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検索結果 »  平成20年 第332回市議会定例会(開催日:2008/06/13) »

一般質問 2日目(中山研心)

質問者:中山研心

答弁者:市長、関係課長


○議長(西山八郎君) 1番中山研心君。
      〔1番 中山研心君登壇〕
○1番(中山研心君) 民主党の中山研心でございます。第332回の定例会に当たりまして、個人質問を行わせていただきます。
 まず、後期高齢者医療制度についてお伺いをいたします。
 4月から始まった後期高齢者医療制度によって、わずかな年金から問答無用で保険料を天引きされるようになったお年寄りたちの悲痛な叫びは日に日に大きくなっています。健康リスクの高い高齢者を従来の制度から追い出して別建ての制度をつくったうば捨て山政策は、制度運用直前になって長寿医療制度と呼び名を変えたとしても、理解が得られるはずもありません。
 橋詰市長におかれましては、5月9日には高齢者退職者連合との話し合いの場におきまして、当事者のやり場のない声に南国市独自では対応できることは非常に少ないとは言いながら、誠意を持って耳を傾けてくださったことに対しまして、心から感謝を申し上げます。
 4・15ショック以降、山口補選での惨敗や高齢者の予想外な反発に政府はばたばたと低所得者への減免の拡大を柱とする運用の見直しを検討すると発表いたしました。しかし、制度の説明が十分ではなかった、大きなスキームは間違っていたわけではないとの立場は崩しておらず、厚生省OBまでもが口にするように、この制度がうば捨て山的になるおそれは依然と変わっておりません。
 この制度の問題点につきましては、繰り返しこの議会でも取り上げられてきましたし、制度運用が始まって以降もさまざまな立場の方から分け隔てなく率直に話を聞く姿勢を大事にされてきた橋詰市長でありますから、制度の問題点をあえてここで繰り返す必要はないとは思いますけれども、行政のトップとして現時点でのこの制度に問題を感じておられる点があれば、どのような点であるのか、また今後国に対してどのような働きかけをしていくべきか、お考えがあれば、お聞きをいたしたいと思います。
 また、厚生省を初めとして、この制度の説明のたびに持続可能な制度とするためにというフレーズが繰り返し使われてきました。この制度は、病気にかかりやすい後期高齢者だけがほかの医療保険から切り離され、保険制度としては維持することすら困難な制度であります。特に、今後団塊の世代が後期高齢者となる時期にこの制度が絶対に維持できるわけがないというふうに考えますけれども、市長の御所見をお伺いいたします。
 私自身は、ケアマネジャーとして幾つかの介護支援事業所の立ち上げにもかかわってきましたので、この後期高齢者医療制度を考えるときに、つい比較をしてしまうのが介護保険制度であります。同じ高齢者を対象とした社会保障制度でありながら、なぜこれほどまでに理念としての乖離があるのかというふうに思わざるを得ません。2000年4月に始まった介護保険制度は、制度設計の段階から実は大きな反発があったことが思い出されます。しかし、運用開始以降、幾つかの問題点と国保同様市町村が保険者とされていることに対する不公平感と財政負担のために自治体としては悩ましい点はありながらも、この制度は社会的に認知をされてきました。当時、介護のために離職する人が年間10万人に達し、介護疲れによる虐待や孤独死といった悲惨な現実を解決するための介護の社会化という理念が広く市民に理解され、支持されてきた結果だと考えます。
 こうした考え方のベースには、高齢者が尊厳を持って暮らせる社会づくりというゴールドプランに示された崇高な未来像と理念がありました。お年寄りを厄介者扱いし、制度から追い出して、その上、家族が一時間でも一分でも生かしてと切望し、さまざまな治療がかさむと500万円、1,000万円になるから――これは厚生労働省の言葉であります――早く死んでもらうために終末期相談支援料を支払う。その目指すところが余りに違い過ぎて唖然といたします。矛盾する2つの理念を持ったこの制度を同時に取り扱わなければならない現場の職員からは嘆きの声が聞こえてきますけれども、この点について、保健課長に現時点での思いがありましたら、お伺いをいたします。
 次に、生活保護行政についてお伺いをいたします。
 舛添要一厚生労働大臣は、5月19日、国の生活保護費約2兆6,000億円の半分を占める医療扶助費など、負担割合の見直しに向け国と地方が協議する場を設け、09年までに結論を得る方針を明らかにいたしました。舛添大臣は、生存権を含めた憲法25条で生活保護は国の責任となっているが、国と地方の役割分担を考える時期だ、現場が一番わかっていることを中央がやる時代ではないというふうに記者団に述べて、地方への権限移譲を進める方針を強調いたしております。生活保護費の補助率の引き下げについては、2005年生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会において、厚生省が一方的に国の負担割合を現在の4分の3から2分の1に引き下げ、地方に応分の負担を求める案を地方側に示しましたが、地方側の生活保護業務の国への返上も辞さないという猛反発に遭って先送りされてきた経過があります。
 生活保護は、憲法25条で定められた生存権の保障を具現化するものであり、国の責務であることは言うまでもありません。生活保護の実施に当たっては、法定受託事務であり、自治体の職員がその業務に当たっていることは百も承知の上で、現場が一番わかっている云々という大臣発言は、ごまかしと詭弁以外の何ものでもありませんし、単なる負担の地方への押しつけを恥知らずにも権限移譲と言ってはばからない政府の姿勢に大きな怒りを覚えます。
 そこで、市長にお伺いいたします。
 今後、こうした国の補助率の引き下げが提示された場合、南国市としてどのような姿勢で臨むのかについてお聞かせをいただきたいと思います。
