いきいき南国 第5回

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掲載日:2018/02/22

いきいき南国では、地域の元気と活性化のために活動している市民の皆さんの活動をご紹介しています。


切れるものなら何でも作ります

 今回ご紹介するのは、南国市の中心部から車で北へ20分程の亀岩地区の山あいで、土佐打刃物製造販売業の有限会社トヨクニを経営されている、鍛冶師「四代目豊国」濱口 誠さんです。
 トヨクニは、鎌や斧などの農山林刃物、包丁、ナイフなどを伝統的な鍛造技法で製造している鍛工場です。創業時は高知市で営業されていましたが、35年前に今の場所に移ったそうです。伝統的工芸品に指定されている土佐打刃物は香美市土佐山田町が有名ですが、実は南国市久礼田が発祥で、昔はたくさんあった鍛工場も今では市内10か所だけになっているそうです。

濱口さん

 「昔は、各家庭に農山林作業用の刃物があり、包丁にしても、出刃包丁、刺し身用、ナイフなど、数本を使い分けていました。今では、家庭で薪を割ることも無くなり、包丁も万能包丁1本だけということも珍しくありません。刃物離れが進んでいる現代に、鍛冶屋が商売をしていくには、従来の刃物の製造だけでなく、他がやっていないことをやることと、付加価値のある量産できない特別な刃物も作っていかなければ続けられません。伝統的な鍛造技術は継承しながら、一方では、時代に合った新しい刃物の開発もしています。」。


ナイフ

 加工された食品の需要が多い現在、食品加工業者が使う刃物は、作業効率や食品の味に影響が出るため非常に重要とのこと。高知県の特産物であるショウガを加工する機械の刃や牡蠣の殻をむくためのナイフの刃などを作っているほか、握力の無い人でも無理なく使うことのできる包丁や医療用のメス、ハサミなどを、大学の専門家と研究開発して製造しているそうです。
 パソコンやインターネットを使った情報処理技術を学生時代に習得されている濱口さん。従来の製造方法の他、コンピュータを使って設計をしたり、3Dプリンタを使った試作品作成などの最新技術を使った刃物作りもされています。


 商品の店頭での販売は東京、大阪、名古屋のデパートなどで取り扱っていますが、インターネットでも国内外に通信販売をしています。海外では、ナイフなどの刃物は生活に欠かせないアイテムであり、日本の刃物の性能やデザインは世界的なブームとなっているそうです。ヨーロッパ、北米、アジアの15か国に代理店があるほか、海外での展示会にも多数参加されて大賞を受賞されるなど、トヨクニ製品は海外でも大変人気があり、注文も多いそうです。工房では外国人対象の刃物体験教室も開催し、高知県の外国人向けガイドブックにも掲載されています。


社員

 「小さい頃から工房で刃物が作られているところを見ていたので物づくりが好きだし、何か新しい、おもしろいことを仕掛けていくのも好き。元々は税理士になろうと専門学校で勉強していたので、経営については、システムで管理できるようにしています。現在、会社は11人でやっていますが、この鍛造技術だけでなく事業展開のノウハウについても若い人に継いでいけたらと思っています。」


 毎年8月に開催されている夏祭り「土佐のまほろば祭り」では、ずっと運営委員として携わっていただいている濱口さん。「今後は、南国ブランドの製品を作り発信していきたい。そして世界中から人が集まる展示会を、土佐刃物発祥の地である南国市で開催したいです。」
 トヨクニの製品は、南国市ふるさと納税の返礼品でも選んでいただけます。見た目も美しく、切れ味も一級品のトヨクニの刃物を、ぜひ使ってみてはいかがでしょうか。


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