで、圃場を有効に使っていただくということを目指されているということです。それも一つ方法だとは思います。
私自身は、個人的に稼げる農業という言葉があんまり好きじゃなくて、お金稼ぐことにこしたことはないです。でも、今は続けるにも一苦労しているような状況です。本当は普通に頑張って農業で生活ができればそれが一番いいと思いますし、農業の担う多面的機能は地域の環境を守るものでもありますので、稼げるという言葉だけに特化するのもちょっと違うのではないかと思うところです。
先ほども、今年はお米の値段も上がり、これで米農家さんも一安心と思いきや、米農家の倒産件数が過去最高となってきているというニュースが、先日も入ってまいりました。全国的な米不足と価格高騰の中、米作農家の倒産や廃業に歯止めがかからないという見出しで、2024年1月から8月に発生した米作農業の倒産(負債1,000万円以上、法的整理)が6件、休廃業・解散、これは廃業ということですけれども、28件発生し、計34件が生産現場から撤退、倒産廃業の件数は23年通年の件数35件を大幅に上回り、年間最多が確実で、初の年間40件台到達も想定されるのだそうです。原因としては、生産コストの上昇と深刻な後継者、就農者不足が上げられるということです。つまり、再生産をするためには、投資したものを作物で売って回収しなければいけませんが、資材高騰により支出が増えて、米の価格が上がっても手元に残らない状況であり、そのような農業を次世代が受け継ぐことができない状況になっているということです。これはほかの作物にも言えることでして、ここが改善しない限り、あと6年で新規就農者が累計200人まで伸びるというのは厳しいと思っていますし、担い手になっても定着してくれるのかや、高齢者の離農のますます加速するスピードを考えますと、決して楽観視できない状況だと思っています。
次の補助金事業と環境負荷低減農業の話に移りたいと思います。
そのような農業の状況でありますから、生産物の販売価格を考えますと、自己資産だけでの経営は、現状はかなり困難な産業であるとも言えます。そこで、農林水産業には細かく多くの補助金がありますが、実際、南国市にはどのくらいの予算があって、どのくらいの執行率なのか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 令和5年度の農業振興費における補助金の執行率は、令和6年度に繰り越して執行しております食品加工業継続支援事業費補助金の1,000万円を除きますと、予算額約1億3,600万円に対しまして執行額約1億1,700万円となっており、執行率は約86%となっております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。農林水産省の最近の予算では総額がほぼ2兆円ちょっとで推移しており、農業現場ではかなり困窮し、さっきの話のように、米農家も価格が上がってもやめている状況です。そもそも農業に関する補助金は、個人では使いにくいものや規模拡大や機材購入に対するものが多い気がしますが、南国市ではどのようなものが多く使われていますか。
また、そのほかでよく使われるものはありますか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 御指摘のとおり、園芸用ハウス整備事業費補助金が約2,500万円、園芸用ハウス等イノベーション事業費補助金が約1,000万円の予算額となっておりまして、園芸用ハウスの整備や生産基盤の強化に関する補助額は大きいですが、そのほかにも新規就農者や中山間地域への補助、環境保全型農業への交付金など、様々な補助がございます。
また、直接、市の事業ではございませんので、市で予算措置されているわけではありませんが、国が直接農業者に交付する水田活用の直接支払交付金事業もございまして、本市におきましては、飼料用米や発酵飼料用の稲の作付などに対して活用されております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。どちらかというと、やはり続けるためというよりは、米以外を作ることや資材に対する購入補助が多く使われてるようですね。先ほどの答弁にもありましたが、環境保全型農業に関する補助金もあるようですけれども、具体的にはどのようなものがありますか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 地球温暖化防止や生物多様性の保全に対する取組への補助としましては、現在、本市では、環境保全型農業直接支払交付金という国の事業を活用した補助がございます。
主な内容としましては、化学肥料及び化学合成農薬の使用について、地域で通常使用される量から5割以上低減する活動と併せて、緑肥として土壌中に土壌改良に役立つ作物を加える、いわゆるカバークロップと呼ばれるものを活用した取組を行う場合に10アール当たり6,000円を交付したり、炭素貯留効果の高い有機農業を実践する場合に10アール当たり1万4,000円を交付するといった内容となっております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。10アール当たり6,000円とか1万4,000円とか、もらえないよりはもらえたらありがたいのかもしれませんが、今の個人の農家の方には微々たる足しにしかならないかなというところだと思います。
それでは、環境保全型農業に関する直接支払いなどの補助金申請数は、現在どのようになっていますか。
今後、それは増える見込みはありますでしょうか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 令和5年度に3団体に対しまして交付しております。また、令和6年度におきましても、3団体から交付申請が提出されておりますが、申請数が増える見込みというのは、現在のところございません。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) やはり施設園芸や慣行農業の盛んな南国市なので、そちらが急に増えるっていうのは難しい、なかなかないのかなと思います。しかしながら、農薬や化学肥料の価格が高止まりしているために、農家の方も農薬の使用や化学肥料の使用を物理的に控えたり、中には緑肥を作って入れざるを得ない状況になってきております。私の知ってるところなんかでも、緑肥を育てている畑とかも見かけるようになってきました。
高知県は今年5月30日に、高知県有機農業推進協議会の設立総会が行われました。高知県からは、担当として農業担い手支援課、環境農業推進課、農産物マーケティング戦略課が参加して、有機農業生産団体、流通業者、消費者団体代表、関係団体、高知大学の学識経験者が参加し、今後の有機農業の県での推進の仕方について話合いが行われ、その中で学識経験者として高知大学人文社会科学部長の岩佐和幸教授も、世界的な情勢を見ても有機農業の転換期の時代が来ている。この協議会での活動を含め、ローカルなところから積極的に推進していければと思うとおっしゃっています。県も、農水省のみどり戦略などの持続可能な農業への転換方針に呼応し、このような方向性を示しているのですが、南国市としては、今後どのような取組を考えていますか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 改正食料・農業・農村基本法の柱の一つに、環境と調和の取れた食料システムの確立が盛り込まれましたが、農業と環境の調和は、異常気象が農業生産に及ぼす影響を抑えるためにも重要な取組であり、世界的な時代の潮流であると認識しております。有機農業の拡大を実現するには、生産面の取組だけではなく、それを支える消費面からの市場創出、消費者が有機野菜の価値をその労力に見合ったものと納得して買い求める社会に転換していくことが必要であり、生産者と消費者、双方の協力、そしてそれを後押しする国の制度設計が不可欠であると考えております。
基本法の改正を受けまして、新たな制度が創設されることが期待されておりますが、具体的な内容につきまして、現在、国の動向に注視しているところでございます。当面、有機農業に取り組みたいという新たな担い手からの相談があった場合には、現行の制度でできる支援の御説明や、専門的な情報が必要な場合は県につなげるなど、関係機関と連携して取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。実際、今まで高知県のほうも有機農業での新規就農に関してはなかなか指導者が限られており、そのあたりの情報共有や支援をしにくい状況を改善しようということで協議会ができたとも言えます。消費者団体を協議会メンバーに入れることで、消費者への情報提供をする、これで販路を拡大するという方向でもあります。価格高騰している化学肥料や農薬が使いにくくなっていることもあり、既存の農法からの転換期になっているとも感じるところです。そのあたり、県とも連携を取って、サポートすることでやりたい農業ができる現場をつくり、新規就農されたい方が農法などの問題で窓口で排除されませんようによろしくお願いします。
このように、まずは農業技術の指導者が少ないという問題と生産物の販路が大きくないという問題は、有機農業が拡大しない原因でもあり、そこは農林水産省においても、給食などの公共調達を安定した販路の確保とすることを推奨しております。
そこで、食育に熱心に取り組んできた南国市でも、もっと地元のものや有機農業、自然栽培などの生産物を取り入れてもらいたいと、以前から学校教育課にも言ってきました。農業は、安定して作ったものが無駄にならないように売れることで再生産ができ、持続可能になります。農家の皆さんが安心して作物が作れるように取り組むことはできませんでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 先ほどお答えしましたとおり、有機農業の推進は国を挙げての取組となっているところでございますし、地元の有機食材を学校給食に使用すれば、地産地消の推進につながり、南国市の農業や地球環境に関心を持っていただくきっかけになるのではないかと思います。しかしながら、現実問題といたしまして、有機食材を学校給食で使用するには、現在使用している食材との価格差など、難しい課題があると考えております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 価格差についてですが、実際に取り組まれてるところでは、差額が出る場合もあれば、逆に旬の野菜を取り入れると価格が下がる場合もあります。加工品を控え手作りにすることやたんぱく質をお肉以外から摂取できるようにすると、これも費用が抑えられるようです。有機のお米は価格が高いとのことですが、あえて農家からそういうお米を市が高く買い取り、地元の農家を地元の給食が支える仕組みを導入している市もあります。その辺、現場の調理師さんや栄養士さんなどとの情報共有も必要かと思います。地元のもので地元を支える、この循環が今後は大変大事になってくると思います。南国市は農地もありますのでこれが可能ですし、その上でよい食材を県外へ売りに行くこともできます。都会の友人たちと話をしても、高知の農家はすばらしい食材を提供してくれている。高知の農業を守ってもらいたいと言われます。香長平野を有する南国市で、今後、どう農業を守っていくか、1つには、御答弁にもありました、改正された食料・農業・農村基本法では、基本理念について、食料安全保障の確保が規定され、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ国民一人一人がこれを入手できる状態とすると明記されております。国民に対する食料の安定的な供給に当たっては、農業生産の基盤等の確保が重要で、国内への食料の供給が大切であるという意味のことが書かれています。その一方で、海外の輸出を図ることで、農業及び食品産業の発展を通じた食料の供給能力の維持が図られなければならないとも書かれていますし、基本施策として、農産物、農業資材の安定的な輸入の確保、収益性の向上に資する農産物の輸出の促進なども書かれており、カロリーベースの自給率が先進国では最低レベルである日本としては、まずは国内の農業自給率を上げることに重点を置くべきだと思うのですが、高付加価値の農産物輸出というのが、日本の農業では数字が出やすく、花形になりつつある懸念も感じております。安い農産物の輸入で日本の農業は大変苦労をしてきましたが、今や経済成長しなくなった日本では、輸入すら今後、買い負けをする状況になるかと思います。まずは南国市で、高知県で、日本国内で、食料安全保障は守られるべきだと考えています。そういう意味では、農地も交通インフラもある南国市は県内でも最前線ですので、今後とも注視し、意見させていただきますので、よろしくお願いいたします。
次に、鳥獣被害についてです。
私も南国市の山側で暮らしていますので、山道で野生動物に出会うことはしょっちゅうで、タヌキ、ハクビシン、野ウサギ、イノシシなのですが、その中でも突出してイノシシが多く、一時期は家の近くに親子イノシシが住みついて困ったこともあります。最近はイノシシが豚熱の蔓延で少し減少していたようですけれども、南国市におけるイノシシ、猿、鹿の被害状況はどのようでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 本市におきましては、令和5年3月に瓶岩地区で豚熱に感染したイノシシが確認されて以降、北部地域でのみ感染が確認されておりまして、令和5年12月以降は新たな感染確認はされておりません。豚熱の影響かどうかは不明ではありますが、北部地域におけるイノシシの捕獲数は、令和4年度の245頭から令和5年度は160頭と大幅に減少しております。一方、十市や稲生など、南部地域におきましては、令和4年度が65頭、令和5年度が88頭と増加しており、北部地域では、イノシシの目撃情報、捕獲数の減少に伴い、農作物への被害が減っておりますが、南部地域では、逆に目撃情報、捕獲数の増加に伴い、被害も増えているという状況でございます。鹿につきましては、令和4年度の捕獲数が45頭、令和5年度が56頭となっておりまして、近年、増加傾向が続いており、それに伴い被害も増えております。猿につきましては、捕獲実績はございませんが、年に一、二件程度、猿によるものではないかと思われる農作物への被害報告が上がってきております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 私の住む地域にはタケノコの畑が多いので、電気牧柵を皆さん使われており、それには南国市から補助が出ているのですけれども、ワイヤーメッシュ柵には市からの補助が出ないというので、農家の方が困っている状況です。南国市として補助を出すようにしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 電気牧柵につきましては、市の単独事業で、購入費の3分の2、1件につき上限5万円までの補助制度がございますが、ワイヤーメッシュ柵は対象外となっております。ワイヤーメッシュ柵につきましては、県の事業を活用した設置費用の2分の1を補助する制度がございますので、そちらを利用していただいております。この補助につきましては、1件当たりの上限は設けておりませんが、県の事業を活用しておりますので、県から配分があった予算の範囲内で、必要と認められる経費に対しての補助となっております。ワイヤーメッシュ柵についての補助ということでございますが、現状、限られた財源の中で、鳥獣被害防止に取り組むに当たっては財源の確保も重要となってまいりますので、御理解をお願いいたします。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 今のところ出せないという御答弁だと思いますが、いいかげん、農作物の価格が生産販売で回収できないような状況にある中で、獣害でやられたら、それこそ心は折れますよ。柵を張るだけでも大変な労力です。今後は、せめて財源確保に尽力していただきたいと考えますので、よろしくお願いいたします。