 この間、最低賃金や基礎年金との逆転現象解消を題目に、老齢加算、母子加算の段階的な廃止など、実質的に法水準は切り下げられてきました。また、一部の不正受給等により生活保護行政に対する不信が広がり、多くの善良な保護受給者が肩身の狭い思いで生活をしています。こうした不信を払拭するためには、適正な保護の実施と手厚い自立支援は欠かせません。しかし、現場のケースワーカーの配置は十分とは言えず、厚生労働省基準の1担当当たり80ケースを上回る110ケース平均を今現在持っているというふうにお聞きをしておりますけれども、丁寧な自立支援や適正保護のための調査に十分な時間がとれないことは想像にかたくありません。
 そこで、お伺いいたします。
 病院ケースを除く在宅ケースの持ち件数を厚生省基準の1人当たり80ケース程度にするためには、何名のケースワーカーの増員が必要か、お答えいただきたいと思います。
 また、厚生労働省は交通費の支給について、北海道滝川市で起きた交通費約2億円の不正受給事件を受け、再発防止のためとして、身体障害者や近隣に病院がなく通院交通費が高額になる場合などの一部の例外を除き、交通費の支給を厳格化し、災害などの緊急時に限るよう都道府県に通知し、この7月からの適用を予定しておりましたけれども、今月10日になって、4月1日の通知を事実上撤回し、個別事情に配慮して適正に支給するように新基準を通知いたしました。従前の通知については受診抑制を招き、セーフティーネットが破壊されると関係者から強い批判が出ていたものであり、事実上の撤回については一定評価するものではありますけれども、完全撤回ではなく、これによって本市の受給者にとって予想される影響についてお答えをいただきたいと思います。
 次に、南国市の都市計画についてお伺いをいたします。
 土佐の空と陸の玄関で交通の要衝でありながら、南国市のまちづくりには顔がないという話はあちこちで耳にいたします。私の辛らつな友人はへそのない町と言ったりもいたします。市街化区域内の開発は遅々として進まず、本来優良農地として後世に残しておきたい土地には虫食い状に家が建つ、あるいは耕作放棄地が目立つようになる。調整区域のバイパス沿線については一部建物の建築が可能でありますけれども、進出意欲を持った企業にとっては規制のハードルが高くて立地意欲がそがれる。ゾーニングができていない。せっかく企業を誘致しても、タイムリーに住宅供給をすることができずにみすみす市税増収のチャンスを逃してしまう。都市計画法との整合性を保ちながら秩序ある整備を進めていくことの難しさは十分に承知をしておりますし、県と市の守備範囲と意思疎通の問題も含めて、南国市だけに責任があるわけではないと思っております。しかし、本市の都市整備行政に対しこうした意見が多くあることはしっかりと認識をしておく必要があろうかと思います。
 そこで、市長にお伺いいたします。
 今後、マスタープランの変更にも着手するわけですけれども、どのような理念を持って都市計画をしていくのか、個性豊かで活力ある未来の都市像をどのように描いていくのか、基本的な考え方をお示しください。
 先日、総務常任委員会の視察で岩沼市にお邪魔をしておりました。藤村副市長も同行されていたわけですけれども、区画整理の行き届いた整然とした町並みをバスで通過する間に、岩沼市議会の副議長さんから、この地区の区画整理は、もともと農地であったところを県道整備計画が持ち上がったときに市街化区域に編入して同時に区画整理事業を導入した。保留地の売却によって初期投資もかなり回収できて、地権者にとっては大きく減歩をかけても地価の上昇がはるかにそれを上回り、市にとっても宅地、商業地への転換によって税収増となったというお話をお伺いいたしました。こうした発想のなかった私にとっては大きな驚きでありましたし、経営的な視点がこれからの自治体運営にも必要であるのかなというふうに大いに参考になりました。
 そこで、藤村副市長にお伺いいたします。
 こうした経営戦略を持ったまちづくりの手法についてどのような感想を持ったのか、また今後の南国市のまちづくりにどう生かしていくべきか、お考えがあれば、お聞かせをいただきたいと思います。
 次に、中町のスーパーの跡地利用についてお伺いいたします。
 ある日突然、商店街のシンボルであった中町スーパーが取り壊されて、電車通りに広い大きな空き地が出現をし、多くの市民が驚きました。この春に大きな政治的な課題となった、いわゆる道路特定財源による都市計画道路建設のための移転補償であったことがわかると、ああ、なるほどと納得すると同時に、ほとんどの市民が、わずか1車線を広げるために何億円もの金を使ってスーパーを移転補償するやいうてという反応を示しました。今回の質問は道路特定財源の是非を問うものではありませんから、コストバリューの話をするつもりはありませんが、当該の土地は北に抜けてそのまま駅前につながる都市計画道路の交差点部分に当たり、かなり広い面積が買収されていますし、また今後スーパーの西側の土地についても買収予定であるというふうにお聞きをしております。
 この北に抜ける道路計画については、計画そのものが地権者の同意を得てつくられたものではないこと、地価が高くて権利関係も複雑で、用地の取得にはかなりの困難が予想されること、また住んでいる方々の移転先の確保が難しいなど、ほぼ実務者の感覚で言えば絶望的な計画であります。北に抜ける道路計画が困難であるとすれば、電車通りの一等地にこのばち部分を含めてぽかんとあいた無駄な空間が当面の間、存置されることになります。買ってしまったものは仕方がないにしても、この空間を単に道路特定財源の無駄の象徴として放置するのではなくて、中心市街地活性化のためににぎわいのある空間として活用する方法はないものか、具体的な方策をお考えでしたら、お示しをいただきたいと思います。
 以上で1問を終わります。(拍手)
○議長(西山八郎君) 答弁を求めます。市長。
      〔市長 橋詰壽人君登壇〕
○市長(橋詰壽人君) 中山議員さんの質問に順次お答えしていきたいと思います。
 まず、冒頭に質問されました後期高齢者医療制度についてでございます。
 行政のトップとして現時点でこの制度の問題点をどのように感じておるかと、こういうことであったかと思います。そして、この制度が維持できるはずはないと、市長の所見を聞きたいと、こういうことでございました。
 以下、順次御答弁申し上げます。
