○南国市建設工事低入札価格調査制度事務処理要綱
令和2年3月12日
訓令第3号
(趣旨)
第1条 この要綱は,地方自治法施行令(昭和22年政令第16号。以下「施行令」という。)第167条の10第1項の規定に基づく低入札価格調査制度による一般競争入札に係る事務処理について必要な事項を定めるものとする。
(低入札価格調査制度適用入札)
第2条 請負対象金額(消費税及び地方消費税を含む。)が1億5,000万円以上の建築一式工事に係る総合評価方式一般競争入札(施行令第167条の10の2の規定に基づく一般競争入札をいう。)については,必ず低入札価格調査制度を適用しなければならない。
2 建設工事発注に係る一般競争入札のうち,前項に規定する入札以外の入札については,市長が必要と認める場合に低入札価格調査制度を適用するものとする。
(調査基準価格及び失格基準価格)
第3条 低入札価格調査制度を適用する入札(以下「調査対象入札」という。)の実施に当たっては,低入札調査基準価格を設定するとともに,当該価格について予定価格調書に明記する等最低制限価格の取扱いに準じた取扱いをしなければならない。
2 低入札調査基準価格を下回る額の入札をした者(以下「低入札者」という。)のうち,入札書記載金額が次の表の算式により算出される失格基準価格を下回るものは,失格とする。
失格基準価格=直接工事費に係る設計金額の75%の額+共通仮設費に係る設計金額の70%の額+現場管理費に係る設計金額の60%の額+一般管理費に係る設計金額の30%の額 |
(低入札調査等)
第5条 調査対象入札においては,当該調査対象入札に係る評価値(以下「評価値」という。)の最も高い者が低入札者である場合は,その者を落札候補者とし,前条の規定による入札参加者全員に対する施工体制評価と併せて,その者に対する必要な調査(以下「低入札調査」という。)を行わなければならない。
2 施工体制評価及び低入札調査を行ったことに伴い,評価値の最も高い者が変わった場合で,その者が低入札者であったときは,新たに評価値の最も高い者となった者に対して低入札調査を行わなければならない。
3 低入札調査の対象となり得る者が全て辞退したことにより予定価格内の入札参加者がいなくなったときその他予定価格内で落札者が決定しないときは,後日失格者以外の者で再度入札を行うものとする。ただし,再度入札は,最初の入札を含めて3回を限度とする。
(入札公告時の留意点)
第6条 契約担当者は,調査対象入札の公告に当たっては,次に掲げる事項を公告文に明示しなければならない。
(1) 調査対象入札であり,低入札調査基準価格及び失格基準価格を設定していること。
(2) 失格基準価格及び施工体制評価の内容に関すること。
(3) 調査対象入札に参加しようとする者は,入札参加申請時に,一般競争入札参加資格確認申請書において,開札の結果自らが低入札者となった場合の低入札調査の辞退をあらかじめ申し出ることができること及び当該申出を行った者は,開札の結果低入札者となった場合に,その時点で失格となること。
(4) 入札参加申請時に低入札調査の辞退を申し出ていない低入札者は,低入札調査に協力しなければならないこと。ただし,当該低入札者が低入札調査の辞退を申し出ることは妨げないこと。
(5) 落札者は,失格基準価格を下回っていないかの調査,施工体制評価及び低入札調査の結果に基づき決定されるものであること。
(入札開始時の説明)
第7条 入札執行者は,調査対象入札の開始前に,次に掲げる事項を入札参加者に説明しなければならない。
(1) 調査対象入札であり,低入札調査基準価格及び失格基準価格を設定していること並びに低入札者があった場合は,入札参加者全員について施工体制評価を行うこと。
(2) 入札参加申請時に低入札調査の辞退を申し出ていない低入札者があった場合は,落札者の決定を保留すること。
(3) 入札参加者は,入札箱に入札書を投函する際に,持参した工事費内訳書を提出すること及び工事費内訳書の提出のない者は失格となること。
(4) 入札参加申請時に低入札調査の辞退を申し出ていない低入札者は,低入札調査に協力すること及び提出期限までに第10条第1項に規定する書類を市長に提出すること。ただし,当該低入札者が低入札調査の辞退を申し出ることは妨げないこと。
