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検索結果 »  平成22年 第347回市議会定例会(開催日:2010/09/10) »

一般質問 1日目(坂本孝幸)

質問者:坂本孝幸

答弁者:市長、関係課長


○議長(浜田幸男君) 日程により一般質問を行います。
 順次質問を許します。7番坂本孝幸君。
      〔7番 坂本孝幸君登壇〕
○7番(坂本孝幸君) おはようございます。
 私のほうからは、雇用対策そして児童虐待事案への行政対応ということでお聞きしたいと思います。
 特に雇用対策につきましては、農業への就業の面からの対策、これについて御質問いたしたいと思います。
 まず、児童虐待事案への対応ということでございます。
 最近のいろんなメディアを見ておりますと、高齢者の行方不明事件とか、子供、女性、こういった者へのDV、虐待事案、それが以前に増して多く発生しているというのが伝わってきて、非常に驚かされるところでございます。
 南国市では、平成20年2月に、市内の小学校5年生の男児が、母親が同居する男からひどい虐待を受けまして、右硬膜下血腫などによる心肺停止状態で病院へ搬送されました。その後、翌日の午前に死亡した、そういう非常に痛ましい事案が発生しているわけでございます。平成20年2月4日の朝のことでした。
 この事件は、南国市では絶対に忘れてはならないものでありまして、我々に多くの課題を残した事件でもありました。
 この事件の発生した後、高知県では高知県児童虐待死亡事例検証委員会というのを立ち上げましたが、この事案の全容解明に努めました。このときの委員会報告を見てみますと、現在の虐待への対応やこれの類似事案への対応において、果たして現状で大丈夫なのかという疑問が生じてまいります。
 このときの検証委員会では、事案を検証し、その問題点と課題とを整理しております。事案の全体的評価というところでは、3点を評価しておりまして、1点目が、1年という期間にわたって多くの関係機関がかかわっていた中でこの虐待死亡事案が発生したということでございます。虐待が発見された後、弟を施設入所させることも含めて約1年間、児童相談所、学校、警察、南国市福祉事務所、そういった多くの機関が継続的にかかわっていた中でこの事案が発生したわけでございます。
 そして、2点目の検証というのは、児童相談所が関与することで関係機関の主体的意識が欠如してしまった事例であったというふうに県の検討委員会では検証しているわけです。南国市福祉事務所、ここでは当事者意識が薄い対応になっていた。児童が通学する小学校は、受け身的な対応となっていた。そういう検証がなされております。
 そして、3点目は、児童相談所の組織的対応が欠如した事例であったということで、現在児童相談所の体制も強化されてきたということでございます。
 また、全体を通しての問題分析では、1つは、調査や見立て、援助方針など、児童相談所の専門性が問題視された。そして、保護者への虐待の告知の点、この点などが報告されておりまして、その中では特に同居男性の持つリスクの可能性への判断とか、DVと児童虐待との関係性の認識、そういう点におきまして対応が本当に十分であるのか、あったのかという反省点が派生してくるわけでございます。
 この児童虐待死亡事件の後、南国市でも南国市要保護児童対策検討地域協議会というものを設置して児童虐待の未然防止に努めているところでございますが、そこでお聞きいたします。南国市では、この後児童虐待類似事案は発生していないのかどうかをお聞きします。
 2点目が、虐待に至らないと判断される場合での事案はどのようなものが何件ぐらいあったのか、そういうことについてお聞きしたいと思います。
 そして、3点目ですが、虐待に至らないものについてはどのように検証され、どのように対応がなされているのかということについてお聞きします。
 次に、南国市要保護児童対策地域協議会は、その後何回くらい開催されたのかをお聞きします。
 また、南国市要保護児童対策地域協議会設置要綱では、その第3条第4項において、代表者会議、実務者会議及び個別ケース検討会を置くとされておりますが、これら会議の構成メンバーと各会議の開催状況についてお聞きします。
 同時に、南国市での児童虐待死亡事件の検証委員会報告の中で、同居男性の持つリスクへの可能性の判断、そしてDVと児童虐待への関係性の認識、これが問題とされたわけですが、南国市ではこれらの認識を十分に持った上で児童虐待防止に対応しているのか。
 そこで、お聞きしたいわけですが、この同居男性の持つリスク、母親及び児童に対するリスクについてどのように認識しておられるのかということについてお聞きしたいと思います。
 そして、母親へのDVと児童虐待の因果関係についてどう考えるのかということについてお聞きしたいと思います。
 次に、2つ目の大きな質問でございますが、雇用対策ということについてお聞きいたします。