 新たな後期高齢者医療制度は、これまでの老人保健制度の問題点を解決すべく検討された国民皆保険制度を将来にわたり維持するため、現役世代と高齢者ともに支え合うものとして設けられてきた制度であると、このように考えております。
 しかしながら、制度が実施され始めまして、いざ走り出しますと、いろんなことが全国で毎日のように起こります、起こっております。広域連合や自治体では、実務を行っていく上におきまして大きな支障もできておることがございますし、避けられない状況が起こっておる、これも事実でございます。このような混乱した事態を招くことになった原因はどこにあるのか。いろんな御意見があろうかと思いますけれども、保険料の徴収方法を初め、あるいは診療内容など制度そのものにも問題が全然ないと、これは言い切れないと思っております。
 中山議員さんも御承知のように、この制度は平成18年6月、国会におきまして、高齢者の医療の確保に関する法律として成立したところでございます。今までの老人保健法と違うところは、大きく簡単に言いますと目的そのものが大きく違っているのではないかと、このように考えております。つまり老人保健法では、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病予防、治療、機能回復、機能訓練などの保健事業を実施し云々とありますけれども、後期高齢者医療保健法では、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画作成及び保険者による保険審査などの実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付を行うために制度を設け云々と、こういうようにございます。つまり今までの老健法では目的は健康保持から、高齢者医療確保法では医療費の適正化を推進する、高齢者の医療費については国民共同連帯の理念に基づくことを目的としてうたっております。法律の目的が医療費の適正化であること、加えまして複雑な制度内容であることからも、多くの高齢者を初め国民はもちろん、政府・与党内におきましても十分な理解を得られてない部分がございまして、不十分な問題を残した状況で成立したのではないかと、そのことがまたその混乱を招いている要因ではないかと、このようにも感じております。
 政府・与党が4月からの施行状況を踏まえまして、制度の円滑な運営を図るために長寿医療制度の見直しに関する協議会におきまして保険料などの負担の軽減策をさきの6月12日に次のような対策案が打ち出されましたが、以下簡単に申し上げますと、その内容につきましては、保険料の軽減対策が1番でございます。2つ目といたしまして、年金からの保険料徴収方法の変更、3番目といたしまして、診療報酬における終末期支援相談料につきましては、当面凍結することを含めて今後論議するなどでございます。国民の安心の基盤である医療制度を将来にわたり揺るぎないものへと再構築するためにも医療制度改革は必要であると思っております。今後も高齢者の増加に伴い、高齢者の医療費が増加していくことは避けられない状況にあるはずでございます。それを支える、特に保険料の主たる若年層の負担も必ずや重くのしかかってくるのではないかと思っております。
 御質問のございました団塊の世代が後期高齢者となるときには、保険料を支える若年層が減少しまして、罹患率の一番高い後期高齢者の増加によりまして医療費は今よりもぐっと爆発的にふえるんではないか、保険料の負担は高齢者本人にも過重になり、支払えない高齢者がたくさん出るのではないかと、このようにも思います。制度の存続がうまくいくだろうかと危惧する部分もございます。
 いずれにいたしましても、政府・与党が現在出しております運用改善策、これの柱といたしましては、年金収入の低い世帯に対する負担軽減でございます。老人保健制度におきましては、その基盤になります財政を支援いたしますいわゆる現役世代の医療保険が、その負担が限界に近づいてまいりました。そこで、これらを是正いたしまして、75歳の方々にも応分の負担をしていただこうではないかということでできたのが今回の後期高齢者医療制度であると、このように認識しております。
 全般的な状況といたしましては、この軽減策を出したものの、その負担問題、つまり財源問題が明らかになっていない、そして一方では野党はこの議論に応じていない、こういう状況に現在ございます。この制度の一番大事なところは、やはり財源をどのようなところに求めていくかと、こういうことではないかと思っております。そういう意味でも、今後この大きな医療制度を存続していくためにも、一日も早い負担問題、つまり財源の裏づけというものを確立していく必要があると、このように思っております。
 次に、生活保護行政についてでございますが、議員さんおっしゃいますように、生活保護制度は憲法25条で定められました生存権の保障を具現化した制度であると、このように考えております。生活保護の実施につきましては、適正、公平な保護行政に努めなければならないことは、業務に当たる自治体職員、ケースワーカーが常々わきまえていなければならないことだとも考えております。また、国と地方自治体との負担割合につきましては、国が地方に負担を押しつけてくるとするならば、地方自治体の財政を圧迫することは当然でございますし、正常な財政運営はもとより、公正公平な保護行政が実施できなくなると、このようにも考えております。今後、地方への税源移譲、また権限移譲などを名目に負担割合を地方に押しつけてくるとすれば、これは我々としては全国市長会はもとより地方六団体を中心に大きく声を上げてまいりたい、対応してまいりたい、このように考えております。
 次に、都市計画についてでございます。
 都市計画に関する市長の都市像というものを示せということでございますが、都市計画法に対する理念と個性豊かで活力ある未来の都市像をどのように描くかという質問でございます。
 まず、市の発展と活性化を念頭に市民参加のもとで協働のまちづくりを考えておりますし、昨年度実施いたしました都市計画マスタープランの市民アンケートの調査の結果や今後数カ所で実施を予定しておりますワークショップでの意見などを反映させていきたい、このように考えております。