南国市でも、鳥獣被害を緩和するために捕獲に対して補助を出したりされていますが、捕獲してくれる猟師の皆様の高齢化や人手不足が問題になっております。人材の育成に対する南国市の補助にはどのようなものがありますか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 新規狩猟者の確保対策につきましては、こちらも県の事業を活用しまして、狩猟免許を取得する際に必要となる講習の受講費用や診断書の発行に要する経費、猟銃の許可申請に係る射撃練習の受講費用に対して補助を行い、有害鳥獣捕獲の担い手となる狩猟者の確保に努めております。
また、補助制度につきましては、南国市の「広報なんこく」などにおきまして周知を図っておるところでございます。
以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。令和5年度に作成されました第6次南国市鳥獣被害防止計画にも、従来講じてきた被害防止対策についての課題で、高齢化により捕獲従事者が減少しているため、担い手の確保が必要とあります。以前、少しモンキードッグの育成に関しても関わったことがあり、そのときに高知の獣害状況についてもいろいろ学ぶ機会がありまして、一旦、わな猟の免許も取りましたが、更新をしておりませんでした。また、取得して、私も少しでも地域の役に立てるのであればと思います。
今はいろいろな地域でジビエ料理などを地元の名物のようにして出してますが、以前もジビエカーの話が丁野議員からも出ました。例えば集落活動センターなどでジビエ加工などに取り組む場合には、何か補助などはありますでしょうか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) ジビエ加工に関する施設整備につきましては、国の鳥獣被害防止総合対策交付金事業で補助率2分の1のメニューがございますが、実際に申請するとなりますと、補助要件などを精査し、適用されるかどうかなどについて、国や県と十分に協議して進めていく必要があろうかと思います。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。集落で取り組むのは少し難しいという印象ですね。先日は南国市鳥獣被害対策協議会で、愛媛県の松野町にありますまつのジビエの視察に行ってまいりました。こちらはNPO法人森の息吹が運営している町指定の解体加工施設でして、近くで捕れた鹿を買い入れて、食用肉や加工品にしている施設です。猟をされている方からしたら、捕っても、その後、自家消費、要らない部分を埋設処理するのも結構な労力です。なので、捕ったものを買い取る仕組みで、大変負担減になるなと感じました。個人や小さな取組ではなかなかジビエ肉加工は難しいと思いますが、こういう公的な加工施設の建設などは検討できませんでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 有害鳥獣として捕獲したイノシシなどの肉を地域資源として有効活用することは、地域の活性化につながり、また捕獲意欲が向上することで鳥獣被害の軽減も期待されるところでございます。現在、捕獲した後の処理方法としましては、埋設処分か捕獲者の自家消費となっており、捕獲した後の処分も捕獲者の大きな負担となっておりますので、捕獲者の負担軽減という点からも、加工処理施設や減容化施設は意義のある施設であると思います。
しかしながら、豚熱感染確認区域であります本市において、ジビエを利用するとなりますと、捕獲者や施設職員は防護服の着用や十分な消毒など、徹底した豚熱ウイルスの感染拡大防止対策が求められておりますので、捕獲者などの負担は非常に大きなものとなります。また、実際に施設整備に取り組むとなれば、場所の選定や建設費用、運用する人員の確保やランニングコストなど、様々な課題がございますので、それらを考えますと、現時点では加工施設の建設は難しいと考えております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ちょっと豚熱の問題もありまして、今はそういう話をする時期ではないのかもしれませんけれども、やはりなかなか処理をするのが大変であるということは知っておいていただきたいと思います。
ジビエの加工場でのもも肉の処理を見せていただいたんですけれども、鹿の。家畜と違って品質にばらつきがあって、商品になるものならないものがあるというようなお話もされていました。そういう意味では、ランニングコストがかかる割にはなかなかお金につながらないというところで、これは個人的にやるというのは逆に難しいのではないか、自治体の補助がないと運営は厳しい施設だなというふうに感じました。ちょっとこの農水省の進める害獣駆除をしつつ、ジビエで産業活性化でもうける、私の中では最近どうかなっていうふうになってきております。じゃあ、やめとけっていう話になるかということですけれども、まつのジビエさんでもペットフード部門のお客様はかなり多いということで、私も個人的にペットフードを扱う仕事もしておりますけれども、こだわりのある飼い主様っていうのは、自分のものは我慢をしても、自分の犬や猫のものは価格が多少高くてもよいものであればリピートする傾向があります。もちろん売る側にも買っていただける品質であることを説明し、セールスする能力、仕組みは必要かと思います。そういう意味では、愛媛県鬼北町でペットフードに特化したジビエ加工に取り組んでいるそうです。最近はアレルギーの多い犬や猫も多く見られて、やはりドッグフード、キャットフードが合わないという子たちには大変喜ばれているということです。ペットの飼い主様市場を狙った販路開拓をしているようですけれども、これは質問じゃないですけども、御参考までにお知りおきください。
いろいろここまでジビエの話もしてきたんですけれども、ジビエのペットフードが地域の話題づくりやイメージアップに一役買うとしても、それが農作物の被害低減になるかというと、ちょっとそこは別にしないといけないのではないかと、最近、思うところです。財務省による鳥獣被害防止総合対策交付金、これは平成30年度から令和4年度分を対象にした調査の総括報告なのですが、有害鳥獣捕獲数と有害被害減少額には明確な相関関係は見られず、単に捕獲数を増加させるのみでは被害減少にはつながらないと明記されております。つまり、捕る数と被害とはあまり関係ない。被害減少とあまり関係ない。捕獲数を増やすだけでは駄目ではないかということです。
そこで、捕獲数を増やすというところだけに頼らず、例えば動物生態学や行動学の見地から獣害を食い止める取組を考えてみてはどうでしょうか。島根県美郷町での取組は、猟友会の皆さんだけに頼るものではなく、まち全体で、女性も多く参加して、農家の皆さんもわなを仕掛けて捕獲する、住民が主役の獣害対策を実施しており、4,355人の住民のうち、何と100人以上がわなの免許を取得、町内400か所以上にわなを設置しているのだそうです。そこに野生動物行動学者の第一人者である麻布大学の江口祐輔教授をお招きして、イノシシの行動学の見地から効果的な捕獲や防御の仕方を取り入れたり、産官学共同での取組を美郷バレー構想と銘打って、地域活性化を含めて新たな獣害対策研究を麻布大学のフィールドワークセンターを作ってやられているということです。南国市としても、このような方向性も、今後、獣害防除の手段に取り入れておくべきかと思いますが、いかがでしょうか。一度視察をしに行くか、講演会などを南国市で主催していただきたいと考えています。どうでしょうか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 先ほど電気牧柵や捕獲について答弁させていただきましたが、議員御指摘のとおり、それだけではいたちごっこのような状態になりますので、根本的な解決を図るためには、野生動物の生態を学び、野生動物を引き寄せる要因を取り除くなど、捕獲に頼らない対策も重要であると思います。本市には、狩猟者や農業者の方々などで構成されております鳥獣被害対策協議会などの組織がございますので、そのような団体の総会などに専門家をお招きするなども一つの方法ではないかと思います。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ぜひよろしくお願いします。高齢化、人手不足、個体数の増加で、そろそろ方向性も転換期ではないかと思います。獣害対策は一部の方や男性だけがやるものではないという認識も必要かと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、今こそ女性農業者の意見をということで御質問させていただきます。
最近、多くの女性農業者さんといろいろな勉強会の参加を通じて意見交換をする機会をいただいております。今、まさに中心となって農業を営まれている女性農業者は同年代の方も多く、自分の子供たちがちょうど20代から30代ということで、話題は低迷する農業を子供たちが継いでくれるのかどうかに終始することも多いです。そんな中、新規就農者には補助金が手厚く出るのに、親元就農にはあまりメリットがないので継がせにくいという話もよく出ます。南国市の就農の現状におきましても、家族での就農も多いと思います。以前も伺ったと思いますけれども、親元就農においての補助金などの優遇措置などはございませんでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 新規就農につきましては、就農直後の経営確立を図り、次世代を担う農業者を確保することを目的とした補助制度が、従前から国の事業でございましたが、親族の農業経営を継承することを目的とした、いわゆる親元就農につきましては、農業基盤がない新規就農に比べてリスクが低いということで、補助の対象外となっております。
しかしながら、令和6年度からは、国の事業から外れる親元就農につきまして、県の事業で年間120万円、最長2年間、助成する制度が新設されました。親元就農でない場合は、年間150万円、最大3年間、助成を受けることができますので、それと比較しますと差はございますが、親元就農への補助制度が新設されたことは、新規就農者の確保につながるものであると期待しているところでございます。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 今年度からの県の事業ということで、ありがたいと思います。今、農業経営自体が厳しい中、子供に継がそうか迷っている農家の方も多いと思いますし、実際、子供には継がせたくない、働きに出したという農家さんも多いです。しかし、農業は地域で取り組む活動も多い中、もともと親がやっていて知り合いも多い農家さんの後継者さんが親の後を引き継がれるというスタイルは理想的ではないでしょうか。新規の担い手づくりに併せてこちらも力を入れるべきだと思います。今の農家は機械がないとできませんし、そこは親が持っているからといって、古くなれば壊れるし、買い換える必要があるのも、新規就農者さんよりもリスクが少ないと言えるのかどうかは疑問です。少しでもスタートアップにサポートがあれば、やりたい方の気持ちに安心感も与えられるかと思います。県の事業として今年からということですが、南国市独自で取組は何か考えられていますか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 先ほどお答えしましたとおり、今年度から県事業で親元就農に対する助成制度が新設されたところでございますので、まずは県の事業を活用して、就農者の確保につなげていきたいと考えております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) また県の事業が始まったばかりですので、一定効果があれば、まだ南国市としても独自の方向性をお示しいただけたらと思います。南国市は新規就農者だけではなく既存の農家も大事にするという姿勢は、今後、高齢の離農者が一気に増える数年後には食料安全保障が守られないのではないかと危機感を抱いている中で、大変農家に安心感を与えるメッセージになるかと思います。
そして、女性同士で話をしておりますと、これは農業だけではないのですけれども、例えば女性農業者を増やすためや、なぜ農業をする人が増えないのかなど、かなり本質を突いた意見が次々と出てきて、これに国がしっかり本腰を入れたら解決できるのではないかと思うところです。意見の中には、圃場での作業中、トイレがなく困るので、トイレや作業着を着替える場所が欲しいという話、男性より力がないのに機械を使うのは男性なので、女性が使いやすい機械の開発や導入で負担なく農業が続けられるのではないかという意見、皆さん、日頃、これが改善されたらもっといいのにという意見がどんどん出てくるので、ワークショップはいつも大にぎわいで楽しいものです。女性ならではの視点やコミュニケーション能力を今こそ農業現場改革に生かすべきと考えていますので、女性農業者の意見を聞く交流会をしてみてはどうでしょうか。
それと、女性農業者に特化した支援策は考えられませんでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 議員がおっしゃるとおり、農業分野に限らず、意見の多様性は必要でありますし、女性の活躍が進むことで、多様な視点や価値観、創意工夫がもたらされるのではないかと思います。高知県の第5期産業振興計画におきまして、農業分野の取組として、多様な担い手の確保、育成が掲げられておりますが、その中で女性への就農支援の強化が新たに盛り込まれております。先ほどお答えしました、県事業での親元就農への補助も、20代や女性の就農者を増やすことを目的として創設されたものであります。また、県主催で女性農業者などを対象とした農業機械に関する研修が開催されたりしております。また、国におきましても、農業委員に占める女性の割合を30%以上とする目標を掲げるなど、地域のリーダーとなり得る女性農業経営者の育成や地域の女性農業者グループの活動、女性が働きやすい環境づくりなどの取組に対して支援を行っております。本市におきましては、19名の農業委員のうち5名の方が女性で、斉藤議員には農地利用最適化推進委員を務めていただいておりますので、まずはそのような方々を中心とした女性農業者の御意見をお伺いする場を設けることは有意義であるというふうに考えております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございました。経営に関しましても、女性が経営者、または役員などで経営に関わっている事業体では、経常利益増加率が126.6%、女性が経営に関わっていない場合の55.2%と比べて大幅にアップするというデータもございます。女性ならではの食へのこだわりや加工、コミュニケーション能力を発揮した販売、営業などで販路開拓をすることもできるのではないか。中には、有機農業をやったことないけど、興味があるので、一部農地を有機農業でやってみたいという柔軟な発想での御相談もあったり、変革をいとわない姿に頼もしさを感じるところでもあります。私も微々たるお力添えしかできませんが、地域の農業を支える何らかのお手伝いが今後もできたらと考えております。