 この雇用対策を考える場合に、いろんな課題が横たわっている場合があるわけでございますけれども、きょうは農業の6次産業化の問題から見た雇用対策、そしてふるさと起業へ挑戦する農業を志す人々に対する雇用対策、そして定住政策から見た雇用対策、そういう3つの点からこの雇用というものを分析しながらお聞きしたいと思っております。
 まず、雇用の現状ですけれども、全国的に依然非常に厳しい状況が続いております。4月から6月のGDP実質国内総生産、この成長率というのが、これまでの予想を大きく下回って急激に減速しております。日本経済が自立回復の軌道を大きく逸脱してしまったと、そういう状況が鮮明になってきております。
 米国の景気失速による円高で日本企業も大変苦しんでおるところですけれども、4月、6月期のGDPでは、非常に落ち込んだ個人消費、これを輸出増が補ってきたわけですけれども、これから後はそういう状況はなかなか難しい状況にもなっていくわけでございます。
 政府では、国内消費について、エコカーの補助金とか家電のエコポイント制度、そういったもので企業支援を行ってまいりましたが、これらも間もなく打ち切られることになっている。エコカーはもう既に打ち切りになったようにも聞いております。
 このような政策が打ち出されても、政府が幾ら企業支援をする政策を打ち出しても、やはり問題は個人消費の拡大なんです。個人消費が拡大しなければ、現在の経済状況からの脱却というのは非常に難しい。
 今大事なことは、やはり雇用の拡大でありまして、収入がなければ車も家電も買えないわけなんです。高知労働局が7月末に発表した6月の県内求人求職状況、これを見てみますと、県の有効求人倍率は0.5倍。この0.5倍という数字は、前年の同月に比べると0.11ポイント上昇しているわけです。そして、前月と比べると0.03ポイント上昇しているわけです。しかし、上昇しているといっても、有効求人倍率0.50、これが示すように、いまだに求職者の半分しか求人数がないという状況が続いているわけです、この高知県で。
 本県の高校新卒者の52%が県外へ出ております。高知県の月間有効求職者数1万9,211名おるわけですが、この1万9,211名に対して有効求人数は8,532名しかないというのが本県の仕事の状況であります。南国市ではこの求人求職状況をどのようにとらえているのでしょうか。
 今私たちの住む南国市では、国の緊急雇用創出事業とか、ふるさと雇用再生特別交付金事業、そういったものを活用しながら雇用対策を推進しているところですが、この事業もいつまでもあるものではない。緊急雇用で人を雇うといっても、3カ月を限りに雇用する、再雇用はない。若い人たちが緊急雇用で雇われても、3カ月の仕事しかない。そういう状況が多分全国的に続いている。この南国市でも同様のことでございます。
 来年以降の雇用対策をどうするのか。これは非常に重要な問題でございます。ことしは「龍馬伝」ということで、観光にスポットを当てた非常に活発な行政が行われておりますけれども、来年以降どうするのかと。そのポスト「龍馬伝」というものが今大きな課題となって県政の場にも横たわっているわけです。
 来年以降の雇用対策をどうするのか。今から南国市としてこの対策について十分に議論しながら、市としての対策を検討すべきというふうに考えるところであります。いつまでも国の制度だけに頼り、その範囲でだけの雇用対策に終始していては、真剣に雇用を求める市民の負託にこたえられないということになるわけでございます。今こそ南国市行政の知恵に期待するものであります。
 そこで、御質問させていただきますが、来年以降の市民の雇用確保のために南国市としてどのような対策を考えているのかということについてお聞きいたします。
 次に、南国市が抱える課題の中から、先ほど申しました、冒頭申しました農業の6次産業化、ふるさと起業から見た雇用対策、定住政策から見た雇用対策、これについて順次質問をさせていただきたいと思います。
 まず、雇用対策としての農業の6次産業化という点からの質問をさせていただきます。
 雇用を考える場合、南国市では企業誘致をまず考えてきました。確かに企業誘致も非常に重要な問題でございますけれども、企業誘致だけでは市民の求める雇用への要望に十分にこたえることができていない現状があるということがわかってきました。この南国市でも、仕事のないことが理由となった生活保護世帯、すなわちこれは雇用の悪化というものを背景にしておるわけですけれども、そういうものを背景とする生活保護の家庭が急増しております。
 この被保護者の数ですけれども、平成20年に654世帯960人おりました。このときの保護率が1.93%、1000分率で19.3になってますので、1.93%という数が出てくると思います。平成21年には692世帯1,031人、保護率が2.09%、そしてことしの9月までに保護世帯が718世帯、人数が1,071人、保護率が2.17%、これだけふえているわけでございます。生活保護の申請した人はもっとおります。申請して認められた人の数がこれだけおるわけです。生活保護を求めてきた人はもっともっとふえているはずでございます。
 こういうふうに、雇用の悪化を背景とした市民の生活苦、生活が苦しい状況がこの南国市でもはっきりと見えてくるようになっているわけでございます。