 また、平成19年3月に策定いたしました総合計画では4つの新しいまちづくりの重点方向を基調といたしまして、特色ある地域づくりを市民と行政が力を合わせて推進することを目的としまして、みんなで築く健康で安心ないきいき文化交流、産業拠点のまちを市の将来像と定めております。さらに、5つのまちづくりの基本施策として、1つ、市民と築く地域協働のまちづくり、2つ目、安全・安心で利便性の高い快適環境のまちづくり、3つ、安心して生涯を託せる健康福祉のまちづくり、4番目としまして、心豊かに触れ合う文化交流のまちづくり、5番目としまして、活力あふれる産業拠点のまちづくりを展開し、その上で市の将来像の実現をリードし、重点的、誘導的に進めるべき施策を3つ、新しいまちづくりの戦略プロジェクトと位置づけております。この総合計画に即した都市計画マスタープランを策定すべきであると、このように考えておりますので、どうか御理解をお願いしたいと思います。
 私のほうからは以上でございます。
○議長(西山八郎君) 副市長。
      〔副市長 藤村明男君登壇〕
○副市長(藤村明男君) 中山議員さんから、先般総務常任委員会で岩沼のほうにお連れいただきましたので、そのときの岩沼市の都市計画の手法についての私の感想を述べよということでございます。
 私も飯塚副議長の説明を受けまして、中山議員と同様に衝撃を受けたところでございます。道路計画のある市街化調整区域を市街化区域に編入し、道路の用地費を区画整理組合に入れて、区画整理組合がそうした資金をもとに区画整理を実施し、保留地を宅地で売る、市はほとんど負担なく税収が上がる。そんな話を聞いて、こんなうまい話は高知県では考えられないだろうなあと、同じ都市計画法なのになぜこんなに柔軟性があるのだろう、県の方針にきっと違いがあるのではないかなどというふうに思いをめぐらせておりました。今後のまちづくりに参考になる事柄であり、このことについて岩沼市の行政担当者の方に再度確認をしてみました。少し長くなりますが、そのことについて報告をさせていただきます。
 私たちが説明を受けたのは、三軒茶屋区画整理事業の行われた場所のようでございます。この区域は、合併以前に玉浦村という自治体があった地域です。人口が減少し、昔の面影がなくなってきたことから、当時の市長がこの地域を岩沼の東の中心地と位置づけ、人口をふやしていきたいというふうに考えたようでございます。平成元年ごろには県の住宅供給公社による宅地造成工事が計画されたが、当事反当700万円の買収単価に地権者が反発し、断念した経過があるようでございます。
 その後、もともと都市計画道路として計画されていた県道の整備計画が具体化し始め、地元の区画整備の機運も高まっていたことから、平成11年度に市街化区域に編入し、道路整備とあわせ、組合方式による区画整理事業を開始したようでございます。当時の総合計画ではかなり大きい人口増の計画がありまして、住宅フレーム等の問題はなかったようでございますが、中心市街から離れているということが問題になったということでございます。
 実施に当たっては、道路の用地費と家屋の補償費を管理組合に負担金として支払うなど、県がかなり便宜を図ってくれたということでございます。ただ、岩沼市も現在は人口の急激な増加が見込めず、新たにこのようなケースがあったとしても、人口フレームの問題で住宅地としての市街化の拡大はかなり困難であるというお話がございました。
 ちなみに、岩沼市もすべて思うように事が運んだわけではなくて、現在進めている駅前開発については区画整理事業や再開発といったことをやろうとした経過もあったようでございますが、減歩等の問題で断念し、最終的には買収方式となって現在進めているようでございます。
 また、30年ほど前から市街化区域となったまま現在も区画整理が行われていない朝日地区、約10ヘクタールについて設立準備を行い、事業の公告まで最近になって行ったということでございますが、宅地価格の下落で採算が合わないのではないかという組合員からの意見があり、現在中断しているとの話もありました。
 以上が岩沼市の実情でございますが、冒頭に衝撃を受けたと述べましたが、詳しい話を聞いてみると、やはり簡単ではない背景があったということと、長い間の行政の熱い思いがこういう結果につながったんだなという思い、そしてまた地価の高い市街地での区画整理事業はどこでも難しいんだなあという思いをいたしました。岩沼市の三軒茶屋区画整理事業が経営戦略によって実施されたか否かについてははかり知れませんが、いずれにしても昔からの思いがほんの少ない行政負担で実現したのは事実だと思います。
 今、本市で新しい都市計画のマスタープランを作成中であり、大幅な人口増が見込めない状況のもとで、住宅地や商業地のフレームの拡大が課題となり、苦労しているところです。しかし、幾らこのことをクリアし、立派な計画ができたとしても、この計画を実行しようとするトップの強いリーダーシップと職員の努力、また市民の協力がなければ、三軒茶屋の区画整理事業のようなチャンスは生まれないどころか、まちづくりそのものが一向に進まないのではないかという思いをいたしております。
 まちづくりに関して、岩沼市と南国市の大きな違いを考えてみますと、それは単に財政のよしあしや地域性ということではなく、私たち行政に携わる者の思い入れ、取り組む姿勢の差にあったのではないかというふうに思っております。本市が昭和45年に都市計画を決定してから40年近くになります。農地の無秩序な開発は抑制されたと思いますが、市街化の中の整備はどうもおくれておるというふうに感じております。その理由についてもう一度検証し、足らなかった部分を補っていくことこそ今後のまちづくりを進める上で最も重要ではないかと思っているところでございます。
 不十分かもしれませんけれども、以上、感想とさせていただきます。
○議長(西山八郎君) 福祉事務所長。
      〔福祉事務所長 谷田 豊君登壇〕
○福祉事務所長(谷田 豊君) 中山議員さんの御質問、生活保護行政について、市長答弁を補足してお答えをいたします。
 在宅ケース担当持ち分を80ケースにするための必要ケースワーカー数ということでございますが、現在の生活保護受給世帯数は6月1日現在で620世帯、在宅世帯数は一時入院を含めますと560世帯でございます。1人当たり80ケースとした場合の必要人数は計算上7名となります。現在の福祉事務所のケースワーカー数はこの平成20年度に1名増員されましたことによりまして、若干受け持ち地区のばらつきはございますが、7名、適正人数であると考えております。