農業に関する質問は以上でございます。
次に、防災についての質問に移らせていただきます。
既に同僚議員からも多く質問が出ていますので、少し重複する質問をカットさせていただきたいと思います。高齢者等避難に関しては、かなり多くの同僚議員が質問されました。あと空調のない場所への避難に関しましてもお答えをいただいておりますので、カットさせていただきます。
今回、空調設備があったところへの避難ということでございまして、それでよかったなと思います。地元、白木谷地区も夏前から多目的ホールの空調が壊れていて心配しましたが、見に行ったときには何とかエアコンのある和室が使えたというところで、やはり最近の夏場は空調設備のない場所への避難はあり得ないと感じています。今回は電源の心配は言うほどなかったと思いますけれども、大規模災害になりますと、停電や断水が起きるであろうと予測します。そのときには電源をどう確保するのか、しっかり考える必要があると、今回のことで理解できたのではないでしょうか。群馬県明和町では、LPガス災害対応バルク導入補助金で、LPガスを用いたガスエンジンヒートポンプエアコンと災害対応型LPガスバルク供給システムを導入しているそうで、これは停電時にも自立型エネルギーとして利用できるということですけれども、これについてどのように思われるでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 地震発生時には、最大で44か所の指定避難所を開設する想定をしておりますが、そのうち22か所について、施設に可搬型の発電機を接続し、給電する配電盤を設置しております。停電時に発電機をつなぎ稼働することにより、施設の一部照明とコンセントが使用可能となります。ただし、多くの避難者の収容が可能な学校体育館等にはそもそも空調がないため、どのように環境を整えるか、大きな課題であります。
御紹介いただきましたLPガス災害対応バルクにつきましては、本市では1か所、奈路防災コミュニティセンターに整備しております。これにより、この施設では、一定、電気設備の使用が可能となっております。避難所となる体育館につきましても、停電時の空調対策として、LPガスによる空調の整備やLPガス災害対応バルクの導入を対策の一つとして検討してまいります。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 既に奈路防災コミュニティセンターにLPガス災害対応バルクがあるということですが、空調もできたら整備して入れたらよかったかなと思います。私たちの身の回りの道具のほとんどは電気で動くように作られていますので、送電が途絶えるということは、本当に生活が困難になると容易に想像できます。夏場の空調に関しては避難者の命に関わることですので、早急に設置と停電時の電源確保、またはガスでの空調設備などを導入していただけたらと思います。文科省の取りまとめでも、2022年9月1日時点において、全国公立小中学校体育館への空調設備率は11.9%にとどまっており、6月議会でも申し述べましたが、これでは関連死が増えてしまうということになります。繰り返しになりますが、おっしゃるとおり、今後は教室の空調設備ではなく、体育館などにも空調設備を備えるように考えていただけたらと思っております。今回も、御高齢の方から避難所に行くとしんどい思いをするので避難しなくてもいいだろうかという相談もあったくらい、特に御高齢の方や日頃の生活に不安を感じる方は、避難自体を心配されています。御高齢の方の中には、和室や平らな場所で立ったり座ったりすることに苦痛を感じる方も多くおられます。避難行動をちゅうちょするということは、その方のもしかしたら命に関わることかもしれません。バリアフリーな安心・安全な南国市を目指して、まさに努力をするタイミングとなってきております。
令和7年度までの時限措置ではありますが、緊急防災・減災事業債が今は使えるということで、三重県亀山市の指定避難所である体育館アリーナへの空調整備事業、1.2億円をそれでやられたという実例もあります。早急に検討されるべき案件と考えております。今回は高齢者等避難ということで、ある程度、限られた条件の方が前もっての避難行動をとるということで、避難された人数も少なかったので、混乱もそれほどなかったのかなというところですが、これが大規模災害となった場合には、避難所に入れない人が出てくるのではないかと心配ですけれども、そのあたりの想定をお聞かせください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 南海トラフ地震が発生した際に想定されている避難所避難者数1万6,000人に対して、確保できている収容スペースは、小中学校の普通教室まで活用した場合に何とか確保できる状況となっております。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 何とかということで、それでもやっぱり被災して使えないっていうところもあるかもしれません。やはり足りなかったということも想定されるのではないかと、そこも心配しているところですけれども、そういう場合はどのような対策をお考えでしょうか、お聞かせください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 自市町村で避難者の収容ができない場合に備えて、現在、高知県中央圏域14市町村により、中央圏域における広域避難に関する協定を締結しております。本市で全ての避難者の受入れが不可能となった場合には、この協定の枠組みで一時的に広域避難することとなります。
また、従前から対策として言われております車中泊避難についても、実効性を高める訓練、啓発、場所確保を行い、少しでも収容者の確保に努めてまいります。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。いろいろな避難の形を市民も自ら考えることも必要かと思います。庁内では少ない人員でよく頑張ってくださってると思います。先日の高齢者等避難のときにも各避難所に職員が配置されて、日常業務の上に避難所運営と、大変苦労された話を伺いました。かなり効率的に連携を取って対応に当たらなければいけないと思うのですが、そのあたり、庁内ではどのような取組がなされていますか、お答えください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 昨年度末に改定した南国市地域防災計画の改定目的の主眼は、発災時に機能する組織づくりを位置づけることでした。具体的には、重点対策期間を定めた上で、危機対応の標準化、推進体制の強化、災害対応のDXに取り組むこととしております。特に危機対応の標準化として、発災時にどのような状況であっても必要な組織機能を効果的に発揮できる仕組みである、緊急時総合調整システムを基に、災害対策本部の組織を改編いたしました。今年度からこの新しい組織に基づき災害対策本部運営を行っております。十分に機能するためには、まだまだ訓練等も必要ですが、この改編により、一定、見通しよく災害対策本部運営ができるようになったと感じております。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 少ない人員での非常時の対応は大変かと思いますが、本当に頑張ってくださってると思います。個人的には公務員の人員確保をもうちょっとしていただけたらと思うところですけれども、なかなかそう急に変わることはないと思います。
次の質問で女性目線の防災についてお聞きいたします。
今後は、多様性を持った意見で問題解決に近づくために、女性の意見を多く取り入れることが農業の部門でも必要だと思っておりますが、こちらでも同じだと思います。なぜか防災の現場というのも、これもまた男性社会のような受け止め方があるようですが、災害が頻発する昨今、やはり女性の意見が入らないと避難所運営なども問題が多いことが分かってきました。南国市でも南国市防災士連絡会に女性部門ができたというところで、今後、この女性部門で具体的にどのような活動を考えておられますでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 女性部会として、まず現在の本市の防災行政について、女性の視点から点検、検証いただくこと、そして自助、共助の取組へ女性部会として参画いただき、地域の防災対策の質が向上するよう取り組んでいただくことが、女性部会の大きな目的、意義ではないかと考えているところです。まずはキックオフという意味で、女性部会として、過去の災害に学ぶ研修会などを行いたいと考えております。
また、高知市の下知地区では、下知地区減災連絡会女性部会が発足していると聞いております。このような先進団体と交流をする機会を設けるなど、本市として、女性部会の質を高める活動を後押ししてまいります。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。ちょうど時期を同じくして、高知市の下知地区減災連絡会にも女性部会ができたそうで、先日、キックオフ研修会が開催されたと伺っております。その中のロールプレーの寸劇では、夜用生理用品を避難所の運営をしてる男性にもらいに行くのに女子高生が説明に苦労するというような話など、実際、女性でないと分からないであろうシチュエーションの話などで盛り上がったようです。ぜひ交流して学ばせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次は、ペットの防災についてお伺いいたします。
やはり今は家族としてペットを大事にされている飼い主さんも増えています。特に東日本大震災以来、ペットと共に避難行動をするという、ペット同行避難という言葉もよく聞くようになってきました。しかしながら、東日本大震災の3年後に起きました熊本地震では、ペットと避難所に避難した方が鳴き声などで問題となってしまったという事例も報告されております。今回の事前避難での受入れでは混乱はありませんでしたでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 幸いにも長期避難を要するような大きな災害が発生してないこともあり、また事前避難でペットを連れてこられる方も少なかったことから、混乱するということは、現在まではありませんでした。しかしながら、これは受入れ体制が十分にできていることではありません。今回、臨時情報発表時に避難所に入らず、または入れずに、車でペットと過ごした事例があったようです。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 人数も少なかったし、ペット連れも少なかったことで事なきを得たということですけども、今後はもっと大きな災害を想定した受入れ体制が必要だと思いますが、いかがでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 南海トラフ地震の発生を想定した各避難所運営マニュアルでは、ペット避難について、一定記載をしております。ただし、計画に定められたペットの保管場所が屋根のない屋外であったり、ペットを連れてこられた方がどのように対応するかなど、避難所でのペット飼育や管理についてのルールなどは定めておりません。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。これ、ペットの話ではなく、これはペットを連れた避難者の話をしてるということを改めて考えなくてはなりません。そして、飼い主も自分のペットは自分で守る。そのためには、家の耐震化、家具の転倒防止、備蓄品の準備は、ペットを飼っていてもいなくても同じであるという認識をしっかり持たなくてはいけないと思います。
そこで、今後、啓発や訓練をどのように南国市では進めていく予定でしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 昨年度、環境省主催の災害時におけるペットの同行避難訓練を実施いたしました。市職員、高知県職員、高知県獣医師会、高知県動物愛護推進員、高知県愛玩動物協会が参加し、図上訓練を行いました。この訓練へ高知県動物愛護推進員の立場で参加いただいておりました斉藤議員から、ペット避難者を受けるためのスターターキットを御紹介いただきました。また、あらかじめ資料もいただいております。ありがとうございます。このスターターキットを活用して、実際にペットを飼育されている方などにも参加をいただき、訓練を実施してまいります。
併せて、避難所となる施設の施設管理者とも協議し、具体的に実効性のあるペット避難用スペースを決定してまいります。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。答弁にありましたペット同行避難受入れ用のスターターキットに関しましては、高知県愛玩動物協会の有資格者、愛玩動物飼養管理士会の皆さんが作成してくれました。この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
進捗状況に関しましては、他の担当課とも協力して、広報も出していただきたいですし、自主防災会との連携、公民館などの指定避難所にもお知らせをしていただけたら周知もできると思います。そのときも、あくまで自助努力でペットを守り、平時のマナーを守ることが飼い主の責任であることを明記すべきと思います。いつも言っておりますが、南国市には高知県獣医師会の会長もいらっしゃいます。災害派遣獣医療チームとして被災地に行かれていたこともありますので、また獣医師としてのアドバイスも受けられると思います。南国市が高知県ではペット同行避難に関してモデルケースとなるように努力していただけたらと思います。
次に、水をどうする、トイレはどうなるということで御質問させていただきます。
先日は事前避難で、停電も断水もない状況でありましたが。次には大規模な災害でありましたら、老朽化した水道管が破断したり、水源地が被災することで断水が想定されます。南国市は断水時にはどうなるでしょうか。横浜市には災害時給水所というものがあり、これは災害などで断水したときに誰でも飲料水を得られる場所でして、水道局で配水池災害用地下給水タンク、緊急給水栓及び耐震給水栓を災害時給水所として整備しているそうです。
そして、災害時のトイレ問題は度々出ますが、個人で簡易トイレを準備していくことも大切だと思います。とにかく御飯は我慢できても、トイレは我慢するわけにはいきません。災害時の避難所でのトイレ問題は本当に切実で、避難者の健康や福祉に直結する問題でございます。南国市にはマンホールトイレも設置されていますが、それ以外にも、平時にも被災時にも使える、それこそフェーズフリーな防災トイレを各避難所や小学校に設置するとかは不可能でしょうか。例えば、循環型水洗トイレの中には、排水せずに使用された水を独自の処理技術でトイレの洗浄水として何度も使え、処理能力も、大便器3台、小便器2台だと1日当たり延べ400人、1,200回使用可というものもございます。これは、平時には普通に使用して、災害時にも、使用後の水を処理して再利用を繰り返すので、断水しても使用できます。いろいろな形でのトイレ問題を目指すようにしていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) まず、応急的な飲料水に関しまして、危機管理課ではペットボトルによる備蓄をしております。ただし、これは避難所避難者として想定されている1万6,000人を対象にして備蓄をしているものです。また、これは飲料水のみの備蓄であり、衛生環境を保つために必要な生活用水に関しては、備蓄はない状況です。