 高校新卒者の52%が県外へ転出し、大学を出ても就職がない、そういう状況が長く続いているわけですが、このことはどういうことかというと、就職できない若者の夢を壊す。それだけではない、年金制度への悪影響とか、あるいは社会の活力を失わせる、そういう結果をも招くわけで、この責任というのは国だけではなくて、地方自治体、中でも住民に最も近い行政組織としての市町村にあることは当然のことであります。
 現在の厳しい雇用状況の中、若者の目が地方に向くようになってきております。働く場の少ない地方へどうして目を向けるようになっているのか。問題はここなんです。それは、地方で可能性に挑戦したい、そういう夢、チャレンジのための期待というものが地方に寄せられているというふうに考えます。もちろんその背景には現在日本の厳しい雇用情勢というものが横たわっていることは間違いありません。
 農林漁業などの1次産業、これを加工などの2次産業と、あるいは観光などの3次産業、これと融合させる6次産業という発想が出てまいっております。そして、これへの期待というものが今非常に高まっております。農林漁業あるいは農山村の6次産業化を目指してふるさとで起業に挑戦する若者、そういう者がふえる中、政府は昨年の緊急雇用創出事業の一環として地域社会雇用創造事業、これを補正に盛り込んでおります。この事業では、就業を体験するインターンシップ事業と起業の初期段階、事業を起こす起業の初期段階を支援するインキュベーション事業、これによる1万2,000人の人材育成を目指しております。
 特に今春から始まりましたインキュベーション事業では、3年間で800人の起業家の育成を目指すというふうになっておりまして、成功の可能性があれば1人300万円の起業資金、事業を起こす資金が提供されるということになっております。こうした起業家育成の動きを支援する政策が今後の全国の自治体で実施されることが理想でありまして、市民の生活、雇用を守る市としても強く国、県にこれを求めていくことが必要であります。
 次に、ふるさと起業への挑戦ということで御紹介させていただきたいと思いますが、昨年6月からことしの6月までの1年間に県内で新しく農業へ就農した人、県内でですね、これが197人おるようでございます。この197人の数というのは、過去最多でございまして、そのことが高知県の調べでわかっておるわけです。平均年齢が36歳。厳しい雇用の中で新規就農者が増加しているわけです。全国的に増加しておりますが、県内では前年比の22%増。これは、この22%増という数は、全国では倍の数です。それだけ高知県で就農する希望者がふえていると、急増しているという実態がわかるわけですが、これにはやはり不況による離職者、会社をやめた人、そういう人もふえていると思いますし、その一方では、田舎暮らしとか有機農業、そういったものへの関心の高まりが背景にあると、県のほうでもそういうふうに分析しております。
 ふるさとで働く場がなければ自分たちで仕事をつくる、起業して働く場を確保しようという動きが南国市にも実はあります。有機農業でやっていきたいということで、一生懸命研修を重ねているグループや個人、南国市にはたくさんおられます。
 南国市の農業政策、これを見てみますと、やはりハウス園芸、観光農業、これは暖かいところですので適地と言えば適地かもわかりませんけれども、観光農業、これを重視しての農政が続けられているわけです。
 しかし、農業に寄せる理念とか職への考え方、これは個々異なっていて当たり前のことでございまして、有機農業でいくのか観光農業でいくのか、こういうことも市民が自由に選択してしかるべきであります。減農だからあるいは有機農業だからという理由で行政の支援レベルに差があるというのは、とても公平な行政だとは言うことはできないと思います。
 南国市で有機農業を行っているある方の話では、南国市では有機農業に対する支援がなかなか得られにくい。高知市では、やはり得られにくいけれども、南国市よりは得られやすい状況がありますと。南国市で有機農業がやりにくかったら、この際思い切って高知市へ移っていって高知市で有機農業をやっていきたい、そういう声も非常に多く私の耳へ入ってくるようになっております。
 次に、定住政策から見た起業といいますか、整備といいますか、そういうものについてお話をしたいと思います。
 定住自立圏形成協定、これは今議会にも高知市との間でこの協定を結ぶということで議案として上程されております。その目的というのは、両市が相互に役割を分担して連携して、人口の定住に必要な生活機能を確保する。そのことで圏域全体の活性化を図っていこうというものであります。この協定の中身を見てみますと、医療、福祉、教育、産業振興、環境対策、地域公共交通、地産地消、職員交流、そういったものを行うことになっております。これは自立圏形成協定の中身ですので、この協定がこういうふうに進む中で、具体的にそしたら定住計画とか定住の構想をどんなものを持っているのかということについて聞きたいわけですけれども、一般的に言われるのが、価値の高い定住対策としては、既存住宅の活用といったものが言われているわけです。地方の空き家情報を発信する仕組みというものは、官にも民にもあるわけですけれども、それを行政も一緒になって整備促進しようということが今求められているわけでございます。既存住宅の改修への公的支援とか、耐震性、安全性などへのリフォームのための費用の税制優遇、そういったものも求められておりますし、あるいはリフォームローン、こんなものも、ありませんけれども、こんなものも開発してほしいということが求められているのが現状でございます。こうした空き家への、既存住宅への活用促進、これが地方への定住あるいは住みかえというものを促していくということにつながるというふうに思います。