 次に、移送費についてお答えをいたします。
 移送費に係る厚生労働省の指導内容といたしましては、被保護世帯の支出状況から移送費用を支給しなければ生活が困難となる場合、これは具体的な基準額設定はございません、原則として管内、南国市内の病院への通院、ただし疾病等の状況により管内の病院で対応できない場合、管外の病院のほうが近い場合は支給を認めることが可能、僻地に限らず最寄りの病院への通院に公共交通機関が使用できない状況の際は支給可能としております。
 本市の対応といたしまして、現在移送費の支給につきましては、第三者から見ても明確な場合を除きまして、かかっている病院の移送要否、意見書に通院日も書いていただきまして、嘱託医の要否判定により支給しております。移送費請求の整合性を確認をしております。これらのことから、北海道滝川市で起こったような元暴力団絡みの移送費不正受給は防ぐことができ、保護受給者の方にも影響はないと考えております。
 ちなみに、医療移送費の公共交通機関利用状況について御報告をいたします。平成19年度は12名、月額で4万5,200円です。全体の医療移送費といたしましては1981件、金額、これは年額になります、240万3,801円ということになっております。
 今後、より一層の嘱託医、病院との連携を深めまして、適正な保護行政に努めたいと考えております。
 以上です。
○議長(西山八郎君) 保健課長。
      〔保健課長 中村さぢ君登壇〕
○保健課長(中村さぢ君) 中山議員さんより現時点でどのような思いで、思いがあればということでお時間をいただきましたので、現状も含め述べさせていただきます。
 介護保険制度は地方分権の試金石とも言われ、全く新しい制度でございました。社会保険方式を採用した制度であり、新たに介護保険料の負担をしていただかなくてはなりませんので、制度内容の説明を多くの地域で実施したことでした。特に保険料につきましては、医療保険と違いまして給付を受ける率が非常に少なく、理解が得られにくいということで、特に時間をかけました。現在介護サービス給付を受けておられる方は15%で、約1,760人ぐらいです。今は元気でもいつ必要になるかもわかりません。サービスを利用されている御家族、そして御本人の方からは大変喜ばれております。けれども、介護を苦にした悲しい事件が後を絶ちません。高い保険料を天引きしていることで、保険料のことは頭から少しも離れません。担当職員ともども心を痛めております。走りながら考えるという問題の多い制度でもあり、いまだに問題点、課題は次々と生じまして、全国市長会等を通じ、補助率の改善などいつも要望書を提出をしながら四苦八苦しているという状況でございます。
 一方、このたびの後期高齢者の医療制度につきましては、スタートした早々、事務レベルでも大変支障を来し、特に保険料の徴収事務は7月の本徴収への対応に足どめをされているような状態でございます。制度の施行後もこのように混乱、波乱の制度があったのでしょうか、少し驚いております。
 申し上げるまでもございませんけれども、社会保障制度は安心していくための国家的保障制度でございます。心身ともに弱体化し、疾病、介護などリスクが高くなる高齢者にとりまして、制度の内容などで老後の人生が大きく左右されます。特に医療制度は深刻な問題であると思います。先ほど中山議員さんが申されましたが、私たち団塊の世代により日本は未曾有の高齢社会に突入します。現在21.5%の高齢化率ですが、2032年には31.8%と推測されております。そのころには、現在年間32兆円余りの医療費が、現行制度でそのまま推移すれば、2025年には56兆円になると推測されております。
 そこで、制度改革により医療費を42兆円にまで抑えるという方向を打ち出しております。高齢者が増加するにもかかわらず、医療費は削減する方向です。現在、療養病床削減、そして医師不足による患者のたらい回し、また医療ミスなど多くの問題が渦巻いておりますが、人は自分がそのときにならないと危機感は余り感じません。現在保健課で真剣に取り組んでおります医療介護制度の問題など、私たちも団塊の世代の老後には制度が崩壊しているかもしれないなど、ふと考えるときがあります。しかし、職務上、制度に忠実に、実は悩みながら業務に接しておりますのが現状でございます。
 今後、さらに少子・高齢化社会が進んでまいりますので、避けたいことですけれども、制度が改正になるたびに高齢者への負担が重くなることが考えられます。特に保険料を負担していただくには制度に対し御理解、御協力を得ることが一番大切なことですので、丁寧にわかりやすく説明、対応することを一番に心がけております。困難なときこそ情熱を持って接すると必ず伝わると、このような思いで頑張っておりますので、今後とも議員の皆様方の御協力と応援をよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○議長(西山八郎君) 都市整備課長。
      〔都市整備課長 神田 彰君登壇〕
○都市整備課長(神田 彰君) 中山議員さんの御質問にお答えいたします。
 現在街路事業で施行しております高知南国線、南国駅前線につきましては、平成23年度の完成を目指して鋭意事業を進めております。今後の計画につきましては、事業の進捗を見ながら、関係機関と協議をして決定していきたいと、このように考えております。
 また、中町スーパーの跡地の問題でございますが、中心市街地活性化のため、にぎわいのある空間としての活用策につきましては、街路として利用するまでの間は商工会や各種団体等の意見もお聞きしながら、まちおこしのイベントとかフリーマーケットとか、そういう多目的な広場で活用していきたいと考えております。
 簡単ではございますが、答弁といたします。
○議長(西山八郎君) 1番中山研心君。
○1番(中山研心君) それぞれ回答をありがとうございました。