このような状況の中で、今年度から2か年で浄水機能付きのシャワーを8台整備することとしております。また、水確保の対策として、能登半島地震の際には浄水器が活躍したと聞いております。浄水器は、プールや河川の水などを飲料水として使用できる状態にまで浄化できる能力を持っており、断水の長期化の中では非常に有効な資機材であると考えております。また、飲料だけでなく手洗いに使用するなど、衛生環境の悪化の防止や感染症の防止にも役立つものであります。浄水器については、プールを備える小中学校の避難所を中心にした整備を検討してまいります。
次に、トイレに関しまして、危機管理課では、応急対策として、現在、いわゆる処理剤とビニール袋等がセットになった簡易トイレを備蓄しております。また、便座として、ポータブルトイレや自動で排せつ物をビニールへ密封する電動の便座等も備蓄を進めております。簡易トイレにつきましても、水と同じく、避難所へ避難された方が使用することを想定しております。各家庭でも、1人当たり1日5回を目安に3日から1週間分の備蓄をお願いするところです。以上のように、災害時のトイレ対策に関しましては、応急的にはポータブルトイレと処理剤により対応することとしております。また、下水道の整備地区にはマンホールトイレの整備を進めており、対応力の向上を図っているところです。これらの対策により一定の対応は可能と考えておりますが、ポータブルトイレの場合には、排せつ物をビニールに入れて保管、廃棄することになるなど、衛生環境への課題もあります。また、マンホールトイレは、市内全ての場所で設置可能というわけではありません。防災トイレに関しましては、下水管につながず、発災直後から大人数、長期間使用可能というものもあるようです。また、御紹介いただきました循環式トイレに関しましては、災害発生時だけでなく、日常でも使用が可能で、発災時にも下水管の破損等に左右されず使用できるものであります。日常から使用できるということにつきましては、今議会で神崎議員の質問、提案にもありました、防災フェーズフリーという考え方にも通ずるところです。どのような防災トイレを導入するのが一番効果的か、災害対策本部でトイレ対策を担う環境課とも検討し、避難所となる小中学校を中心に計画的に導入してまいります。以上です。
○議長(岩松永治) 上下水道局長。
○上下水道局長(浜田秀志) 想定では、大きな揺れを伴う地震が発生すると、配水池の緊急遮断弁が作動し、水道は市内全域、ほぼ断水になります。飲料水につきましては、各家庭、1人1日3リッターの3日間、9リッター以上の備蓄をお願いしたいところです。また、トイレにつきましては、水により汚物を流す仕様のトイレは全く使用できなくなりますので、これは本管の破損修理が終わるまではこの状況は続くと思います。
そうすると、先ほど議員より紹介のあった横浜市の耐震給水栓の話ですが、これ、耐震化が完了した地域での新たな給水方法として有効な給水手段になると考えます。特に発災後、人手が必要となる中、給水タンクを設置する必要もなく、道路側の弁操作だけで給水所が開設できます。今後、設置に向け検討します。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。簡易トイレで用を足すって、最初は大変かなと思います。まだ私もやったことがありません。高齢者の方なんかには、ポータブルトイレとかじゃないとちょっと使いにくいのかなと思います。能登半島地震では仮設トイレがなかなか届かなくて、仕方なくたんすの引き出しをトイレ代わりにしたという悲惨なことも起きております。いろんな場面を想定して、このトイレ問題というのは意識して解決していかなければならないと思っております。
また、水に対しても、備蓄の状況や浄水機能付き浄水についても考えてくださっているということで、ありがとうございます。横浜市での耐震給水栓というのは、災害用地下給水タンクや学校受水槽などの施設が設置されていない地域防災拠点において設置していて、配水管から直接屋外、水飲み場までを耐震化して、応急給水を可能にしているものということで、本管が耐震化されて破断などの心配がなくなったところでは、自宅が被災して水道などが使えないっていうときには大変役立つと思います。能登でも、自宅敷地内の配水管や水道蛇口は自分で修理しなければいけなくて、近所まで配水管が直ってきたと言っても、自宅の給水装置の修理に何か月も待たされているという事例もあるそうです。そういうときのためにも、まずはしっかり老朽化した水道管の本管の耐震化などを上下水道局では取り組んでいただき、次の対策へ進んでいただけたらと思います。
○議長(岩松永治) 昼食のため休憩いたします。
再開は午後1時であります。
午前11時57分 休憩
――――◇――――
午後1時 再開
○議長(岩松永治) 休憩前に引き続き会議を開きます。
引き続き一般質問を行います。7番斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) お昼休み、終わりまして、引き続き質問をさせていただきます。
今回、防災のことに関しての5番の災害発生と土木事業の重要性に関しましては、時間の都合もございまして、答弁いただいておりましたけれども、今回、割愛させていただきます。どうもすいません。
最後の6番の質問に移らせていただきます。
能登半島地震(子供たちへのアンケート調査)というところで、市長に感想を聞かせていただきたいと思っております。
「2024年能登半島地震子どもアンケート~震災から半年いま伝えたい子どもたちの声~」というタイトルで、NGO公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが、2,000人を超える小学校4年生から高校世代までの子供たちにアンケート調査を行っております。以下が主な質問項目です。能登半島地震やその後の生活について、大人や社会に伝えたいことはありますか。はいと答えた子供たちには、どんなことを伝えたいですかという質問が続きます。選択肢としては、地震が起きたときのこと、避難しているときのこと、被災した自分の町のこと、体や心のこと、自分の町の復興のこと、感謝の気持ちなどです。それから、誰に伝えたいですか、具体的にどんなことを伝えたいか、あなたの思いや意見を詳しく教えてくださいと、今の気持ちを伝えたい相手と内容を選ぶようになっており、最初の大人や社会に伝えたいという設問に、いいえ、分からないと答えた子供たちには、なぜそう思ったのですかという質問が続きます。そして、あなたはこれから復興に向けて自分の住む町のために何かしたいことはありますか。今の気持ちに当てはまるもの全てに丸をつけたり書いたりしてくださいと続き、選択肢としては、自宅や町の片づけ、仮設住宅での手伝い、地域の行事への参加、周りの人を励ます、震災を語り継ぐ、子供にできることがない、何をしたらいいか分からないというような選択肢になっています。国連子どもの権利条約は、子供の意見が聞かれ、尊重される権利を条約の原則の一つとして位置づけており、日本でも、こども基本法において子供の意見表明を規定し、その重要性を強調しています。この今回の地震におけるアンケートを御覧になられて、市長としてどのように受け止められましたか、お気持ちをお聞かせください。
○議長(岩松永治) 市長。
○市長(平山耕三) 斉藤議員からのセーブ・ザ・チルドレンのアンケートを見てどう私が思ったかという御質問でございます。
アンケートを拝見して、アンケートからは、子供たちの思いとしまして、震災後の現状、不便さ、苦しさなどを理解してもらい、対策を取ってもらいたいという思いやふるさと復興への強い思いとともに、なかなか進まない現状への歯がゆい気持ちなどを感じます。復興のためには自分たちもできることはしたいという思いを多くの皆さんが持っていらっしゃることに感心させられるところです。と同時に、何をやるべきなのか分からないというもどかしい気持ちなど、様々な思いが交錯しているようにも感じます。そのような中でも、多くの子供たちが、支援に入ってくださっておるボランティアや地域の皆さん、そして自治体職員など、震災対応をされている多くの皆さんに感謝の気持ちを表しており、支援されておられる皆さんに心から敬意を表する次第でございます。今、被災した子供たちが望んでいる思いを生かし、実際に南国市が被災した際には、それら、つらい思いをする子供たちが少しでも減るように、事前にできる対策をしっかりと進めなければならないと思っております。
また、南国市では、中学生に防災士養成講座を受講してもらい、防災士の資格取得をしてもらうよう進めておりますが、子供たちが事前の研修、地域活動、震災訓練などにより、自主防災組織をはじめ地域の皆さんとしっかり話し合い、発災時、復興時の自分の果たせる役割をあらかじめイメージをしておいてもらうことが必要ではないかと感じたところでございます。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。アンケートでも、地元を何とかしたいという子供の意見や、役場の職員を逆にねぎらう、無理をしたら駄目ですよ、無理をしないでください、本当にありがとうございますというような意見、そして中には政治や政策に対してしっかりとした意見、こういう声をちゃんと国は聞いてもらいたいというような意見も多数あることが分かり、子供は何も考えていないというわけではなく、意見を言える場所が、手段があれば、大人以上に状況を把握して、何とかしたいと思っていると感じました。そういう気持ちを受け止めて育てていくことが、復興につながると感じます。せっかく南国市では、市長の答弁にもございました、中学生の防災士さんもいるということで、ぜひ防災訓練などで活躍の場をつくってあげてください。
輪島の女子高校生3年生の、「どうか、見捨てないでください。まだまだ未来を担う若者は輪島に居ます。故郷を無くさないでください。お願いします。」、この声を大人は真摯に受け止めなければなりません。南海トラフ巨大地震に関しましては、30年以内には70%から80%の確率で来ると言われておりますが、京都大学名誉教授の鎌田浩毅先生によりますと、この30年以内に70%から80%来るかもしれないという認識では準備がしにくい。私たちは、いつまでにこれくらいの地震が来るのでそれに向けて準備するように言われないと行動に移せないということで、南海トラフを考えるときには、10年後に東日本の10倍の規模の地震が来ると想定して、今から準備をするべきであるとおっしゃっています。今の子供たちが大災害を乗り越えて、能登の子供たちのように復興を成し遂げられるように、大人たちがしなくてはいけないことをしっかりと期間を持ってやるべき時期になっています。地域に愛情を持って、子供たちが成長してくれるように願って、今回の私の質問を終わらせていただきます。それぞれ丁寧な御答弁ありがとうございました。
答弁者:市長、関係課長
○議長(岩松永治) 7番斉藤喜美子議員。
〔7番 斉藤喜美子議員発言席〕
○7番(斉藤喜美子) 思ったより大分早く来たので、ちょっと心の準備ができておりませんけれども。
なんこく市政会の斉藤喜美子です。最終日、お疲れとは思いますが、よろしくお願いいたします。
今年はようやくお米にも値段がつき、6月の農水省発表によりますと、今年5月の全国平均銘柄の相対取引価格が60キロ価格で1万5,597円となっており、これは前年度比で12%高となっております。最近はこれにプラス物価高騰下でも割安感のあるお米が買い求められる傾向にあり、また最近の相次ぐ災害の多さに買い置きをする方も増えたせいか、一部店舗では品薄、価格が高騰するような場面も見受けられます。南国市といえば、本来、二期作で有名なお米の生産地でもありますが、米の需要が少なくなってきている等の理由で生産量を減らすための政策もあり、水田から畑のへの転換なども図られています。その高知県で一番広い平野の農業利用についてお伺いいたします。
まず、南国市の現状です。
毎回のようにお伺いして申し訳ないんですけれども、改めてお聞きします。現在の国営圃場整備の状況と今後の予定をお教えください。
○議長(岩松永治) 農地整備課長。
○農地整備課長(高橋元和) 圃場整備の状況につきましては、市内15工区のうち、令和4年度から工事を進めております久枝、下島、能間工区や、令和5年度から工事を開始いたしました浜改田西部工区の一部では、新たな営農が開始されております。工事につきましては、引き続き、能間工区と浜改田西部工区で継続しているほか、本年の8月末からは堀ノ内工区で新たに工事を開始いたしました。
また、換地関係につきましては、先行している久枝工区の権利者会議を今年の秋頃に開催し、今年度末には換地処分公告、登記が完了する予定になっております。また、下島工区、能間工区での確定測量も実施中でございます。
工事着手に向けた設計につきましては、稲生工区では区画計画、排水路の基本設計が進められるとともに、片山工区の実施設計に着手しておりまして、今後、地区境界測量にも着手する予定となっております。その他の工区におきましても、順次工事に着手できるよう、地権者の皆様はもとより、関係機関と連携して準備を進めております。
また、圃場整備の事業費の確保に向けましては、市長を筆頭に、議長、JAと共に、中国四国農政局、農林水産省、財務省、そして関係する国会議員に対して、年2回ほど要請活動を行っております。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。堀ノ内工区でもようやくというような声も聞こえてきております。稲生のほうも排水の問題が大きいかと思いますので、設計に着手されたということで、地元の農家さんも安堵されているのではないかと思います。
それでは、今取り組んでいる地域計画の進捗状況をお教えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 地域計画につきましては、10月から市内13地区で、順次、座談会を開催し、誰がどの農地を耕作していくかを地図化した目標地図の素案を地域の方々にお示しして、御意見をお伺いする予定で準備を進めておりまして、今月9日に開催されました農業委員会の定例総会におきまして、座談会の日程調整などにつきまして、農業委員の皆様に御協力をお願いしたところでございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。今後も地域計画に関しては、座談会で、地域の今後の耕作農地をどうしていくかなど、問題解決を進めていくということですが、農業委員会がかなり重要な役割を果たさなければいけないようです。私も座談会進行のファシリテーターの講習会とかにも参加してみたんですけれども、なかなかこれは慣れていないと円滑な進行は難しいなと感じたところです。
