いきいき南国 第10回
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掲載日:2020/01/06
いきいき南国では、地域の元気と活性化のために活動している市民の皆さんの活動をご紹介しています。
陶芸を始めたきっかけ
第10回は、南国市の国分で陶工房三寿(とうこうぼうさんじゅう)の陶芸家として活躍されている久川 創(ひさかわ はじめ)さんです。
陶芸の経験はありませんでしたが、小さい頃より物作りが好きでプラモデルやミニ四駆などを組み立てたりしていました。高校3年生の進路を決める際、いろいろ迷って仕事として焼き物をやりたい思いを両親に伝えると受け入れてもらえ、焼き物(陶芸)の道へ進みました。
大学の陶芸コースへ入学した1年生の時、まだ陶芸の知識や技術がないにも関わらず、轆轤(ろくろ:円形の陶磁器を形成するときに用いる台)を使って器を作りたいと思いましたが、オブジェや自由に作る課題が多く自分の思っていた陶芸とのギャップに大学が面白くなくなっていた時期もありました。そんな時、器が焼きあがる頃の1,200度近くの窯から放たれた明るい光を見て衝撃を受け、「このままでは、だめだ」と思い、「やろう」という気持ちが奮い起こされ、2年生の終わり頃からは真剣に取り組むようになりました。
陶芸は奥が深く、大学4年間勉強した後すぐには身につくものではなく、継続して勉強しないと一人前になれないと思い、卒業後に信楽焼の会社に就職してからも、毎日仕事が終わってから、信楽焼の轆轤(ろくろ)を使って作品をつくる先生のもとに3年間通い、技術的なことを一通り習いました。
そして、信楽焼以外の焼き物にも挑戦したいと思い会社を辞め、高知へ帰ってきました。高知の窯元で働きながら色付け〔釉薬(ゆうやく):石の粉を水で混ぜた物〕の勉強を7年間させてもらいました。今まで勉強してきたものが身について、やりたい陶芸ができるようになり、やっとスタート地点に立てた感じになってきました。陶芸の道へ入り20年目を迎え、今までは作品作りに迷いがありましたが、納得いく作品ができるようにもなりました。3年前には独立し、「陶工房三寿」を始めました。
失敗の中からの成功が楽しい
特に、焼き方や色付けには気を遣って作品を作っています。焼き方は、還元焼成(かんげんしょうせい)という焼き方で10時間ほど焼いて、窯にガスを入れてさらに5時間焼き、色を付けていきます。窯にガスを送りこみ酸素不足にして、器から酸素が出ることにより色味がかわるので、窯の下からガスを入れて上から出てくるガスの様子で色付きを判断しています。ガスの出具合が夜でないと分かりにくいので夜に焼くことが多いです。今年は、設備を整えたことにより、このような新しい焼き方も試せるようになりました。
色付け方法は、釉薬(ゆうやく)を素焼きの器に塗って本焼きをすることにより緑系の色合いをだしています。地元の石や植物を使って色付けをしています。石の粉の重さ、細かさ、水量、焼き方それぞれで色が違うものになります。材料を選ぶ、土をこねる、作って削る、焼く、釉薬(ゆうやく)で色付け、形のバランスなど、各工程すべてにこだわって製作しています。焼く時の置き方も1つ1つにも工夫が必要で、間隔によって色が変わることもあります。
窯を開けて良い作品が出てきたときや、実験ではほとんど失敗していても、たまにいい結果になったりする時の達成感は何ものにも代えがたいものがあります。予想以上のものができたときや「いつか実現させる」と思って完成に向かって試行錯誤を繰り返していくことが陶芸をする醍醐味になっています。
地元の材料を使った陶芸をしたい
高知で陶芸をするなら、高知の材料を使った陶芸にこだわりたいと思っています。高知は、陶芸の材料がないといわれていますが、探し手がいないので材料が見つかっていない状態です。現在は県外の材料を買って作っていますが、釉薬(ゆうやく)は地元の材料を使うようにしています。今年は、人伝てに国分地区に「いい石がある」ということも教えてもらい、国分の石を使い焼いたりしています。地域の住民とのやり取りから良い作品作りのヒントをもらえることもあり、人との繋がりも感じています。10年前からしたかった地元材料を使った陶芸が現実化してきています。
地域との関わりを大切に
現在は、仕事の合間に工房で陶芸教室を行っています。また、よってこ広場(後免町商店街にある、フリースペースで、農業高校生による生産物の即売会や物作りを楽しむワークショップなど、不定期に開催しています)で声をかけていただき、陶芸教室をおこなう予定です。地域の方にも陶芸の面白さを味わっていただきたいと思っています。
陶芸をする際に火を使用することから、地域の消防団活動にも参加しています。地域の行事には、積極的に参加し、地域とのかかわりや若い人達とのつながりを増やしていっています。
作品は、工房近くのカフェや、イベント出店等を行っています。また、展覧会を開催したりしています。
久川さんは、国分地区の地元の材料を使って作品にしていき、作品を通じて国分のことや南国市のことを知ってもらいたいと話されていました。
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