 特に市長と保健課長には今までになく踏み込んだ御回答をいただいたというふうに思ってます。特にこの制度が始まって走り出して後のこの混乱、ばたばたということ、これに直接かかわっておられる保険者としての腹立ちもあるでしょうし、制度自体に問題があるからだということでのかなり今までになく踏み込んだ回答をいただいたというふうに思ってます。
 本日、高齢者の皆さん、傍聴にもおいでていただいてますけれども、この制度、実は若いときに高い保険料をずうっと払うてきて、いざ自分が退職して病気がちになったときに、ええ、今からおれらのけもんかよというところにやっぱり一番の問題があるんではないかなというふうに思ってます。
 それと、今回この後期高齢者に限らず社会保険料についても地域によって徴収額を変えていくということが決定をされておりますけれども、高知でおっても、東京で住みよっても同じように皆年はとるわけです、病気にもなります。これが住んでいるところによって保険料に格差が生じるっていうことはいよいよ不合理じゃないかなというふうに考えてます。実際にこの後期高齢者制度が始まってから、先ごろ廃止法案を参議院のほうで出しましたけれども、そうかというてまたもとの国保に戻ってこられても困るなと。まるでちっちゃいときにあの子が欲しいというて遊びよりましたけんど、最後までぽつんと残ってだれっちゃあとってくれざったあの切なさを高齢者の皆さん、感じておいでるんじゃないかと思います。
 厚生省の言い方では、地域によって大きな医療費に格差が生じておる、それが地域間の保険料の格差の根拠であるというふうな言い方をしておりますけども、もし保険料に格差を設けるとすれば、これ住んでる人や年がいった人の直接の責任ではありません。受けられる医療サービスに格差がある場合、例えば僻地であるとか、遠隔の離れ小島であるとか、十分な医療体制が整わないところで住んでおいでる方が逆に保険料を下げてくれるということであれば、これは十分整合性があるわけですけれども、今現に、逆に小さな保険者であるがゆえに、例えば1人だけターミナルの医療を受けた、あるいは高度医療を受けた翌年度から保険料が舞い上がるというような制度になっております。社会保障制度が個々の自治体の責任に押し込められていく中で、本来果たさなければならない国の社会保障に対するセーフティーネットの保障していくという役割を半ば放棄したような形で今の制度が進められておるということに非常に大きな怒りを覚えます。
 特に、今回さまざまな低所得者層への保険料の割引を中心とした見直し案が出されておりますけれども、ほとんどポピュリズムに近い無原則な見直しであるというふうに私自身は思ってます。きょうおいでの高齢者の方と若干考え方が違うかもしれませんけれども、私自身はそれが必要な負担であるならば、年金からの天引き制度そのものは実は一番効率のええ方法であって、それ自体間違いではないんではないかなあと思ってます。
 ただ、この間、年金問題、5,000万件の宙に浮いた年金あるいは消えた年金、何ら解決されてない。そのうちの2,000万件はこれからも突合できないであろうというふうに言われてます。受け取られてる年金が実は満額受け取ってないかもしれん、年金への信頼がこれほど低下しているときに、取るほうはとっとと一方的に取っていくがかよ。しかも、この間の年金制度改革によって、当事者には何の断りもなしにマクロ年金経済スライド方式が導入されて、民間の保険会社で言えば、約定利率を一方的に切り下げるようなことまでしながら、給付水準を下げてきながら、取っていくほうは勝手に取っていかれる、ここのところに感情的な怒りが生じているんではないかなというふうに思います。
 再度この年金の問題については、この後期高齢者に限らず保険制度の地域間格差ということについて、私自身はこれ全国一律の制度であるべきだろうというふうに思ってます。自治体の長としてなかなか言いにくいところもあるかもしれませんけれども、あるべき社会保障の姿としてどうあるべきかということについて、なおお考えがあれば、お答えをいただきたいというふうに思います。
 それと、生活保護行政についてでありますけれども、十分な指導援助、それから自立支援について今後も引き続き努力をしていっていただきたいというふうに1つはお願いをしておきたいと思いますけれども、実は厳しい今の雇用環境の中で、申請者以外にもかなりの部分生活保護基準を下回る生活困窮者がいるのではないかなというふうに予想をされております。生活保護制度は申請主義でありますので、よっぽどの窮迫保護以外は職権による保護はされておりません。
 ただ、こうしたさまざまな生活苦、困窮というのがさまざまな事件や問題にもつながってくるわけで、ぜひこうした本当に困っている方については本人が今まで申請してなくても、きちんと相談に乗り、正しい助言ができるようにしておいていただきたいなというふうに思います。
 また、こうした、先ほども述べましたけれども、生活苦による虐待への発展であるとか、そういうようなことも一因として1つには指摘をされております。実は、先ごろ藤岡和輝君の事件を受けて、関係者の早期発見、早期の対応、関係者への情報の共有化ということが教訓化されているはずなのに、その後2件の児相送致のケースが出てきたというふうにお聞きをしております。これもその原因は生活苦がその一番の根っこの部分にあるというふうにお聞きをしております。また、関係者の協議会の中では警察のほうから一体南国市は何人子供を殺したら気が済むがあという非常に厳しい御意見が出されたというふうにお聞きをしております。今回、教育長には質問通告をしておりませんので、福祉事務所長のほうからこの間のこの2件のケースについて、経過について、お構いなければ報告をお願いをしたいというふうに思います。
 次に、都市計画について、藤村副市長からは十分ではないかもしれませんがということでお答えをいただきましたけれども、できん言いわけは非常に役人は上手なわけで、いろいろ言いますけども、この間役所の職員と話をしていく中で、公務員ができません、それから間違いを認めない、責任を転嫁する、これ何かならい性なのかなというふうに思いますけれども、この3つをしないということを心がけていただければ、非常にスムーズなコミュニケーションが、気持ちのいいコミュニケーションができるんではないかなというふうに思ってます。特に南国市の職員に限っては、説明能力がないことをすぐに弁護士がこう言うというような言い方をやめていただければ、それもありがたいなというふうに思っております。