今年度は、南国市農業振興地域整備の計画見直しの年に当たっております。令和6年度の見直し基礎調査資料を拝見いたしますと、南国市の総人口は、平成22年、4万9,505人から令和2年には4万7,247人に2,258人の減少、そのうち農家人口は、平成22年、2,821人から令和2年には2,345人の476人の減少となっています。また、農用地等の保全及び利用の現況及び見通しという資料では、農業経営体数は、平成22年では1,485件、うち家族経営体が1,463件、これが令和2年には農業経営体913件、うち家族経営体894件と、農業経営体自体でも572件の減少、うち家族経営体が569件の減少となっており、もともと家族経営体が多い農業の在り方ではありますけれども、減少している農業経営体のほとんどが家族経営体となっています。これがその10年後、令和12年の見通しとなりますと、農業経営体800のうち家族経営体は750で、10年間で144の減少、反対に組織経営体が19から50に増える見込みです。それに伴い経営耕地面積が5ヘクタール以上の集約農地が増えてきており、今後もその傾向になるという見通しになっております。高知県で一番広い平野である香長平野を有効活用することは大事だと思いますので、ある程度、集約して、法人化した農業経営体が大型機械で効率的に活用できるようにするのは大切ですけれども、その反面、個人で頑張っている農家が高齢化によりどんどんやめられていっているという事実もございます。
そこでお伺いしますが、南国市では担い手育成は進んでいますでしょうか。というのも、基礎調査資料の中の農用地利用集積の現況及び見通しという項目では、耕地面積全体における担い手の耕作面積について、担い手の農地利用集積率が、令和2年では26.0%だったものが令和12年の見通しでは61.9%に上っております。担い手に集約をしていくという方向で取り組んでいるとは思いますけれども、先ほど圃場整備も始まったという地区でも、若い担い手がほとんどおらんと、高齢の農家さんの心配の声もありました。今後、集積した農地を担う担い手育成はどういう計画か、また整備後の圃場の利用に関してはどのように考えているのか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 担い手の育成、確保につきましては、南国市や県、JAなどで構成されております、南国市担い手育成総合支援協議会などにおきまして、新規就農の相談や支援策の情報提供などの対応を行っております。新規就農者数につきましては、まち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、平成27年度から平成30年度までの年平均11人を基に、令和2年度から令和7年度までの累計で60人を目標としております。また、南国市農業振興地域整備計画の基礎調査資料におきまして、令和3年から令和12年での新規就農者数の見通しを累計で200人としておりますが、令和2年度から令和5年度までの実績が25人となっておりまして、目標達成は厳しい状況となっております。引き続き、国や県の補助制度を活用しながら、担い手の育成、確保を図ってまいりたいと考えております。以上です。
○議長(岩松永治) 農地整備課長。
○農地整備課長(高橋元和) 国営の圃場整備事業を契機としまして、稼げる農業を実現するため、各工区で将来の担い手に80%以上の農地を集積することを目標としておりまして、久枝工区、下島工区や能間工区では80%以上の農地を担い手に集積する計画が作成されております。また、事業を契機とした企業参入等による次世代園芸ハウスの導入や、大規模露地園芸作物の産地化に向けた取組も進めております。能間工区におきましては、次世代園芸団地として公募したところ、2法人の入居が決定しております。ハウス面積で言いますと、合計で3.2ヘクタールとなっております。さらに大規模露地園芸作物として、本年度から双日土佐農人株式会社がタマネギの栽培を本格的に開始しておりまして、今年2月には、企業、県及び本市との間で企業進出協定を締結し、官民一体となって取組を推進しているところでございます。今後も農家の皆様はもとより、県、JA等の関係機関と協力いたしまして、新たな企業参入や担い手の育成を図りながら、整備された農地を活用して、稼げる農業の実現に向けて取り組んでまいります。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。圃場整備が進んでも、担い手が育成できていなければ、なかなか、圃場はできてもやる人がおらんというような状況になるんじゃないかと心配しています。新規就農者があと6年で累計200人まで一気に増えたら、それはそれで明るい未来ですけれども、今のところ、計算上という形でなかなか難しい状況だとは思います。あとはもう本当に一部、どうしてもこのような法人化、企業化、協業の方にも入っていただくということで、圃場を有効に使っていただくということを目指されているということです。それも一つ方法だとは思います。
私自身は、個人的に稼げる農業という言葉があんまり好きじゃなくて、お金稼ぐことにこしたことはないです。でも、今は続けるにも一苦労しているような状況です。本当は普通に頑張って農業で生活ができればそれが一番いいと思いますし、農業の担う多面的機能は地域の環境を守るものでもありますので、稼げるという言葉だけに特化するのもちょっと違うのではないかと思うところです。
先ほども、今年はお米の値段も上がり、これで米農家さんも一安心と思いきや、米農家の倒産件数が過去最高となってきているというニュースが、先日も入ってまいりました。全国的な米不足と価格高騰の中、米作農家の倒産や廃業に歯止めがかからないという見出しで、2024年1月から8月に発生した米作農業の倒産(負債1,000万円以上、法的整理)が6件、休廃業・解散、これは廃業ということですけれども、28件発生し、計34件が生産現場から撤退、倒産廃業の件数は23年通年の件数35件を大幅に上回り、年間最多が確実で、初の年間40件台到達も想定されるのだそうです。原因としては、生産コストの上昇と深刻な後継者、就農者不足が上げられるということです。つまり、再生産をするためには、投資したものを作物で売って回収しなければいけませんが、資材高騰により支出が増えて、米の価格が上がっても手元に残らない状況であり、そのような農業を次世代が受け継ぐことができない状況になっているということです。これはほかの作物にも言えることでして、ここが改善しない限り、あと6年で新規就農者が累計200人まで伸びるというのは厳しいと思っていますし、担い手になっても定着してくれるのかや、高齢者の離農のますます加速するスピードを考えますと、決して楽観視できない状況だと思っています。
次の補助金事業と環境負荷低減農業の話に移りたいと思います。
そのような農業の状況でありますから、生産物の販売価格を考えますと、自己資産だけでの経営は、現状はかなり困難な産業であるとも言えます。そこで、農林水産業には細かく多くの補助金がありますが、実際、南国市にはどのくらいの予算があって、どのくらいの執行率なのか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 令和5年度の農業振興費における補助金の執行率は、令和6年度に繰り越して執行しております食品加工業継続支援事業費補助金の1,000万円を除きますと、予算額約1億3,600万円に対しまして執行額約1億1,700万円となっており、執行率は約86%となっております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。農林水産省の最近の予算では総額がほぼ2兆円ちょっとで推移しており、農業現場ではかなり困窮し、さっきの話のように、米農家も価格が上がってもやめている状況です。そもそも農業に関する補助金は、個人では使いにくいものや規模拡大や機材購入に対するものが多い気がしますが、南国市ではどのようなものが多く使われていますか。
また、そのほかでよく使われるものはありますか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 御指摘のとおり、園芸用ハウス整備事業費補助金が約2,500万円、園芸用ハウス等イノベーション事業費補助金が約1,000万円の予算額となっておりまして、園芸用ハウスの整備や生産基盤の強化に関する補助額は大きいですが、そのほかにも新規就農者や中山間地域への補助、環境保全型農業への交付金など、様々な補助がございます。
また、直接、市の事業ではございませんので、市で予算措置されているわけではありませんが、国が直接農業者に交付する水田活用の直接支払交付金事業もございまして、本市におきましては、飼料用米や発酵飼料用の稲の作付などに対して活用されております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。どちらかというと、やはり続けるためというよりは、米以外を作ることや資材に対する購入補助が多く使われてるようですね。先ほどの答弁にもありましたが、環境保全型農業に関する補助金もあるようですけれども、具体的にはどのようなものがありますか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 地球温暖化防止や生物多様性の保全に対する取組への補助としましては、現在、本市では、環境保全型農業直接支払交付金という国の事業を活用した補助がございます。
主な内容としましては、化学肥料及び化学合成農薬の使用について、地域で通常使用される量から5割以上低減する活動と併せて、緑肥として土壌中に土壌改良に役立つ作物を加える、いわゆるカバークロップと呼ばれるものを活用した取組を行う場合に10アール当たり6,000円を交付したり、炭素貯留効果の高い有機農業を実践する場合に10アール当たり1万4,000円を交付するといった内容となっております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。10アール当たり6,000円とか1万4,000円とか、もらえないよりはもらえたらありがたいのかもしれませんが、今の個人の農家の方には微々たる足しにしかならないかなというところだと思います。
それでは、環境保全型農業に関する直接支払いなどの補助金申請数は、現在どのようになっていますか。
今後、それは増える見込みはありますでしょうか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 令和5年度に3団体に対しまして交付しております。また、令和6年度におきましても、3団体から交付申請が提出されておりますが、申請数が増える見込みというのは、現在のところございません。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) やはり施設園芸や慣行農業の盛んな南国市なので、そちらが急に増えるっていうのは難しい、なかなかないのかなと思います。しかしながら、農薬や化学肥料の価格が高止まりしているために、農家の方も農薬の使用や化学肥料の使用を物理的に控えたり、中には緑肥を作って入れざるを得ない状況になってきております。私の知ってるところなんかでも、緑肥を育てている畑とかも見かけるようになってきました。
高知県は今年5月30日に、高知県有機農業推進協議会の設立総会が行われました。高知県からは、担当として農業担い手支援課、環境農業推進課、農産物マーケティング戦略課が参加して、有機農業生産団体、流通業者、消費者団体代表、関係団体、高知大学の学識経験者が参加し、今後の有機農業の県での推進の仕方について話合いが行われ、その中で学識経験者として高知大学人文社会科学部長の岩佐和幸教授も、世界的な情勢を見ても有機農業の転換期の時代が来ている。この協議会での活動を含め、ローカルなところから積極的に推進していければと思うとおっしゃっています。県も、農水省のみどり戦略などの持続可能な農業への転換方針に呼応し、このような方向性を示しているのですが、南国市としては、今後どのような取組を考えていますか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 改正食料・農業・農村基本法の柱の一つに、環境と調和の取れた食料システムの確立が盛り込まれましたが、農業と環境の調和は、異常気象が農業生産に及ぼす影響を抑えるためにも重要な取組であり、世界的な時代の潮流であると認識しております。有機農業の拡大を実現するには、生産面の取組だけではなく、それを支える消費面からの市場創出、消費者が有機野菜の価値をその労力に見合ったものと納得して買い求める社会に転換していくことが必要であり、生産者と消費者、双方の協力、そしてそれを後押しする国の制度設計が不可欠であると考えております。
基本法の改正を受けまして、新たな制度が創設されることが期待されておりますが、具体的な内容につきまして、現在、国の動向に注視しているところでございます。当面、有機農業に取り組みたいという新たな担い手からの相談があった場合には、現行の制度でできる支援の御説明や、専門的な情報が必要な場合は県につなげるなど、関係機関と連携して取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。実際、今まで高知県のほうも有機農業での新規就農に関してはなかなか指導者が限られており、そのあたりの情報共有や支援をしにくい状況を改善しようということで協議会ができたとも言えます。消費者団体を協議会メンバーに入れることで、消費者への情報提供をする、これで販路を拡大するという方向でもあります。価格高騰している化学肥料や農薬が使いにくくなっていることもあり、既存の農法からの転換期になっているとも感じるところです。そのあたり、県とも連携を取って、サポートすることでやりたい農業ができる現場をつくり、新規就農されたい方が農法などの問題で窓口で排除されませんようによろしくお願いします。
このように、まずは農業技術の指導者が少ないという問題と生産物の販路が大きくないという問題は、有機農業が拡大しない原因でもあり、そこは農林水産省においても、給食などの公共調達を安定した販路の確保とすることを推奨しております。
そこで、食育に熱心に取り組んできた南国市でも、もっと地元のものや有機農業、自然栽培などの生産物を取り入れてもらいたいと、以前から学校教育課にも言ってきました。農業は、安定して作ったものが無駄にならないように売れることで再生産ができ、持続可能になります。農家の皆さんが安心して作物が作れるように取り組むことはできませんでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 先ほどお答えしましたとおり、有機農業の推進は国を挙げての取組となっているところでございますし、地元の有機食材を学校給食に使用すれば、地産地消の推進につながり、南国市の農業や地球環境に関心を持っていただくきっかけになるのではないかと思います。しかしながら、現実問題といたしまして、有機食材を学校給食で使用するには、現在使用している食材との価格差など、難しい課題があると考えております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 価格差についてですが、実際に取り組まれてるところでは、差額が出る場合もあれば、逆に旬の野菜を取り入れると価格が下がる場合もあります。加工品を控え手作りにすることやたんぱく質をお肉以外から摂取できるようにすると、これも費用が抑えられるようです。有機のお米は価格が高いとのことですが、あえて農家からそういうお米を市が高く買い取り、地元の農家を地元の給食が支える仕組みを導入している市もあります。その辺、現場の調理師さんや栄養士さんなどとの情報共有も必要かと思います。地元のもので地元を支える、この循環が今後は大変大事になってくると思います。南国市は農地もありますのでこれが可能ですし、その上でよい食材を県外へ売りに行くこともできます。都会の友人たちと話をしても、高知の農家はすばらしい食材を提供してくれている。高知の農業を守ってもらいたいと言われます。香長平野を有する南国市で、今後、どう農業を守っていくか、1つには、御答弁にもありました、改正された食料・農業・農村基本法では、基本理念について、食料安全保障の確保が規定され、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ国民一人一人がこれを入手できる状態とすると明記されております。国民に対する食料の安定的な供給に当たっては、農業生産の基盤等の確保が重要で、国内への食料の供給が大切であるという意味のことが書かれています。その一方で、海外の輸出を図ることで、農業及び食品産業の発展を通じた食料の供給能力の維持が図られなければならないとも書かれていますし、基本施策として、農産物、農業資材の安定的な輸入の確保、収益性の向上に資する農産物の輸出の促進なども書かれており、カロリーベースの自給率が先進国では最低レベルである日本としては、まずは国内の農業自給率を上げることに重点を置くべきだと思うのですが、高付加価値の農産物輸出というのが、日本の農業では数字が出やすく、花形になりつつある懸念も感じております。安い農産物の輸入で日本の農業は大変苦労をしてきましたが、今や経済成長しなくなった日本では、輸入すら今後、買い負けをする状況になるかと思います。まずは南国市で、高知県で、日本国内で、食料安全保障は守られるべきだと考えています。そういう意味では、農地も交通インフラもある南国市は県内でも最前線ですので、今後とも注視し、意見させていただきますので、よろしくお願いいたします。