(5) 失格基準価格を下回る入札をした者及び低入札調査の結果,契約を締結することが適当でないと判断された者は,失格となること。
(1) 低入札者がなかった場合で,予定価格の制限の範囲内で入札した者があったとき 入札参加者に次に掲げる事項を告げて,評価値の最も高い者を落札者として決定する。
ア 落札者の入札金額及びその者の商号又は名称
イ 予定価格及び低入札調査基準価格
(2) 入札参加申請時に低入札調査の辞退を申し出ていない低入札者があったとき 次に掲げる対応を行ったうえで,調査対象入札を終了する。
ア 入札参加者に次に掲げる事項を告げる。
(ア) 入札参加申請時に低入札調査の辞退を申し出ていない低入札者があったため,落札者の決定を保留すること。
(イ) 今後,施工体制評価を行い,契約内容に適した履行がなされるか否かを調査したうえで落札者を決定すること。
(ウ) 低入札調査の結果,落札者が決定しなければ,再度入札を行う可能性があるため,予定価格,低入札調査基準価格及び失格基準価格の公表は行わないこと。
(エ) 失格基準価格を下回る場合は,失格となること。
(オ) 落札者が決定すれば,入札参加者全員に予定価格,低入札調査基準価格及び失格基準価格を南国市役所閲覧室及び南国市ホームページにおいて公表すること。
イ 低入札調査基準価格を上回る入札を行った者で評価値が最高点かつ同点であるものが2者以上あった場合で,全ての低入札者が低入札調査により失格となったときを想定して,落札者とすべき者をあらかじめくじで決定する。
(入札終了時の入札結果公表等)
第9条 入札参加申請時に低入札調査の辞退を申し出ていない低入札者があった場合は,落札者の決定を保留し,予定価格,低入札調査基準価格及び失格基準価格の公表は行わないものとする。
2 入札参加申請時に低入札調査の辞退を申し出ている入札参加者が,開札の結果,低入札となった場合は,その時点で当該入札参加者を失格とする。
(1) 辞退書を市長に提出し,低入札調査の辞退を申し出た場合
(2) 低入札調査対象者の施工体制評価において,別記中施工体制確保の確実性の評価基準の表の4の項にのみ該当すると評価した場合において,低入札者でない者が評価値の最も高い者になることが明らかなとき。
4 低入札調査の内容は,低入札調査対象者に対する積算内容その他必要な事項についての事情聴取とする。
(落札者決定時の入札結果公表等)
第11条 低入札調査の結果,落札者が決定された場合は,入札結果の公表において,低入札調査のうえ落札者が決定されたことを明記するものとする。
2 低入札調査の結果,失格となった者については,入札結果の公表において,低入札調査により失格となったことを明記するものとする。
(1) 落札者 落札決定通知書(様式第5号)
(2) 落札者以外の入札参加者 入札結果通知書(様式第6号)
(3) 入札参加者のうち低入札調査により失格となったもの 低入札調査失格通知書(様式第7号)
(指名停止措置を伴う失格)
第12条 市長は,低入札調査対象者が次の各号のいずれかに該当する場合は,当該低入札調査対象者を失格とするとともに,指名停止措置要綱(平成8年財政課制定)に基づき指名停止を行う。
(1) 辞退書の提出がない場合であって,正当な理由なく期日までに第10条第1項に規定する書類の提出がないとき,又は事情聴取に応じないとき。
(2) 低入札調査中に指名停止措置要綱に基づく指名停止の対象となる事案に該当し,契約を締結することが適当でないと判断されたとき。
(3) 低入札調査中に入札参加資格を喪失したとき,又は市の契約の相手方とすることが著しく不適当であると判断されたとき。
(4) その他適正な契約の履行が行われないおそれがあると認められるとき。
(その他)
第13条 この要綱に定めるもののほか,低入札価格調査制度の事務処理に関して必要な事項は,市長が別に定める。
附則
この要綱は,公布の日から施行する。
別記(第4条関係)
1 評価区分ごとの評価の内容
(1) 品質確保の実効性