 南国市都市計画、若干時間があれですけど、この間こういう経営戦略を持ったまちづくり以前に一度も、これだけの都市でありながら区画整理事業をやったことのない珍しい自治体であります。もちろんまちづくりに対するノウハウの蓄積もできてない中で、これから本当に無秩序に今の町の姿ができてきている。言ってみれば、許認可行政しかしてきてこなかった結果が今の南国市の姿ではないかなというふうに思っております。今後、企業誘致も含めて南国市は取り組まれていくわけですので、ぜひきちんと時期を逃さずにタイムリーな都市計画を進めていただくようにお願いをいたしまして、第2問目といたします。
○議長(西山八郎君) 答弁を求めます。市長。
○市長(橋詰壽人君) 私も実はその社会保障制度といいますかそういう意味で、国保、介護、後期高齢者、国保は南国市独自でもちろん保険者でございますが、各市町村が県下の、ばらばらと言ったら語弊がありますが、市町村単位でやっておる。介護は一部高知県下で広域的にやっておりますが、ほとんどこれまた市町村別、後期高齢者はいわゆる広域で県下一つでやり出したということで、一方国保につきましては県下一つにしようという動きはありますが、簡単に言いますとばらつきがある。
 それに加えまして、御承知のように高知県、本来ならこれから社会に出てお年寄りの医療を支えようというこの若い方たちが、半数以上が都会に出ていくと、そしていよいよ退職されて医療費が要り出す年齢の方々が地方へ帰ってくるという、簡単に言えばそういう状況にあるわけです。
 とするならば、やはりこれは日本全体でやっぱり若い働き盛りの人たちが御苦労さんと言ってお年寄りを支えるという考え方であるとするならば、やはりそれは全国一律ということが財政基盤の面からすると効率よくないんだろうかというように思います。同じ病気で医療にかかっても、南国市とすぐお隣とが医療費負担が違うなどという、言いかえれば、国保料ということで考えれば、違うと、格差があるということを是正するという観点からは、公平性の面からはそういうことがいいんではないかというように考えます。
 いずれにしても、これは非常に国のほうも悩ましい問題もありましょうし、非常な苦労をされてこういう到達点に来て、いろいろ私もるる申し上げましたが、後期高齢者医療制度というものが4月に出発すると同時に全国的にいろんな問題が起こってきた、このことを徹底的に究明して、今後につなげていくということが一番大事なことではないかというように思います。加えて、この制度には待ったなしでございますので、少しちょっと休んで考えようは私はできないんじゃないかと、このようにも思っておりますので、みんなが英知を結集して、現場も国も県もみんなでこれをいいものにしていくということが大事ではないかと、このように考えております。
○議長(西山八郎君) 福祉事務所長。
○福祉事務所長(谷田 豊君) 中山議員さんの2問目の御質問にお答えをいたします。
 児相に送致をいたしました2件のケースについて、1件目につきましては関係機関の連携という部分でとらまえておりますが、そういう事例と、経済的に不安定な状態が虐待につながる事例について、現在進行中でございますが、こども相談係を中心に対応してきたことを御報告させていただきたいと思います。
 まず、連携の事例でございますが、以前から学校が中心になりまして、南国警察署、児童相談所、福祉事務所と連携をとりながら見守ってきたケースでございます。
 本年5月21日、額に傷などが認められまして、本人より教頭先生に、きのう、父にたたかれたとの訴えがありまして、22日、担任の先生が家庭訪問をいたしまして、母親に面接をしました。そこで、父の暴力行為を認めたわけでございます。
 そして、6月4日に本児童が登校した際、額の傷や唇が切れておったということで、また手の甲にもあざが認められまして、なぜかということで質問をしますと、ほおを2回、頭などもたたかれたとのことで、夕方、教頭先生、担任が家庭訪問をして母親と面接をしております。
 翌日、6月5日に急遽、南国警察署、児童相談所、市教委、福祉事務所が協議をいたしまして、行動に移ることを決定をいたしました。
 そこで、児童相談所の対応といたしましては、6月5日でございますが、授業が終わり次第本児童と面接をいたしまして、一時保護の了承をとる。その後、病院に行った後、児相にて保護をするということを即日決定をしていただきました。
 南国警察署の対応といたしましては、児相の行動が終わりますと、母親に対しまして家庭を訪問し、経過を説明して、暴力行為について事情聴取をする。父親に対しましては仕事が終わる時間を見計らって暴力行為について事情聴取をするという対応をしていただきました。
 市教育委員会の対応といたしましては、教育長さんのほうから同日開催の校長会におきまして現状を説明していただき、さらに連携を強めるよう危機管理意識の再徹底を図っていただきました。
 また、学校につきましては、市教育委員会との緊密な連携、特に子供や家庭に対する細やかな配慮をしていただきました。
 福祉事務所の対応といたしましては、こども相談係が各機関の情報を集約いたしまして、スムーズな調整機能を発揮するよう対応をいたしました。
 このケースは、関係機関がそれぞれの立場で子供を守るために積極的な行動に出て対応をいたしました。現在、本児童は一時保護を継続中でありますが、一日も早く優しく温かい家庭に帰れるよう、さらに関係機関の連携を深めていきたいと考えております。
 次に、経済的に不安定な状態が虐待につながるケースに対してどのように支援できるのかという事例について御報告をいたします。
 6月5日のことでした。午後2時ごろ、本児童を社会福祉協議会事務局長が、道端で電車に乗るところを教えてということで聞かれたので連れてきましたということで、こども相談室に子供を連れてきました。ちょうど私とこども相談係の対策監が在席をしておりましたので、本児童から事情を聞きますと、母親とけんかをして出てきたということで、自分の名前や妹の名前などをてきぱきと答える、本当に利発で動きの活発な子供と感じました。
