「前浜掩体群」5号掩体公園の整備
掩体(えんたい)は、飛行機の格納庫で、高知龍馬空港の前身である高知海軍航空隊基地の施設として、終戦間近の1944年(昭和19年)に建設されました。
5号掩体(南国市前浜1739番地)は、6基残る小型の掩体の一つで、北側に位置し、南東向きに開口しています。一部に建設時の型枠の板がそのまま残されており、内側のコンクリートには靴の跡や型枠の年輪等がくっきりとついています。戦後、住居として利用された時期があり、前面開口部を塞ぐ壁を造った柱が1本残っています。開口部の下部には、柱穴をコンクリートで造っています。
前浜掩体群保存整備検討委員会が、5号掩体を、貴重な戦争遺跡として、将来にわたり保存し、平和教育の教材として活用するという基本方針を定め、掩体の戦争遺跡としての価値を損ねないように補修・補強を行いました。
発掘調査
公園整備を行うにあたって、掩体の基礎形状の確認と内部の床面施設を確認するために、発掘調査を実施しました。
発掘調査の結果、これまで掩体は現在の地表面の高さで使われていたと考えられていましたが、機体の形に掘りくぼめられた半地下式構造で、車輪誘導溝が掘られていたことが初めて確認されました。
ほかにも、掩体を建設するにあたって、掘削土量を減らすための工夫や、高度な技術で計画的に造られた様子が随所に見受けられます。
発掘調査によって、記録には残っていない様々な特徴が判明しました。
公園化整備
掩体が建つ場所は地表下2.5~2.7mまでシルト層が堆積しており、掩体はその層の中に建っています。自重で沈下したことで前部アーチに股開きが生じており、それにより前部天井に大きな×字状のクラックが発生しています。そのほかにも全体に大小様々なクラックが見られる状況です。
そのため、外周にH鋼の枠を巡らし、基礎と固定することで今以上の股開きを防ぎました。また、クラックへ樹脂を注入し補強しました。そのほかにも様々な整備工事を行いました。
※発掘調査、公園化整備の詳細については、5号掩体公園整備概要資料を参照してください。
「前浜掩体群」見学について
- 前浜公民館に駐車する際は、利用の妨げにならないように、できるだけ説明看板側に寄せて駐車してください。
- 掩体周辺の道路は農道ですので、車を停めると農作業の妨げとなります。掩体周辺への車の乗り入れはご遠慮ください。
- 掩体内部は危険ですので立ち入らないようにしてください。
- 5号掩体以外の掩体周辺はすべて私有地です。畑や田んぼには立ち入らないようにしてください。あぜ道や農作物を痛めないようにご注意ください。
5号掩体公園整備概要資料は、次のファイルをダウンロードしてご確認ください。