 そこで、質問したいんですが、まず農業の6次産業化を進めようとする起業家あるいは団体への行政支援についてどのように考えるのかということについてお聞きします。
 そして、ふるさと起業に夢を持って有機農業で働く場所を確保しようと頑張っている若者への支援をどう考えるのかということについてお聞きします。
 また、商業や農業、林業、漁業、そういったもので自立を考えている人々に対して、特に県外からのUターンとかIターンをして頑張ろうという市民に対して住宅政策とか農地政策、そういったものを南国市がどのように準備しておられるのかということをお聞きいたしまして私の第1問を終わります。ありがとうございました。
○議長(浜田幸男君) 答弁を求めます。福祉事務所長。
      〔福祉事務所長 南 幸男君登壇〕
○福祉事務所長(南 幸男君) おはようございます。
 坂本議員さんからの御質問がありました児童虐待事案への対応についてお答えします。
 まず、御質問の大篠小児童虐待死亡事件以後の類似事案発生状況につきましては、平成20年度8ケース、平成21年度3ケース、平成22年度は8月末現在6ケースの発生がありました。
 ここで言う類似事案につきましては、児童相談所に通告、一時保護を行ったケースであります。8月31日現在、こども相談係が対応している個別対応ケースは現在250件ありますが、虐待事案だけでなく、ネグレクト、育児放棄であります、家庭支援、擁護支援、家族関係の問題などさまざまな内容であります。
 各ケースの対応につきましては、大篠小児童虐待死亡事件を教訓とし、関係各機関が連携を密にし、早期発見、早期対応することにより、状況の悪化が進む前に対処、支援してまいりました。
 次に、御質問の類似事案の検証状況につきましては、各ケースの対応につきまして南国市要保護児童対策地域協議会の構成機関でかかわりを持っている機関が中心となり、日々情報の共有を図り、個別ケース検討会議において各機関の役割分担を明確にして必要な支援を継続しています。支援内容などの検証につきましては、随時の個別ケース検討会議で検証を重ね、さらに実務者会議においても検証しています。
 次に、御質問の南国市要保護児童対策地域協議会代表者会議、実務者会議及び個別ケース検討会議の構成状況と会議開催状況につきましては、南国市要保護児童対策地域協議会は58関係機関で構成されております。この中から10機関が代表者会議、8機関が実務者会議の構成機関となっています。
 個別ケース検討会議は、南国市要保護児童対策地域協議会の58関係機関すべてが構成機関であり、個々のケースに関連した機関が各個別ケース検討会議を進行し、協議をしています。各会議の開催状況につきましては、代表者会議は年1回、実務者会議は年4回、個別ケース検討会議は必要に応じ随時開催しています。平成20年度は82回、平成21年度は72回、本年度は8月末現在27回開催しています。
 次に、御質問の同居男性の母親及び児童に対するリスクにつきましては、当市の死亡事例も御質問のケースに該当しますが、その他の報告事例から、母親が児童に対して母親としての対応より同居男性に対して女性としての対応が重視された家庭環境を創造してしまうと、児童の精神面などに多大な悪影響を及ぼすこととなり、また母親自身も将来において痛恨の念にさいなまれるなどのリスクも想定されます。
 児童家庭相談を預かる福祉事務所としましては、このような状況下にあっては児童虐待などに注意し、関係機関と連携を密にして対処、支援していきたいと考えています。
 次に、御質問の母親へのDVと児童虐待の因果関係につきましては、家庭内で母親とDVがある場合、児童に何らかの悪影響が及ぼされることは容易に想像できます。福祉事務所は、心理的児童虐待があるものと考えて対応しています。
 DVが行われている環境下で育つ子供は、子供の人格発達などにも影響があると考えられます。
 また、そのような家庭状況が続いていく中では、親子の意思疎通が困難となり、親子間での身体的虐待の発生も懸念されるため、関係機関が連携して検討、支援していきます。
 次に、御質問の各会議の構成員は現状で十分かにつきましては、今までも必要に応じて南国市要保護児童対策地域協議会設置要綱を見直し、支援体制の強化に努めて一定の成果を上げてまいりましたが、今後も協力をいただきたい機関を検討し、児童虐待等への支援充実を図ってまいります。
 以上でございます。
○議長(浜田幸男君) 農林課長。
      〔農林課長 西川 潔君登壇〕