次に、鳥獣被害についてです。
私も南国市の山側で暮らしていますので、山道で野生動物に出会うことはしょっちゅうで、タヌキ、ハクビシン、野ウサギ、イノシシなのですが、その中でも突出してイノシシが多く、一時期は家の近くに親子イノシシが住みついて困ったこともあります。最近はイノシシが豚熱の蔓延で少し減少していたようですけれども、南国市におけるイノシシ、猿、鹿の被害状況はどのようでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 本市におきましては、令和5年3月に瓶岩地区で豚熱に感染したイノシシが確認されて以降、北部地域でのみ感染が確認されておりまして、令和5年12月以降は新たな感染確認はされておりません。豚熱の影響かどうかは不明ではありますが、北部地域におけるイノシシの捕獲数は、令和4年度の245頭から令和5年度は160頭と大幅に減少しております。一方、十市や稲生など、南部地域におきましては、令和4年度が65頭、令和5年度が88頭と増加しており、北部地域では、イノシシの目撃情報、捕獲数の減少に伴い、農作物への被害が減っておりますが、南部地域では、逆に目撃情報、捕獲数の増加に伴い、被害も増えているという状況でございます。鹿につきましては、令和4年度の捕獲数が45頭、令和5年度が56頭となっておりまして、近年、増加傾向が続いており、それに伴い被害も増えております。猿につきましては、捕獲実績はございませんが、年に一、二件程度、猿によるものではないかと思われる農作物への被害報告が上がってきております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 私の住む地域にはタケノコの畑が多いので、電気牧柵を皆さん使われており、それには南国市から補助が出ているのですけれども、ワイヤーメッシュ柵には市からの補助が出ないというので、農家の方が困っている状況です。南国市として補助を出すようにしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 電気牧柵につきましては、市の単独事業で、購入費の3分の2、1件につき上限5万円までの補助制度がございますが、ワイヤーメッシュ柵は対象外となっております。ワイヤーメッシュ柵につきましては、県の事業を活用した設置費用の2分の1を補助する制度がございますので、そちらを利用していただいております。この補助につきましては、1件当たりの上限は設けておりませんが、県の事業を活用しておりますので、県から配分があった予算の範囲内で、必要と認められる経費に対しての補助となっております。ワイヤーメッシュ柵についての補助ということでございますが、現状、限られた財源の中で、鳥獣被害防止に取り組むに当たっては財源の確保も重要となってまいりますので、御理解をお願いいたします。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 今のところ出せないという御答弁だと思いますが、いいかげん、農作物の価格が生産販売で回収できないような状況にある中で、獣害でやられたら、それこそ心は折れますよ。柵を張るだけでも大変な労力です。今後は、せめて財源確保に尽力していただきたいと考えますので、よろしくお願いいたします。
南国市でも、鳥獣被害を緩和するために捕獲に対して補助を出したりされていますが、捕獲してくれる猟師の皆様の高齢化や人手不足が問題になっております。人材の育成に対する南国市の補助にはどのようなものがありますか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 新規狩猟者の確保対策につきましては、こちらも県の事業を活用しまして、狩猟免許を取得する際に必要となる講習の受講費用や診断書の発行に要する経費、猟銃の許可申請に係る射撃練習の受講費用に対して補助を行い、有害鳥獣捕獲の担い手となる狩猟者の確保に努めております。
また、補助制度につきましては、南国市の「広報なんこく」などにおきまして周知を図っておるところでございます。
以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。令和5年度に作成されました第6次南国市鳥獣被害防止計画にも、従来講じてきた被害防止対策についての課題で、高齢化により捕獲従事者が減少しているため、担い手の確保が必要とあります。以前、少しモンキードッグの育成に関しても関わったことがあり、そのときに高知の獣害状況についてもいろいろ学ぶ機会がありまして、一旦、わな猟の免許も取りましたが、更新をしておりませんでした。また、取得して、私も少しでも地域の役に立てるのであればと思います。
今はいろいろな地域でジビエ料理などを地元の名物のようにして出してますが、以前もジビエカーの話が丁野議員からも出ました。例えば集落活動センターなどでジビエ加工などに取り組む場合には、何か補助などはありますでしょうか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) ジビエ加工に関する施設整備につきましては、国の鳥獣被害防止総合対策交付金事業で補助率2分の1のメニューがございますが、実際に申請するとなりますと、補助要件などを精査し、適用されるかどうかなどについて、国や県と十分に協議して進めていく必要があろうかと思います。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。集落で取り組むのは少し難しいという印象ですね。先日は南国市鳥獣被害対策協議会で、愛媛県の松野町にありますまつのジビエの視察に行ってまいりました。こちらはNPO法人森の息吹が運営している町指定の解体加工施設でして、近くで捕れた鹿を買い入れて、食用肉や加工品にしている施設です。猟をされている方からしたら、捕っても、その後、自家消費、要らない部分を埋設処理するのも結構な労力です。なので、捕ったものを買い取る仕組みで、大変負担減になるなと感じました。個人や小さな取組ではなかなかジビエ肉加工は難しいと思いますが、こういう公的な加工施設の建設などは検討できませんでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 有害鳥獣として捕獲したイノシシなどの肉を地域資源として有効活用することは、地域の活性化につながり、また捕獲意欲が向上することで鳥獣被害の軽減も期待されるところでございます。現在、捕獲した後の処理方法としましては、埋設処分か捕獲者の自家消費となっており、捕獲した後の処分も捕獲者の大きな負担となっておりますので、捕獲者の負担軽減という点からも、加工処理施設や減容化施設は意義のある施設であると思います。
しかしながら、豚熱感染確認区域であります本市において、ジビエを利用するとなりますと、捕獲者や施設職員は防護服の着用や十分な消毒など、徹底した豚熱ウイルスの感染拡大防止対策が求められておりますので、捕獲者などの負担は非常に大きなものとなります。また、実際に施設整備に取り組むとなれば、場所の選定や建設費用、運用する人員の確保やランニングコストなど、様々な課題がございますので、それらを考えますと、現時点では加工施設の建設は難しいと考えております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ちょっと豚熱の問題もありまして、今はそういう話をする時期ではないのかもしれませんけれども、やはりなかなか処理をするのが大変であるということは知っておいていただきたいと思います。
ジビエの加工場でのもも肉の処理を見せていただいたんですけれども、鹿の。家畜と違って品質にばらつきがあって、商品になるものならないものがあるというようなお話もされていました。そういう意味では、ランニングコストがかかる割にはなかなかお金につながらないというところで、これは個人的にやるというのは逆に難しいのではないか、自治体の補助がないと運営は厳しい施設だなというふうに感じました。ちょっとこの農水省の進める害獣駆除をしつつ、ジビエで産業活性化でもうける、私の中では最近どうかなっていうふうになってきております。じゃあ、やめとけっていう話になるかということですけれども、まつのジビエさんでもペットフード部門のお客様はかなり多いということで、私も個人的にペットフードを扱う仕事もしておりますけれども、こだわりのある飼い主様っていうのは、自分のものは我慢をしても、自分の犬や猫のものは価格が多少高くてもよいものであればリピートする傾向があります。もちろん売る側にも買っていただける品質であることを説明し、セールスする能力、仕組みは必要かと思います。そういう意味では、愛媛県鬼北町でペットフードに特化したジビエ加工に取り組んでいるそうです。最近はアレルギーの多い犬や猫も多く見られて、やはりドッグフード、キャットフードが合わないという子たちには大変喜ばれているということです。ペットの飼い主様市場を狙った販路開拓をしているようですけれども、これは質問じゃないですけども、御参考までにお知りおきください。
いろいろここまでジビエの話もしてきたんですけれども、ジビエのペットフードが地域の話題づくりやイメージアップに一役買うとしても、それが農作物の被害低減になるかというと、ちょっとそこは別にしないといけないのではないかと、最近、思うところです。財務省による鳥獣被害防止総合対策交付金、これは平成30年度から令和4年度分を対象にした調査の総括報告なのですが、有害鳥獣捕獲数と有害被害減少額には明確な相関関係は見られず、単に捕獲数を増加させるのみでは被害減少にはつながらないと明記されております。つまり、捕る数と被害とはあまり関係ない。被害減少とあまり関係ない。捕獲数を増やすだけでは駄目ではないかということです。
そこで、捕獲数を増やすというところだけに頼らず、例えば動物生態学や行動学の見地から獣害を食い止める取組を考えてみてはどうでしょうか。島根県美郷町での取組は、猟友会の皆さんだけに頼るものではなく、まち全体で、女性も多く参加して、農家の皆さんもわなを仕掛けて捕獲する、住民が主役の獣害対策を実施しており、4,355人の住民のうち、何と100人以上がわなの免許を取得、町内400か所以上にわなを設置しているのだそうです。そこに野生動物行動学者の第一人者である麻布大学の江口祐輔教授をお招きして、イノシシの行動学の見地から効果的な捕獲や防御の仕方を取り入れたり、産官学共同での取組を美郷バレー構想と銘打って、地域活性化を含めて新たな獣害対策研究を麻布大学のフィールドワークセンターを作ってやられているということです。南国市としても、このような方向性も、今後、獣害防除の手段に取り入れておくべきかと思いますが、いかがでしょうか。一度視察をしに行くか、講演会などを南国市で主催していただきたいと考えています。どうでしょうか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 先ほど電気牧柵や捕獲について答弁させていただきましたが、議員御指摘のとおり、それだけではいたちごっこのような状態になりますので、根本的な解決を図るためには、野生動物の生態を学び、野生動物を引き寄せる要因を取り除くなど、捕獲に頼らない対策も重要であると思います。本市には、狩猟者や農業者の方々などで構成されております鳥獣被害対策協議会などの組織がございますので、そのような団体の総会などに専門家をお招きするなども一つの方法ではないかと思います。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ぜひよろしくお願いします。高齢化、人手不足、個体数の増加で、そろそろ方向性も転換期ではないかと思います。獣害対策は一部の方や男性だけがやるものではないという認識も必要かと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、今こそ女性農業者の意見をということで御質問させていただきます。
最近、多くの女性農業者さんといろいろな勉強会の参加を通じて意見交換をする機会をいただいております。今、まさに中心となって農業を営まれている女性農業者は同年代の方も多く、自分の子供たちがちょうど20代から30代ということで、話題は低迷する農業を子供たちが継いでくれるのかどうかに終始することも多いです。そんな中、新規就農者には補助金が手厚く出るのに、親元就農にはあまりメリットがないので継がせにくいという話もよく出ます。南国市の就農の現状におきましても、家族での就農も多いと思います。以前も伺ったと思いますけれども、親元就農においての補助金などの優遇措置などはございませんでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 新規就農につきましては、就農直後の経営確立を図り、次世代を担う農業者を確保することを目的とした補助制度が、従前から国の事業でございましたが、親族の農業経営を継承することを目的とした、いわゆる親元就農につきましては、農業基盤がない新規就農に比べてリスクが低いということで、補助の対象外となっております。