当該入札価格における積算内容で,適正な施工が実現されるか及び積算根拠に資材発注業者,下請業者等の見積価格が適正に反映されているかを評価する。評価対象経費は,直接工事費及び一般管理費とする。
(2) 施工体制確保の確実性
当該入札価格における積算内容で,工事現場就労者,資材発注業者及び下請業者等にしわ寄せが及ぶことのない施工体制がどの程度確保できるかを評価する。評価対象経費は,現場管理費及び一般管理費とする。
2 施工体制評価
減点指数の合計が0のもの 「良」 減点指数の合計が6未満のもの 「可」 減点指数の合計が6以上のもの 「不可」 |
(1) 工事の品質確保の実効性の評価基準
減点評価項目 | 減点指数 |
1 積算の直接工事費又は共通仮設費の合計が誤っているもの又は入札時提出の工事費内訳書記載の各合計と一致しないもの | 6 |
2 発注者の求めによる積算根拠となる下請等見積書の提出がないもの(見積書が不足する場合を含む。)又は積算根拠が不明なもの | 6 |
3 直接工事費又は共通仮設費の積算根拠が書面上不明で,ヒアリング時に明確な根拠が確認できたもの | 4 |
4 直接工事費の積算項目に,積算項目ごとに設計金額の50%未満のものがあるもの(項目数は問わず,複数項目でも重複減点はしない。) | 4 |
5 直接工事費の積算項目に,積算項目ごとに設計金額の75%未満のものがあるもの(1項目でもあれば該当するが,複数項目あっても重複減点はしない。) | 2 |
6 直接工事費又は共通仮設費の項目区分が標準積算基準と異なるもの | 2 |
注1 3の項は,積算根拠に関して書面上明確ではないが,低入札調査ヒアリングで確認できた場合をいう。例えば,機材を使用する工事で,機材使用に関する経費の積算が書面上なく,ヒアリング時に減価償却済みの自社保有機材のため未計上であることが確認できたような場合に該当する。ただし,この場合でも,燃料代等の機材の稼働に直接必要な経費は直接工事費に計上されていなければならない。
注2 4の項及び5の項の「積算項目」とは,公共建築工事積算基準における科目に該当する項目をいい,各々の項目において設計金額と比較のうえ評価する。
(2) 施工体制確保の確実性の評価基準
減点評価項目 | 減点指数 |
1 積算の現場管理費又は一般管理費の合計が誤っているもの又は入札時提出の工事費内訳書記載の各合計と一致しないもの | 6 |
2 現場管理費又は一般管理費の積算根拠が書面上不明で,ヒアリング時に明確な根拠が確認できたもの | 4 |
3 提出資料に「その価格により入札した理由」又は「経費削減が図られた理由」の記載がないもの(記載内容が不明瞭な場合を含む。) | 4 |
4 工程管理上支障が生じるおそれがあるその他,施工体制上何らかの問題があると認められるもの | 2 |
注1 2の項は,例えば,警備員の外注で,労務賃以外の必要経費の負担は現場管理費の外注経費に計上すべきところ計上がなく,ヒアリング時に共通仮設費の安全費に計上されていることが確認できたような場合に該当する。
注2 3の項の「記載内容が不明瞭な場合」とは,例えば「その価格により入札した理由」として「自社保有の機械が有効に活用できる。」(これは「経費節減が図られた理由」に該当する。)と,「経費節減が図られた理由」として「恒常的に取引のある資材購入先及び下請業者の全面的協力により低価格での調達が可能。」(理由が具体的でなく,下請業者等に無理強いしている可能性も排除できない。)と記載しているような場合に該当する。
注3 4の項は,低入札調査の実施によって低入札でない工事に比べて契約締結日が遅れる,下請予定業者の見積書において法定福利費が計上されていない等の場合をいう。
3 施工体制評価点
(1) 低入札者
資料提出を求め評価を行う。品質確保の実効性及び施工体制確保の確実性の評価が「良」の場合の評価点は,各々技術評価点(企業の施工能力及び配置予定技術者の能力の評価をいう。)の満点相当の2分の1の点数となること。
(2) 低入札者以外の入札参加者
資料提出は求めず,品質確保の実効性及び施工体制確保の確実性の評価は,それぞれ「良」(満点)として配点する。