○農林課長(西川 潔君) 坂本議員の質問にお答えいたします。
 坂本議員さんがおっしゃるように、農業は農産物の生産だけでなく、加工や販売まで行うことが農家の所得を確保するために大変重要なことだというふうに私も思っております。
 本市におきましても、食料産業クラスターや土佐フードビジネスクリエーター、これは農水産物の加工で収入を安定させることができる経営者や技術者、農家らを育成しようと、高知大と市、JAなどが連携をいたしまして、地域における食料産業を支える中核人材の養成を目的ということでやっておりますけれども、この取り組みを行い、産業発展の中核的な人材育成を図るようにいたしております。平成20年度から農家の方も多く参加をいただきまして食品加工に生かしていただいております。
 また、南国市の地域雇用創造実現事業におきまして、JA南国市から職員1名の出向をいただくとともに、同事業で6名の雇用をいたしまして、農業生産技術講座、食品加工技術、衛生研修講座、食品企画力・販売戦略養成講座などを実施をいたしております。この事業の中で農産物の生産、加工、販売までの坂本議員が言われる6次産業というようなものの実証実験を行っているところでございます。
 ほかにも、地域にある資源を生かせないものかと、市の中山間にあるタケノコなどの加工や商品化に向けて集落丸ごと資源活用事業というものにも取り組んでおるところでございます。
 有機農業のことでございますけれども、実践されている方が有機資材がそれぞれ異なること、考え方も一定でないということもございまして、南国市では坂本議員が言われました観光農業、普通の農業ということと特段に変わった施策はいたしておりません。これは事業計画等により事業補助、このような判断に差をつけているものではないということでございます。管内の中央農業振興センターでは、高知物部川有機農業推進協議会も組織をいたしておりまして、南国市の農家も参加をいたしております。また、JASの有機資格取得支援、土佐町にあります有機のがっこう、窪川での実証事件などの支援もございます。
 新規就農者への支援についてでございますけれども、県の機関であります農業振興センターやJAなど農業関係機関と連携をして支援をいたしております。新規就農だけでなく、農業者には各種の制度資金の貸し付けなど活用することができます。
 しかし、健全な農業経営、資金とか技術、営農計画が見込めるなど、幾つかのハードルがあることも事実でございます。
 I・Uターン者で農地とか空き家情報の必要な方ということにつきましては、農業委員会と連携をいたしまして情報の提供を行っているところでもございます。
 新規就農者の定着につきましては、就農予定者の熱意や受け入れ農家の御理解によるものが大きく、特に研修者が地域行事などに積極的に参加するなど地域に溶け込むよう指導をいたしております。具体には、JA長岡管内での毎年新規就農研修支援事業を取り入れましての実施をいたしておりまして、新規就農が出ているところでもございます。
 その結果としまして、農業技術だけではなくて、農地や住宅などの提供、あっせんなどがスムーズにいただけ、農業経営が実現をするということになっております。
 農業面での雇用ということにつきましては、長引く不況の中で、幸いにも農林業のほうに目が向けられておりますけれども、現実には、さきのセンサスでもありましたように、75万人でしたか5年間で、それから22%を超える減少、それからまた、これは早期稲の米価、それから施設園芸等、南国市にあるこの農業の現状を見た。実はそれが現実でございまして、なかなか厳しいということも私は思っております。
 農家における雇用といたしましても、先ほど申し上げましたように、現在雇用創造推進事業というものをやっておりまして、平成24年には農業の生産法人というものも目指しておりまして、この中での雇用の拡大ということに向けております。
 以上でございます。
○議長(浜田幸男君) 7番坂本孝幸君。
○7番(坂本孝幸君) 先ほど農林課長のほうから御答弁いただきました。
 有機農業では、その有機資材、そういったものが異なる。事業計画等で差をつけてないということですけれども、現場の声としては、やはりいろんな制度の使い勝手が悪いと。そこで市のほうから出てくるのは、いろんな制約じみたことが非常に出てくるということを聞いてるわけです。
 もう一つ指摘がありました地域行事への参加、これは有機農業をしてる人なんかも非常に大事な視点でございまして、自分たちだけでやっているような感じが市民から見るとまだ残ってるわけですが、実は有機農業をしている人は、県内では余り販売ルート十分なものはないですけれども、県外ではかなりの販売ルートを持って行ってるわけですね。
 地域内のいろんな制度を利用するときには、やはり地域での認知度がなければいかんわけで、県の有機農業振興計画の中にも地域の理解を求めなさいということがかっちりと言われてるわけです。そこの辺をやはり有機農業をしている人も反省すべき点もあるわけです。
 地域での理解度が低い、それを解消するために年1回ぐらいは南国市の有機フェア、そういったものをやったらどうですかというふうな話も出てきてるわけですけれども、これまでは食育フェアの中で有機コーナーというのを設けて有機のPRをしていたようでございます。
