○南国市消防職員ハラスメントの防止等に関する要綱
令和6年8月6日
消本訓令第1号
(趣旨)
第1条 この要綱は,南国市消防職員(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第22条の2第1項に規定する会計年度任用職員を含む。以下「職員」という。)の働きやすい良好な勤務環境を実現するため,ハラスメントの防止及び排除のための措置並びにハラスメントに起因する問題が生じた場合に公正かつ適切に対応するための措置に関し,必要な事項を定めるものとする。
(1) パワー・ハラスメント 職務に関する優越的な関係を背景として行われる業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって,職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え,職員の人格若しくは尊厳を害し,又は職員の勤務環境を害することとなるようなものをいう。
(2) セクシュアル・ハラスメント 次に掲げるものをいう。
ア 他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動
(3) 妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメント 職場における次に掲げるものをいう。
ア 職員に対する次に掲げる事由に関する言動により当該職員の勤務環境が害されること。
(ア) 妊娠したこと。
(イ) 出産したこと。
(ウ) 妊娠又は出産に起因する症状により勤務することができないこと若しくはできなかったこと又は能率が低下したこと。
(エ) 不妊治療を受けること。
イ 職員に対する妊娠,出産,育児又は介護に関する制度又は措置の利用に関する言動により当該職員の勤務環境が害されること。
(4) その他のハラスメント 前3号に掲げるもののほか,職員の人格若しくは尊厳を著しく害し,職員に精神的若しくは身体的に苦痛を与え,又は職員の勤務環境を害するものをいう。
(所属長の責務)
第4条 所属長は,良好な勤務環境を確保するため,日常の執務を通じた指導等により,ハラスメントの防止及び排除に努めるとともに,ハラスメントに起因する問題が生じた場合は,迅速かつ適切に対処しなければならない。
(ハラスメント苦情相談窓口の設置)
第5条 ハラスメントに関する苦情の申出及び相談(以下「苦情等」という。)に対応するため,消防本部総務課にハラスメント苦情相談窓口(以下「相談窓口」という。)を設置し,苦情等に対応する職員(以下「相談員」という。)を配置する。
(苦情等の申出ができる者)
第6条 相談窓口への苦情等の申出は,ハラスメントの被行為者(以下「被行為者」という。)のほか,被行為者の家族及び同僚,上司等の当該ハラスメントの事実を認識している者(以下「関係者」という。)がこれを行うことができる。
(苦情等の申出)
第7条 被行為者又は関係者は,苦情等を申し出ようとするときは,ハラスメント苦情等申出書(様式第1号)に必要事項を記載し,相談窓口に提出するものとする。ただし,これにより難いときは,口頭により苦情等を申し出ることができる。
2 前項の規定による事情聴取は,原則として,相談員2名で対応するものとする。
3 相談員は,ハラスメントを未然に防止する観点から,ハラスメントが発生している場合のほか,その発生のおそれがある場合及びハラスメントに該当するか明確でない場合についても,苦情等として申出を受けるものとする。
4 相談員は,苦情等に対する対応に当たっては,苦情等を受けた場合の処理マニュアル(別記第3)に定める事項に留意するものとする。
(ハラスメント苦情等調査委員会の設置)
第10条 ハラスメントに関する事実関係を調査するため,ハラスメント苦情等調査委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会の委員(以下「委員」という。)は,次に掲げる者をもって充てる。
(1) 消防本部次長
(2) 消防署長
(3) 消防本部総務課長
(4) 消防長が指名する職員
3 前項の規定にかかわらず,消防長が特に必要と認める場合は,市長部局の職員に対し,委員への就任を依頼することができる。
4 委員会に委員長を置き,第2項第1号に掲げる者をもって充てる。
5 委員長は,会務を総理し,委員会を代表する。
6 委員長が欠け,又は委員長に事故あるときは,委員長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。
(委員会の会議)
第11条 委員会の会議(以下「会議」という。)は,前条第1項の規定による開催の要求に基づき,委員長が招集し,委員長が議長となる。
2 会議は,委員の過半数が出席しなければ開くことができない。
3 会議の議事は,出席委員の過半数で決し,可否同数のときは,委員長の決するところによる。
4 委員長は,必要と認めるときは,会議に専門的な知識又は経験を有する者の出席を求め,意見を聴くことができる。
5 委員は,自己に利害関係のある苦情等に係る会議に出席することができない。
(調査等の報告)
第12条 委員長は,会議の経過及び結果並びに第9条第2項の規定により報告を受けた内容を消防長に報告しなければならない。
(委員会の庶務)
第13条 委員会の庶務は,消防本部総務課において処理する。
(秘密の保持)