 その後、本児童をこども相談係で保護いたしまして、私が家庭訪問をしました。母親に面接をしまして、子供を保護しているので迎えに来てほしいというふうに伝えますと、母親はすぐに迎えに行くとは答えませんでした。あの子には手をやいているとか、保育に入れてほしいが、妊娠中で働いていないので保育所に入れてもらえない、9カ月の妹の育児をしたり、またつわりでぐあいが悪いのに面倒見切れないと涙を流しながら訴えてきました。私は、福祉事務所の職員であることを伝えまして、育児について、また保育所入所、経済的なことについても相談に乗ることを説明をいたしまして、子供を迎えに来てほしいと伝えながらこども相談係に帰ってきました。その後、4時ごろ、母親が妹を連れましてこども相談室に迎えに来ましたので、保健師、対策監が生活実態などを相談を受けまして、夫の休日に、ちょうど火曜日が休日ということでしたので、福祉事務所保護係で事情を聞きながら、経済的に支援ができるかどうか判断するということを伝えました。その後、近くの児童館がありますので、本児童を連れていきまして、いつでも遊びに来てもいいよということで、職員に事情を説明いたしまして、児童館での受け入れを依頼しました。
 翌6月6日でございますが、市営住宅の自治会長さんのお部屋がちょうどこの家庭の下の部屋でありますので、訪問をいたしまして、見守りと連絡のお願いをしにお伺いをいたしました。自治会長さんの奥さんの言うことには、子供を投げつけるような音が響き、注意をしたこともあるが、本当にこの本児童が危険な状態であるという意見をいただきました。なお注意をしていただいて、ささいなことでも連絡をしていただくようお願いをし、帰ってきました。
 6月6日、同日、夫婦そろって、子供も一緒なんですが、福祉事務所に来庁されまして、保護係、保育係にて生活実態について事情聴取をいたしました。夫の収入が低く、以前住んでいた大篠のアパートから4月に市営住宅に引っ越してきた家庭でありまして、本児童は満6歳であるのに保育所にも行っていない。母親は生後9カ月の妹を育児しておりまして、さらに現在妊娠中であります。母親は、夫の両親から収入が低いのになぜさらに子供をつくるのかと責められ続けておりまして、育児疲労、妊娠によるつわり、住居を変わったことで相談相手もいない中、この6歳の本児童に暴力を振るう毎日であるということをお聞きをいたしました。
 そこで、福祉事務所の対応といたしまして、保育係におきまして本児童を保育所へ入所させ、母親の育児、つわりなどストレスを除く方法はないかということで検討を始めました。保護係におきましては、経済的に支援できるかどうかを検討するということで調査に入りました。そこで、児童相談所の対応といたしましては、6月9日に児童相談所と一時保護について協議をいたしまして、すぐ対応をしていただきまして、児童相談所において一時保護の決定をいただきました。ただ、一時保護の決定をいただきましたけれども、児童相談所が満杯ということで、受け入れ先を探すということで、12日に一時保護を受け入れていただきました。
 本ケースは、経済的に不安定なことが原因で、9カ月の乳児の育児疲れ、妊娠によるつわりや夫の親からの苦言などが母親に集中いたしまして6歳の子供を虐待してしまったもので、児童相談所は一時保護について迅速に決定をしていただきました。
 福祉事務所といたしましては、虐待を防止するため、市長の判断をいただきまして、7月1日から保育所への入所を決定をいたしました。また、現在の収入状況では保護基準を大幅に下回っておりますので、経済的な不安を除くため、働きながらの保護受給が可能かどうか調査に入りました。本児童は現在一時保護中でありますので、6月中にはもろもろの案件を整理、解決をして、笑顔でお家に迎えてあげられるよう、さらに関係機関との連携を深めていきたいと考えております。
 以上です。
○議長(西山八郎君) 昼食のため休憩いたします。
 再開は午後1時10分からです。
      午後0時17分 休憩
      ――――◇――――
      午後1時9分 再開
○議長(西山八郎君) 休憩前に引き続き会議を行います。1番中山研心君。
○1番(中山研心君) それぞれ御回答ありがとうございました。
 保険制度全般にかかわって、本来社会保障っていうものは地域間の格差のないユニバーサルなものでなければならないのではないかという市長の卓越した御所見に、そのとおりだというふうにエールを送るものでございます。ぜひこの間、経済財政諮問会議の年間2,200億円ずつの社会保障費の抑制がもう破綻してくる中で、本当に負担と社会保障の水準をどうしていくのかということが我々行政にかかわる者がこれからの社会保障を考えていく中できちんと真剣に考えなければならない問題ではないかなというふうに考えます。
 それから、生活保護の負担割合の見直しについてお話がありましたけれども、これ本来国がすべき問題で、その4分の1の負担も本来どうなのかなという気はしますけれども、今後この負担割合の見直しの話が出てきたときには、法定受託事務の国への返上あるいは前回話が持ち上がったときに対抗措置としてとられたデータ送信の停止等も視野に入れて毅然とした対応をしていただきたいというふうに思います。
 それから、生活困窮者への対応については、それが申請のあるなしにかかわらず、これまでもされてきておるとは思いますけれども、ぜひ血の通った行政対応をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。
 それから最後に、駅前線の都市計画道路のことについてですけれども、2問目ではちょっと触れませんでしたけれども、南国駅前線のこの都市計画道路は、計画策定以来何十年も実はずうっと放置されたままになってきてます。もうこれはできんならできんであっさりと計画を撤回するということをしなければ、民間活力による再開発もできない。長い間、私権を制限されたままでずうっとここを放置されてきてるわけですから、そういった意味で、行政が財政上の理由もありながらなかなか手がつけれんところには、民間の活力を足を引っ張らないという視点も必要ではないかなというふうに思いますので、なおできる見込みのないところについては一たん仕切り直しをして、今さまざまにかけられている私権の制限も取っ払うという視点も必要ではないかなということを申し上げまして、すべての質問を終わります。