 そういうやはり有機というものが政策の中に大きく取り込んでいただけないと、有機をPRするにしても、何かの行事に乗っかった形でのPRしかできない。そういう体制ではいつまでたっても有機農業の社会的評価は上がっていかないというふうになっていくんだと思います。
 まだまだここには課題が多いわけですけれども、本議会に定住自立圏形成に向けた取り組みというのが上程されておりまして、ここでは高知市と周辺市での取り組みを推進する共生ビジョンに基づく事業、そういったものに特別交付税措置が講じられるということでございます。高知市は3,000万円、本市は1,000万円、これを上限とする措置を受けるようになっているわけですけれども、定住圏形成においては、ほかの財政措置も準備されておるわけです。例えば地域活性化事業債における定住自立圏推進事業、外部人材の活用に対する財政措置とかそういうものが準備されているわけですけれども、定住対策におけるこの雇用、特に若い人が農林漁業へ仕事を見つけていきたいというときに、この南国市に特別な就業支援がないということではいけないということですね、有機農業に対する。若者だけでなくて、多くの市民の期待を裏切っていくことになりはしないかという心配もするわけですけれども、そこの不足している点について行政のほうで温かい気持ちを持って支援を行っていただければ、農業をしている人はやっぱり自信と安心を持って就労することができるというふうに思います。
 それで、今回の自立圏形成協定というのは、自治体間の推進のための協定でありまして、その政策分野の中に雇用の確保について高知市、南国市が役割分担を行いましょうという取り組みが妙に少ないというのがちょっと気になっております。
 この協定の中身を見ますと、この中には林業振興というところと、それから就農希望者への支援をするというふうに役割分担の中で南国市ではあるわけですけれども、ここの辺を今後具体的に明らかな政策を打ち出していってほしいというものであります。
 これは高知市も同じようなこと書いてまして、乙は甲と連携し、相互に圏域内の情報を共有するとともに、就農希望者に対して情報を提供し、就農を支援する、同じこと書いてます、高知市も南国市も。ここの辺を、ただ役割分担はこんなものでしたよということだけではなくて、今後具体的に就農支援ではこんなことをしていきますよというものをこれからまた提示していただきたいというふうに考えるところでございます。
 それで、南国市で就農を考えるときもう一点考えなければいけないことは、中山間の活用ということであります。御承知のとおり、中山間地域では過疎・高齢化が進んでおりまして、本当にコミュニティーというのは崩壊寸前であります。いろんな集落の行事、草刈りにしても道つくるにしても、少しのことですが、そういうことをやるにしても本当に人出がなくなって、どこの小部落でも困っているというふうに考えますけれども、そういう問題が中山間あるいは過疎地域では深刻な問題となっています。
 当然定住の危機というものもそこにはあるわけでございます。そういう過疎地域というものが生き残るためには、やはりそういう地域で新しい就労機会をつくるということと、人がそこで生活をできる環境を整えていくということが非常に必要でございます。
 こういう過疎化が進んでいる、高齢化が進んでいる中山間地域で有機農業をやっていきたいという団体もあるわけです。南国市の平場ではなかなか暖かい、適地でないと言えば適地でないかもわかりませんけれども、南国市の中山間へ行くとやっぱり高地、涼しいところもあるわけで、そういうところで有機農業をやりたいと言う団体もあるわけです。
 そこの団体では現在7人の若者が将来有機農業を学んで有機の農園を自分でやっていきたいということで頑張っているところですが、先ほど来申し上げておりますように、農林課長はそういうサービスの差はないというふうに言われましたけれども、現実問題として有機農業にはいろんな補助制度、枠がなかなかはまりにくいという問題があって、現実にあるわけです。そういうところをやはり有機農業をやっていきたい道を選んだ人に同じサービスが受けられるように行政として努力をしてもらう、そこがやっぱり公平、平等な職務を行う行政の考え方と思うわけです。それは本当にお願いをいたしたいところでございますけれども、いろいろ申しましたけれども、南国市行政では有機農業が枠外にあるような状態、これをやはり何とか解消していただき、有機農業向けのサービス、育成支援、そういったものをお願いしたいわけですけれども、この定住構想を進める南国市で十分にそういう人たちが就農の機会を得るというふうな体制の整備が必要であります。
 そこで、市長、農林課長、企画課長にお聞きしたいんですが、非常に厳しい経済情勢、雇用情勢が続く中で、定住対策、雇用対策としての有機農業、これを南国市で進めていくためにどんな対策が有効であるのかということを、日ごろからどういうふうに考えておられるのかということについて簡潔にお聞きしたいと思います。