しかしながら、令和6年度からは、国の事業から外れる親元就農につきまして、県の事業で年間120万円、最長2年間、助成する制度が新設されました。親元就農でない場合は、年間150万円、最大3年間、助成を受けることができますので、それと比較しますと差はございますが、親元就農への補助制度が新設されたことは、新規就農者の確保につながるものであると期待しているところでございます。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 今年度からの県の事業ということで、ありがたいと思います。今、農業経営自体が厳しい中、子供に継がそうか迷っている農家の方も多いと思いますし、実際、子供には継がせたくない、働きに出したという農家さんも多いです。しかし、農業は地域で取り組む活動も多い中、もともと親がやっていて知り合いも多い農家さんの後継者さんが親の後を引き継がれるというスタイルは理想的ではないでしょうか。新規の担い手づくりに併せてこちらも力を入れるべきだと思います。今の農家は機械がないとできませんし、そこは親が持っているからといって、古くなれば壊れるし、買い換える必要があるのも、新規就農者さんよりもリスクが少ないと言えるのかどうかは疑問です。少しでもスタートアップにサポートがあれば、やりたい方の気持ちに安心感も与えられるかと思います。県の事業として今年からということですが、南国市独自で取組は何か考えられていますか。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 先ほどお答えしましたとおり、今年度から県事業で親元就農に対する助成制度が新設されたところでございますので、まずは県の事業を活用して、就農者の確保につなげていきたいと考えております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) また県の事業が始まったばかりですので、一定効果があれば、まだ南国市としても独自の方向性をお示しいただけたらと思います。南国市は新規就農者だけではなく既存の農家も大事にするという姿勢は、今後、高齢の離農者が一気に増える数年後には食料安全保障が守られないのではないかと危機感を抱いている中で、大変農家に安心感を与えるメッセージになるかと思います。
そして、女性同士で話をしておりますと、これは農業だけではないのですけれども、例えば女性農業者を増やすためや、なぜ農業をする人が増えないのかなど、かなり本質を突いた意見が次々と出てきて、これに国がしっかり本腰を入れたら解決できるのではないかと思うところです。意見の中には、圃場での作業中、トイレがなく困るので、トイレや作業着を着替える場所が欲しいという話、男性より力がないのに機械を使うのは男性なので、女性が使いやすい機械の開発や導入で負担なく農業が続けられるのではないかという意見、皆さん、日頃、これが改善されたらもっといいのにという意見がどんどん出てくるので、ワークショップはいつも大にぎわいで楽しいものです。女性ならではの視点やコミュニケーション能力を今こそ農業現場改革に生かすべきと考えていますので、女性農業者の意見を聞く交流会をしてみてはどうでしょうか。
それと、女性農業者に特化した支援策は考えられませんでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 農林水産課長。
○農林水産課長(川村佳史) 議員がおっしゃるとおり、農業分野に限らず、意見の多様性は必要でありますし、女性の活躍が進むことで、多様な視点や価値観、創意工夫がもたらされるのではないかと思います。高知県の第5期産業振興計画におきまして、農業分野の取組として、多様な担い手の確保、育成が掲げられておりますが、その中で女性への就農支援の強化が新たに盛り込まれております。先ほどお答えしました、県事業での親元就農への補助も、20代や女性の就農者を増やすことを目的として創設されたものであります。また、県主催で女性農業者などを対象とした農業機械に関する研修が開催されたりしております。また、国におきましても、農業委員に占める女性の割合を30%以上とする目標を掲げるなど、地域のリーダーとなり得る女性農業経営者の育成や地域の女性農業者グループの活動、女性が働きやすい環境づくりなどの取組に対して支援を行っております。本市におきましては、19名の農業委員のうち5名の方が女性で、斉藤議員には農地利用最適化推進委員を務めていただいておりますので、まずはそのような方々を中心とした女性農業者の御意見をお伺いする場を設けることは有意義であるというふうに考えております。以上でございます。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございました。経営に関しましても、女性が経営者、または役員などで経営に関わっている事業体では、経常利益増加率が126.6%、女性が経営に関わっていない場合の55.2%と比べて大幅にアップするというデータもございます。女性ならではの食へのこだわりや加工、コミュニケーション能力を発揮した販売、営業などで販路開拓をすることもできるのではないか。中には、有機農業をやったことないけど、興味があるので、一部農地を有機農業でやってみたいという柔軟な発想での御相談もあったり、変革をいとわない姿に頼もしさを感じるところでもあります。私も微々たるお力添えしかできませんが、地域の農業を支える何らかのお手伝いが今後もできたらと考えております。
農業に関する質問は以上でございます。
次に、防災についての質問に移らせていただきます。
既に同僚議員からも多く質問が出ていますので、少し重複する質問をカットさせていただきたいと思います。高齢者等避難に関しては、かなり多くの同僚議員が質問されました。あと空調のない場所への避難に関しましてもお答えをいただいておりますので、カットさせていただきます。
今回、空調設備があったところへの避難ということでございまして、それでよかったなと思います。地元、白木谷地区も夏前から多目的ホールの空調が壊れていて心配しましたが、見に行ったときには何とかエアコンのある和室が使えたというところで、やはり最近の夏場は空調設備のない場所への避難はあり得ないと感じています。今回は電源の心配は言うほどなかったと思いますけれども、大規模災害になりますと、停電や断水が起きるであろうと予測します。そのときには電源をどう確保するのか、しっかり考える必要があると、今回のことで理解できたのではないでしょうか。群馬県明和町では、LPガス災害対応バルク導入補助金で、LPガスを用いたガスエンジンヒートポンプエアコンと災害対応型LPガスバルク供給システムを導入しているそうで、これは停電時にも自立型エネルギーとして利用できるということですけれども、これについてどのように思われるでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 地震発生時には、最大で44か所の指定避難所を開設する想定をしておりますが、そのうち22か所について、施設に可搬型の発電機を接続し、給電する配電盤を設置しております。停電時に発電機をつなぎ稼働することにより、施設の一部照明とコンセントが使用可能となります。ただし、多くの避難者の収容が可能な学校体育館等にはそもそも空調がないため、どのように環境を整えるか、大きな課題であります。
御紹介いただきましたLPガス災害対応バルクにつきましては、本市では1か所、奈路防災コミュニティセンターに整備しております。これにより、この施設では、一定、電気設備の使用が可能となっております。避難所となる体育館につきましても、停電時の空調対策として、LPガスによる空調の整備やLPガス災害対応バルクの導入を対策の一つとして検討してまいります。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 既に奈路防災コミュニティセンターにLPガス災害対応バルクがあるということですが、空調もできたら整備して入れたらよかったかなと思います。私たちの身の回りの道具のほとんどは電気で動くように作られていますので、送電が途絶えるということは、本当に生活が困難になると容易に想像できます。夏場の空調に関しては避難者の命に関わることですので、早急に設置と停電時の電源確保、またはガスでの空調設備などを導入していただけたらと思います。文科省の取りまとめでも、2022年9月1日時点において、全国公立小中学校体育館への空調設備率は11.9%にとどまっており、6月議会でも申し述べましたが、これでは関連死が増えてしまうということになります。繰り返しになりますが、おっしゃるとおり、今後は教室の空調設備ではなく、体育館などにも空調設備を備えるように考えていただけたらと思っております。今回も、御高齢の方から避難所に行くとしんどい思いをするので避難しなくてもいいだろうかという相談もあったくらい、特に御高齢の方や日頃の生活に不安を感じる方は、避難自体を心配されています。御高齢の方の中には、和室や平らな場所で立ったり座ったりすることに苦痛を感じる方も多くおられます。避難行動をちゅうちょするということは、その方のもしかしたら命に関わることかもしれません。バリアフリーな安心・安全な南国市を目指して、まさに努力をするタイミングとなってきております。
令和7年度までの時限措置ではありますが、緊急防災・減災事業債が今は使えるということで、三重県亀山市の指定避難所である体育館アリーナへの空調整備事業、1.2億円をそれでやられたという実例もあります。早急に検討されるべき案件と考えております。今回は高齢者等避難ということで、ある程度、限られた条件の方が前もっての避難行動をとるということで、避難された人数も少なかったので、混乱もそれほどなかったのかなというところですが、これが大規模災害となった場合には、避難所に入れない人が出てくるのではないかと心配ですけれども、そのあたりの想定をお聞かせください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 南海トラフ地震が発生した際に想定されている避難所避難者数1万6,000人に対して、確保できている収容スペースは、小中学校の普通教室まで活用した場合に何とか確保できる状況となっております。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 何とかということで、それでもやっぱり被災して使えないっていうところもあるかもしれません。やはり足りなかったということも想定されるのではないかと、そこも心配しているところですけれども、そういう場合はどのような対策をお考えでしょうか、お聞かせください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 自市町村で避難者の収容ができない場合に備えて、現在、高知県中央圏域14市町村により、中央圏域における広域避難に関する協定を締結しております。本市で全ての避難者の受入れが不可能となった場合には、この協定の枠組みで一時的に広域避難することとなります。
また、従前から対策として言われております車中泊避難についても、実効性を高める訓練、啓発、場所確保を行い、少しでも収容者の確保に努めてまいります。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。いろいろな避難の形を市民も自ら考えることも必要かと思います。庁内では少ない人員でよく頑張ってくださってると思います。先日の高齢者等避難のときにも各避難所に職員が配置されて、日常業務の上に避難所運営と、大変苦労された話を伺いました。かなり効率的に連携を取って対応に当たらなければいけないと思うのですが、そのあたり、庁内ではどのような取組がなされていますか、お答えください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 昨年度末に改定した南国市地域防災計画の改定目的の主眼は、発災時に機能する組織づくりを位置づけることでした。具体的には、重点対策期間を定めた上で、危機対応の標準化、推進体制の強化、災害対応のDXに取り組むこととしております。特に危機対応の標準化として、発災時にどのような状況であっても必要な組織機能を効果的に発揮できる仕組みである、緊急時総合調整システムを基に、災害対策本部の組織を改編いたしました。今年度からこの新しい組織に基づき災害対策本部運営を行っております。十分に機能するためには、まだまだ訓練等も必要ですが、この改編により、一定、見通しよく災害対策本部運営ができるようになったと感じております。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 少ない人員での非常時の対応は大変かと思いますが、本当に頑張ってくださってると思います。個人的には公務員の人員確保をもうちょっとしていただけたらと思うところですけれども、なかなかそう急に変わることはないと思います。
次の質問で女性目線の防災についてお聞きいたします。
今後は、多様性を持った意見で問題解決に近づくために、女性の意見を多く取り入れることが農業の部門でも必要だと思っておりますが、こちらでも同じだと思います。なぜか防災の現場というのも、これもまた男性社会のような受け止め方があるようですが、災害が頻発する昨今、やはり女性の意見が入らないと避難所運営なども問題が多いことが分かってきました。南国市でも南国市防災士連絡会に女性部門ができたというところで、今後、この女性部門で具体的にどのような活動を考えておられますでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 女性部会として、まず現在の本市の防災行政について、女性の視点から点検、検証いただくこと、そして自助、共助の取組へ女性部会として参画いただき、地域の防災対策の質が向上するよう取り組んでいただくことが、女性部会の大きな目的、意義ではないかと考えているところです。まずはキックオフという意味で、女性部会として、過去の災害に学ぶ研修会などを行いたいと考えております。
また、高知市の下知地区では、下知地区減災連絡会女性部会が発足していると聞いております。このような先進団体と交流をする機会を設けるなど、本市として、女性部会の質を高める活動を後押ししてまいります。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。ちょうど時期を同じくして、高知市の下知地区減災連絡会にも女性部会ができたそうで、先日、キックオフ研修会が開催されたと伺っております。その中のロールプレーの寸劇では、夜用生理用品を避難所の運営をしてる男性にもらいに行くのに女子高生が説明に苦労するというような話など、実際、女性でないと分からないであろうシチュエーションの話などで盛り上がったようです。ぜひ交流して学ばせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次は、ペットの防災についてお伺いいたします。
やはり今は家族としてペットを大事にされている飼い主さんも増えています。特に東日本大震災以来、ペットと共に避難行動をするという、ペット同行避難という言葉もよく聞くようになってきました。しかしながら、東日本大震災の3年後に起きました熊本地震では、ペットと避難所に避難した方が鳴き声などで問題となってしまったという事例も報告されております。今回の事前避難での受入れでは混乱はありませんでしたでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 幸いにも長期避難を要するような大きな災害が発生してないこともあり、また事前避難でペットを連れてこられる方も少なかったことから、混乱するということは、現在まではありませんでした。しかしながら、これは受入れ体制が十分にできていることではありません。今回、臨時情報発表時に避難所に入らず、または入れずに、車でペットと過ごした事例があったようです。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) 人数も少なかったし、ペット連れも少なかったことで事なきを得たということですけども、今後はもっと大きな災害を想定した受入れ体制が必要だと思いますが、いかがでしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 南海トラフ地震の発生を想定した各避難所運営マニュアルでは、ペット避難について、一定記載をしております。ただし、計画に定められたペットの保管場所が屋根のない屋外であったり、ペットを連れてこられた方がどのように対応するかなど、避難所でのペット飼育や管理についてのルールなどは定めておりません。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。これ、ペットの話ではなく、これはペットを連れた避難者の話をしてるということを改めて考えなくてはなりません。そして、飼い主も自分のペットは自分で守る。そのためには、家の耐震化、家具の転倒防止、備蓄品の準備は、ペットを飼っていてもいなくても同じであるという認識をしっかり持たなくてはいけないと思います。