第14条 相談員,委員その他の苦情等の対応に関与する者は,当該対応に当たって,行為者及び被行為者並びに関係者の秘密の保持に努めるとともに,これらの者が不利益を受けないよう特段の注意を払わなければならない。その職を退いた後も同様とする。
(人事管理上の措置)
第15条 消防長は,委員会による調査の結果,ハラスメントに係る悪質な事実が確認された場合は,行為者である職員に対し,地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条の規定に基づく懲戒処分を含む適切な措置を講ずるものとする。
(その他)
第16条 この要綱に定めるもののほか,ハラスメントの防止等に関し必要な事項は,消防長が別に定める。
附則
この要綱は,公布の日から施行する。
別記第1(第3条関係)
ハラスメントをしないようにするために職員が認識すべき事項
1 お互いの人格を尊重し合い,お互いが大切なパートナーであるという意識を持つこと。
2 どんな言動を不快に感じるか否かには個人差があり,親しさの表現が言動の真の動機であったとしても,場合によっては本人の意図とは関係なく,ハラスメントになってしまうこともあるということを認識し,この程度のことは相手も許容するだろうという勝手な憶測や,相手との良好な人間関係ができていると勝手な思い込みをしないこと。
3 ハラスメントであるか否かについて,相手からいつも意思表示があるとは限らないことを認識するとともに,自分の言動に対して,相手が拒否し,又は嫌がっていることがわかった場合には,同じ言動を決して繰り返さないように心掛けること。
4 職場においては,職員以外の者に対する言動もハラスメントの対象となること,また,職員間においては,職場外の言動についてもハラスメントの対象となることを認識し,十分注意すること。
5 自らの言動が,その態様によっては全体の奉仕者たるにふさわしくない非行等に該当して,懲戒処分に付されることがあることを認識すること。
別記第2(第3条関係)
ハラスメントを生じさせないために職員が認識すべき事項
1 職場の構成員としての心構え
(1) 職場の構成員として良好な勤務環境を確保するために,職場におけるハラスメントについて問題提起する職員をいわゆるトラブルメーカーとみたり,ハラスメントに関する問題を当事者(行為者及び被行為者をいう。以下同じ。)間の個人的な問題として片付けないように努めること。
(2) 職場からハラスメントに関する問題の当事者を出さないようにするために,仮にハラスメントが見受けられる場合は,職場の同僚として行為者に注意し,被害を受けていることを見聞きした場合は,被害を受けている職員に声を掛けて相談に乗るように努めること。
(3) 職場においてハラスメントがある場合は,第三者として良好な勤務環境づくりをする上で,上司又は同僚に相談する等の方法もとるよう努めること。
2 ハラスメントに起因する問題が生じた場合の心構え
(1) ハラスメントを受けた場合は,その被害を深刻にしないために,一人で我慢しているだけでは問題が解決しないことを認識し,また,ハラスメントをなくすことは自分だけの問題ではなく,良好な勤務環境の形成に重要であるとの考えに立ち,勇気を出して行動することをためらわないこと。
(2) ハラスメントによる被害を受けたと思う場合は,相手に対して明確な意思表示(拒否,抗議,苦情の申出等)をし,また,一人で悩まずに上司,身近な信頼できる人又は相談員に相談すること。
別記第3(第8条関係)
苦情等を受けた場合の処理マニュアル
1 事態を悪化させないようにするために,可能な限り迅速に対応するとともに,被行為者が悩み,苦痛を感じていることが確認される場合は,たとえ,言動が軽度なものであっても,行為者に状況を伝えて注意する等,適切な対応を図ること。
2 被行為者から事実関係等を聴取するに当たっては,被行為者が求めていること,また,被行為者の心身の状態等を考慮し,苦情等の対応にどの程度の時間的余裕があるのかについて把握すること。
3 事実関係については,次の事項を確認すること。
(1) 当事者間の関係性
(2) 問題とされる言動が,いつ,どこで,どのように行われたか。
(3) 被行為者は,行為者に対してどのような対応をとったか,また,行為者は,どのような対応をとったか。
(4) 被行為者は,前号に掲げるもののほか,どのような対応をとったか。
4 前項第3号及び第4号の事実を確認する場合は,被行為者が主張する内容について,当事者のみが知り得るものか,又は他に目撃者がいるのかを把握すること。
5 原則として,行為者からも事実関係等を聴取する必要があること。ただし,ハラスメントが職場内で行われ比較的軽微なものであり,対応に時間的余裕がある場合等は,観察又は指導による対応が適当な場合もあるので,その都度,適切な方法を選択して対応すること。なお,行為者から事実関係等を聴取するに当たっては,第2項から前項までの規定により確認又は把握をした事項を参考にするとともに,行為者に対して十分な弁明の機会を与えること。
6 当事者間で事実関係に関する主張に食い違いがあり,事実確認が十分にできないと認められる場合などは,第三者から事実関係等を聴取することも必要であり,聴取するに当たっては第2項から前項までの規定により確認又は把握をした事項を参考の上,適切に対応すること。
7 苦情等を受けるに当たっては,相談内容が他の者に漏れないように,遮断された場所において実施すること。
8 当事者及び関係者のプライバシー,名誉その他の人権を尊重するとともに,知り得た秘密を厳守すること。
9 苦情等について,具体的な措置を講ずる場合は,所属長等と相談の上,これを行うこと。