 それと、南国市要保護児童対策地域協議会、これで虐待が評価されていくわけですけれども、代表者会議とか実務者会議、それが関係者が集まって検討するわけです。個別ケース検討会もそうですけれども。こういう会議の席上で虐待であるのかないのかということが評価されているわけで、こういう会にはできるだけ多くの意見の中からその結論を導き出していくということが非常に重要になってくるわけでございます。
 少人数、例えば南国市では、この要保護児童対策地域協議会ですが、南国市では代表者会議の構成が10団体、実務者会議の構成が8団体であるのに対しまして、土佐清水市、これは県下でもなかなか積極的にやっているところですけれども、ここなんかは代表者会議とか実務者会議の中に幼稚園の代表とか小中学校、高校の校長先生とかという人らも実務者の代表ということで入って、代表者会議は南国市が10団体であるのに対し、土佐清水では18団体で構成しているわけです。実務者会議、南国市が8団体であるのに対して、土佐清水では倍の16団体。非常にたくさんの目で学校でのあるいは家庭での出来事を観察しているわけです。少人数での対応だから問題があるということではなくて、多くの目で見ればもっともっとよく評価できるんではないかというふうに考えるわけでございます。
 先ほどDVとの関係についてお聞きしましたけれども、それをどうして聞いたのかというと、実は女性の保護する施設が高知市にあるわけですけれども、そこなんかが実務者会議とか代表者会議、これに入ってないわけです。こういう団体もやはり入れて、DVと子供の虐待とは非常に因果関係が深いもんで、因果関係も先ほどお聞きしましたけれども、因果関係が強いものでございますので、関係機関もやはりたくさんの目で見れるように団体数もふやしていただいて、それは事務的な問題もあると思います。会議の招請をしたりせんといけませんので大変かとは思いますけれども、やはり南国市では絶対に再び同じ過ちを犯さないという点からいえば、そういう問題も克服していただいて、多くの目で正しい判定ができるような体制を整えていただきたいというふうに思うわけでございます。
 そこで、御質問ですが、虐待死亡事件を発生させた南国市、この教育現場である幼稚園、小中学校、ここの園長さんとか校長先生、こういった方を代表者会議あるいは実務者会議、これの構成員に加える考えはありませんかということと、それからDVと児童虐待との因果関係について質問いたしましたが、高知県女性自立支援センターですか、ここも加えて体制を強化するお考えはないのかということについてお聞きいたします。
○議長(浜田幸男君) 答弁を求めます。市長。
○市長(橋詰壽人君) 私のほうから二、三、お答えをしたいと思います。
 まず、坂本議員言われた高知市との定住自立圏の問題で、全く同じ林業振興なんかの項目が載っておるというお話でございますが、これは同じ項目というのは当たり前といいますか、そのための今までずっと協議を重ねてまいりまして、同一の課題についてふるさと定住のために高知と南国市でどういうことを行っていくかというお話でございます。
 まず、そういう手順で言いますと、ワーキンググループで協議をしまして、大体これで行こうじゃないかといったものを主管担当課長会、これでもう一度練りまして、そして過日行われました連携推進会議で、よしそれではもうこれで議員のそれぞれの議会へお諮りをしようではないかと。細部にわたってはまたお話は進めていこうということでできたものが、その高知市と南国市の定住自立圏に関するこれから一緒に取り組んでいこうという項目でございます。
 坂本議員からは有機農業というお話がございましたが、私は坂本議員が言われる過疎地域といいますか、中山間地域、そういうところで今後も農業を守っていくあるいは発展させていくということでは、私は有機農業は深く研究はしておりませんけれども、大変重要なことではないかと。今まで農林課長が答えました。今までの農業ということを観光農業という言い方でやるとすれば、やっぱり面積的には、あるいは先ほど御紹介がございましたように、7人でまず取り組まれておるということでございますので、まだまだ農産物の量としては少ないかもわかりませんが、そういうものを地域の住民の方にも十分理解をこれからしていただく。山間地域の有機農業ではこういうものができますよというPRもしていく、あるいはいろんなフェアでアピールをしていくということは大変重要なことではないかと。例えば軽トラ市であるとか、そういうところでも南国市の物産を有機農業でできたものですというような売り出し方も一つはあるんではないかと。あるいは、空の駅で、また道の駅でそういうコーナーを設けて売るというのも一つの試みではないかというように考えております。
 それと同時に、有機農業で、あるいは少しこの平場でつくる農産物とは違ったものもまた取り組みができるかもわかりませんが、そういう意味で新たな農業視点で農産物の生産をするのに研究するとか、これがやはり中山間地域、あるいはもっと言いますと有機農業だからこそということであれば、それは大いにまたお話も聞かせていただいて、そうしたものへ取り組みやすい助成制度もできるんではないかと思っております。そういう意味ではどんどんそういうことが広がっていくことが、中山間の農業の活性化にもつながるのではないかと私はそんなに思っております。