そこで、今後、啓発や訓練をどのように南国市では進めていく予定でしょうか、お答えください。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) 昨年度、環境省主催の災害時におけるペットの同行避難訓練を実施いたしました。市職員、高知県職員、高知県獣医師会、高知県動物愛護推進員、高知県愛玩動物協会が参加し、図上訓練を行いました。この訓練へ高知県動物愛護推進員の立場で参加いただいておりました斉藤議員から、ペット避難者を受けるためのスターターキットを御紹介いただきました。また、あらかじめ資料もいただいております。ありがとうございます。このスターターキットを活用して、実際にペットを飼育されている方などにも参加をいただき、訓練を実施してまいります。
併せて、避難所となる施設の施設管理者とも協議し、具体的に実効性のあるペット避難用スペースを決定してまいります。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。答弁にありましたペット同行避難受入れ用のスターターキットに関しましては、高知県愛玩動物協会の有資格者、愛玩動物飼養管理士会の皆さんが作成してくれました。この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
進捗状況に関しましては、他の担当課とも協力して、広報も出していただきたいですし、自主防災会との連携、公民館などの指定避難所にもお知らせをしていただけたら周知もできると思います。そのときも、あくまで自助努力でペットを守り、平時のマナーを守ることが飼い主の責任であることを明記すべきと思います。いつも言っておりますが、南国市には高知県獣医師会の会長もいらっしゃいます。災害派遣獣医療チームとして被災地に行かれていたこともありますので、また獣医師としてのアドバイスも受けられると思います。南国市が高知県ではペット同行避難に関してモデルケースとなるように努力していただけたらと思います。
次に、水をどうする、トイレはどうなるということで御質問させていただきます。
先日は事前避難で、停電も断水もない状況でありましたが。次には大規模な災害でありましたら、老朽化した水道管が破断したり、水源地が被災することで断水が想定されます。南国市は断水時にはどうなるでしょうか。横浜市には災害時給水所というものがあり、これは災害などで断水したときに誰でも飲料水を得られる場所でして、水道局で配水池災害用地下給水タンク、緊急給水栓及び耐震給水栓を災害時給水所として整備しているそうです。
そして、災害時のトイレ問題は度々出ますが、個人で簡易トイレを準備していくことも大切だと思います。とにかく御飯は我慢できても、トイレは我慢するわけにはいきません。災害時の避難所でのトイレ問題は本当に切実で、避難者の健康や福祉に直結する問題でございます。南国市にはマンホールトイレも設置されていますが、それ以外にも、平時にも被災時にも使える、それこそフェーズフリーな防災トイレを各避難所や小学校に設置するとかは不可能でしょうか。例えば、循環型水洗トイレの中には、排水せずに使用された水を独自の処理技術でトイレの洗浄水として何度も使え、処理能力も、大便器3台、小便器2台だと1日当たり延べ400人、1,200回使用可というものもございます。これは、平時には普通に使用して、災害時にも、使用後の水を処理して再利用を繰り返すので、断水しても使用できます。いろいろな形でのトイレ問題を目指すようにしていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○議長(岩松永治) 危機管理課長。
○危機管理課長(野村 学) まず、応急的な飲料水に関しまして、危機管理課ではペットボトルによる備蓄をしております。ただし、これは避難所避難者として想定されている1万6,000人を対象にして備蓄をしているものです。また、これは飲料水のみの備蓄であり、衛生環境を保つために必要な生活用水に関しては、備蓄はない状況です。
このような状況の中で、今年度から2か年で浄水機能付きのシャワーを8台整備することとしております。また、水確保の対策として、能登半島地震の際には浄水器が活躍したと聞いております。浄水器は、プールや河川の水などを飲料水として使用できる状態にまで浄化できる能力を持っており、断水の長期化の中では非常に有効な資機材であると考えております。また、飲料だけでなく手洗いに使用するなど、衛生環境の悪化の防止や感染症の防止にも役立つものであります。浄水器については、プールを備える小中学校の避難所を中心にした整備を検討してまいります。
次に、トイレに関しまして、危機管理課では、応急対策として、現在、いわゆる処理剤とビニール袋等がセットになった簡易トイレを備蓄しております。また、便座として、ポータブルトイレや自動で排せつ物をビニールへ密封する電動の便座等も備蓄を進めております。簡易トイレにつきましても、水と同じく、避難所へ避難された方が使用することを想定しております。各家庭でも、1人当たり1日5回を目安に3日から1週間分の備蓄をお願いするところです。以上のように、災害時のトイレ対策に関しましては、応急的にはポータブルトイレと処理剤により対応することとしております。また、下水道の整備地区にはマンホールトイレの整備を進めており、対応力の向上を図っているところです。これらの対策により一定の対応は可能と考えておりますが、ポータブルトイレの場合には、排せつ物をビニールに入れて保管、廃棄することになるなど、衛生環境への課題もあります。また、マンホールトイレは、市内全ての場所で設置可能というわけではありません。防災トイレに関しましては、下水管につながず、発災直後から大人数、長期間使用可能というものもあるようです。また、御紹介いただきました循環式トイレに関しましては、災害発生時だけでなく、日常でも使用が可能で、発災時にも下水管の破損等に左右されず使用できるものであります。日常から使用できるということにつきましては、今議会で神崎議員の質問、提案にもありました、防災フェーズフリーという考え方にも通ずるところです。どのような防災トイレを導入するのが一番効果的か、災害対策本部でトイレ対策を担う環境課とも検討し、避難所となる小中学校を中心に計画的に導入してまいります。以上です。
○議長(岩松永治) 上下水道局長。
○上下水道局長(浜田秀志) 想定では、大きな揺れを伴う地震が発生すると、配水池の緊急遮断弁が作動し、水道は市内全域、ほぼ断水になります。飲料水につきましては、各家庭、1人1日3リッターの3日間、9リッター以上の備蓄をお願いしたいところです。また、トイレにつきましては、水により汚物を流す仕様のトイレは全く使用できなくなりますので、これは本管の破損修理が終わるまではこの状況は続くと思います。
そうすると、先ほど議員より紹介のあった横浜市の耐震給水栓の話ですが、これ、耐震化が完了した地域での新たな給水方法として有効な給水手段になると考えます。特に発災後、人手が必要となる中、給水タンクを設置する必要もなく、道路側の弁操作だけで給水所が開設できます。今後、設置に向け検討します。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。簡易トイレで用を足すって、最初は大変かなと思います。まだ私もやったことがありません。高齢者の方なんかには、ポータブルトイレとかじゃないとちょっと使いにくいのかなと思います。能登半島地震では仮設トイレがなかなか届かなくて、仕方なくたんすの引き出しをトイレ代わりにしたという悲惨なことも起きております。いろんな場面を想定して、このトイレ問題というのは意識して解決していかなければならないと思っております。
また、水に対しても、備蓄の状況や浄水機能付き浄水についても考えてくださっているということで、ありがとうございます。横浜市での耐震給水栓というのは、災害用地下給水タンクや学校受水槽などの施設が設置されていない地域防災拠点において設置していて、配水管から直接屋外、水飲み場までを耐震化して、応急給水を可能にしているものということで、本管が耐震化されて破断などの心配がなくなったところでは、自宅が被災して水道などが使えないっていうときには大変役立つと思います。能登でも、自宅敷地内の配水管や水道蛇口は自分で修理しなければいけなくて、近所まで配水管が直ってきたと言っても、自宅の給水装置の修理に何か月も待たされているという事例もあるそうです。そういうときのためにも、まずはしっかり老朽化した水道管の本管の耐震化などを上下水道局では取り組んでいただき、次の対策へ進んでいただけたらと思います。
○議長(岩松永治) 昼食のため休憩いたします。
再開は午後1時であります。
午前11時57分 休憩
――――◇――――
午後1時 再開
○議長(岩松永治) 休憩前に引き続き会議を開きます。
引き続き一般質問を行います。7番斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) お昼休み、終わりまして、引き続き質問をさせていただきます。
今回、防災のことに関しての5番の災害発生と土木事業の重要性に関しましては、時間の都合もございまして、答弁いただいておりましたけれども、今回、割愛させていただきます。どうもすいません。
最後の6番の質問に移らせていただきます。
能登半島地震(子供たちへのアンケート調査)というところで、市長に感想を聞かせていただきたいと思っております。
「2024年能登半島地震子どもアンケート~震災から半年いま伝えたい子どもたちの声~」というタイトルで、NGO公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが、2,000人を超える小学校4年生から高校世代までの子供たちにアンケート調査を行っております。以下が主な質問項目です。能登半島地震やその後の生活について、大人や社会に伝えたいことはありますか。はいと答えた子供たちには、どんなことを伝えたいですかという質問が続きます。選択肢としては、地震が起きたときのこと、避難しているときのこと、被災した自分の町のこと、体や心のこと、自分の町の復興のこと、感謝の気持ちなどです。それから、誰に伝えたいですか、具体的にどんなことを伝えたいか、あなたの思いや意見を詳しく教えてくださいと、今の気持ちを伝えたい相手と内容を選ぶようになっており、最初の大人や社会に伝えたいという設問に、いいえ、分からないと答えた子供たちには、なぜそう思ったのですかという質問が続きます。そして、あなたはこれから復興に向けて自分の住む町のために何かしたいことはありますか。今の気持ちに当てはまるもの全てに丸をつけたり書いたりしてくださいと続き、選択肢としては、自宅や町の片づけ、仮設住宅での手伝い、地域の行事への参加、周りの人を励ます、震災を語り継ぐ、子供にできることがない、何をしたらいいか分からないというような選択肢になっています。国連子どもの権利条約は、子供の意見が聞かれ、尊重される権利を条約の原則の一つとして位置づけており、日本でも、こども基本法において子供の意見表明を規定し、その重要性を強調しています。この今回の地震におけるアンケートを御覧になられて、市長としてどのように受け止められましたか、お気持ちをお聞かせください。
○議長(岩松永治) 市長。
○市長(平山耕三) 斉藤議員からのセーブ・ザ・チルドレンのアンケートを見てどう私が思ったかという御質問でございます。
アンケートを拝見して、アンケートからは、子供たちの思いとしまして、震災後の現状、不便さ、苦しさなどを理解してもらい、対策を取ってもらいたいという思いやふるさと復興への強い思いとともに、なかなか進まない現状への歯がゆい気持ちなどを感じます。復興のためには自分たちもできることはしたいという思いを多くの皆さんが持っていらっしゃることに感心させられるところです。と同時に、何をやるべきなのか分からないというもどかしい気持ちなど、様々な思いが交錯しているようにも感じます。そのような中でも、多くの子供たちが、支援に入ってくださっておるボランティアや地域の皆さん、そして自治体職員など、震災対応をされている多くの皆さんに感謝の気持ちを表しており、支援されておられる皆さんに心から敬意を表する次第でございます。今、被災した子供たちが望んでいる思いを生かし、実際に南国市が被災した際には、それら、つらい思いをする子供たちが少しでも減るように、事前にできる対策をしっかりと進めなければならないと思っております。
また、南国市では、中学生に防災士養成講座を受講してもらい、防災士の資格取得をしてもらうよう進めておりますが、子供たちが事前の研修、地域活動、震災訓練などにより、自主防災組織をはじめ地域の皆さんとしっかり話し合い、発災時、復興時の自分の果たせる役割をあらかじめイメージをしておいてもらうことが必要ではないかと感じたところでございます。以上です。
○議長(岩松永治) 斉藤喜美子議員。
○7番(斉藤喜美子) ありがとうございます。アンケートでも、地元を何とかしたいという子供の意見や、役場の職員を逆にねぎらう、無理をしたら駄目ですよ、無理をしないでください、本当にありがとうございますというような意見、そして中には政治や政策に対してしっかりとした意見、こういう声をちゃんと国は聞いてもらいたいというような意見も多数あることが分かり、子供は何も考えていないというわけではなく、意見を言える場所が、手段があれば、大人以上に状況を把握して、何とかしたいと思っていると感じました。そういう気持ちを受け止めて育てていくことが、復興につながると感じます。せっかく南国市では、市長の答弁にもございました、中学生の防災士さんもいるということで、ぜひ防災訓練などで活躍の場をつくってあげてください。
輪島の女子高校生3年生の、「どうか、見捨てないでください。まだまだ未来を担う若者は輪島に居ます。故郷を無くさないでください。お願いします。」、この声を大人は真摯に受け止めなければなりません。南海トラフ巨大地震に関しましては、30年以内には70%から80%の確率で来ると言われておりますが、京都大学名誉教授の鎌田浩毅先生によりますと、この30年以内に70%から80%来るかもしれないという認識では準備がしにくい。私たちは、いつまでにこれくらいの地震が来るのでそれに向けて準備するように言われないと行動に移せないということで、南海トラフを考えるときには、10年後に東日本の10倍の規模の地震が来ると想定して、今から準備をするべきであるとおっしゃっています。今の子供たちが大災害を乗り越えて、能登の子供たちのように復興を成し遂げられるように、大人たちがしなくてはいけないことをしっかりと期間を持ってやるべき時期になっています。地域に愛情を持って、子供たちが成長してくれるように願って、今回の私の質問を終わらせていただきます。それぞれ丁寧な御答弁ありがとうございました。