 以上でございます。
○議長(浜田幸男君) 農林課長。
○農林課長(西川 潔君) 有機農業の栽培とか販売面でも課題がたくさんあるというようなことも申し上げましたが、環境問題も含めまして今有機農業のほうに消費者の方含めて時代が向かっているというようなことも私も承知をいたしております。
 その中で、有機農業をやられる方が具体的な相談がございましたら、それぞれの機関、蓄積している情報も出しますし、対応していきたいというように思います。
 また、有機農業を実践される希望の方でございますけれども、どのような目標を持っているのかというようなことで、その方の技術とか資本によりまして適切な指導ということをしていきたいというように思っております。
 ただ、有機農業であれ観光農業であれ一定の資本を入れるわけでございますので、この大変厳しいときに失敗は許されないということで、一定の条件をクリアされる見込みという方にはやはり制度を活用していきますし、そのクリアがされないような方については、クリアするための支援、このようなものをしていきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
○議長(浜田幸男君) 企画課長。
○企画課長(西山明彦君) 坂本議員さんのほうから御指摘がありましたが、定住自立圏形成協定の中に雇用の部分が非常に少ないという御指摘でございますけれども、先ほど市長が申し上げましたように、この協定というのはあくまでもアウトラインと申しますか、大枠でございまして、4市でそれぞれが議会の議決をいただいた後、具体的な定住自立圏共生ビジョンの策定に向けて懇談会を設置して協議をしていくということになっております。
 協定の中では、就農希望者への支援という点では、圏域で取り組むことにより新規就農希望者により多くの情報と就農の場を提供するとともに、希望者へのより円滑な就農を支援するというふうになっておりますけれども、これに肉をつけていくように共生ビジョンの策定及び策定後の具体策の取り組みについてまた4市の中で協議をしてまいりたいというふうに考えております。
 以上です。
○議長(浜田幸男君) 福祉事務所長。
○福祉事務所長(南 幸男君) 坂本議員さんの質問にお答えします。
 先ほど答弁をいたしましたが、個別ケース検討会、実務者会議、代表者会議、各会議の構成員につきましては、必要に応じて構成機関の追加を検討し、支援強化に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(浜田幸男君) 7番坂本孝幸君。
○7番(坂本孝幸君) DVとか要保護児童対策、本当に重要な問題です。南国市のほうで一生懸命やってくれていることは十分に承知しております。
 しかし一方では、やはりこれまでの対策も含めて一部課題もあったと。今後も引き続いて問題家庭への対応とか要保護児童への適切な対応、処理、この関係機関とともに十分な協議に協議を重ねながらお願いしたいわけですけれども、児童の要保護事案というのは、何回も申しますけれども、DVの陰で派生するケースが結構多いわけです。少年の健全育成という立場からも、その兆候を見逃さないケース会議とかDV対策、これをお願いして要保護児童対策についての質問は終わらせていただきます。
 それと、雇用対策につきまして、先ほど市長のほうからも新たな視点の有機農業の研究、これが大事だと。そして、有機農業への取り組みの話も聞いてみたいという非常にありがたいお話を伺いました。それから、有機農業をやってる皆さんも、その地域の中でのアピール、認知度を高めるということが当然皆認識しておるわけでございますので、そういうフェアなり、有機フェアとかそういうものを今後開催していくことと思います。大変希望のある御答弁いただきましてありがとうございます。
 それから、農林課長のほうからも、目標あるいは技術、これによって具体的な指導も行っていただけるということですので、多少先が見えたような感じがいたします。
 雇用対策というのは、南国市でも最も市民から求められているサービスでございまして、どんな行政サービス、どんな行政指導があろうとも、仕事がなくて収入がない限り、市民にとってのサービス効果というものはあらわれてきません。今後も企業誘致だけに解決策を求めないより積極的な南国市の雇用対策を求めるものであります。
 農業で自立したいと考える若者、Iターン、Uターンする人たちが希望を持って就農できる仕組み、相談体制からどうかつくっていってほしいというふうに思います。
 県のほうでは1.5次産業推進を言っておりますけれども、やはり第1次産業が一番潤う仕組み、これが大事であります。そのための農林漁業の6次産業化への支援、これを県とともに進めていただくことを求めておきます。
 こうしたことへの取り組みを早急に行っていただきますようお願いいたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。